■テキサス州ではロックダウンが全面解除
みなさん、こんにちは。
前回のコラムでご紹介させていただいたように、テキサス州は3月10日(水)からロックダウン(都市封鎖)が全面解除された模様。
【参考記事】
●豪中銀、豪ドル/米ドルの0.80ドルを意識か。上昇一服。高値を追わず、押し目待ち!(3月4日、西原宏一)
米テキサス州、コロナ規制のマスク着用義務や入店制限を解除
米テキサス州で10日、新型コロナウイルス感染予防対策のマスク着用義務や店舗などの客数制限が解除された。
出所:ロイター
これに対してバイデン米大統領は、テキサス州などのマスク義務化終了を「ネアンデルタール人の思考」と批判。
前回のコラムでもご紹介させていただきましたが、これが新型コロナウイルスに対する民主党(カリフォルニア州)と共和党(テキサス州)の考え方の違いです。
【参考記事】
●豪中銀、豪ドル/米ドルの0.80ドルを意識か。上昇一服。高値を追わず、押し目待ち!(3月4日、西原宏一)
共和党は銃の所有も含め、自分の事は自分で守るという考え方であり、マスクの着用は義務ではないが、個人で必要だと思えば、個人の判断に任せるということ。
どちらにせよ、ワクチンの供給も順調で、米国ではどの州も徐々に景気が回復してきていることは、先週(3月1日~)と変わりません。
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■米金利上昇とともに、米ドル/円は一時109円台
ロサンゼルスの友人によれば、10年前はマクドナルドのビッグマックセットが4~5ドルだったそうですが、現在は、9~10ドルへ価格が上昇。事務所の賃貸料も10年前から比較すると、1.5~2倍へ上昇しているそうです。
CPI(消費者物価指数)などには、まだ反映されていませんが、彼の体感では、CPIは前年比で2.00%レベルではなく、もっと高いのではないか?との事。
そして、米金利の上昇とともに、相関性が高い米ドル/円も上昇トレンドに。3月9日(火)には、一時109.23円まで上昇しました。
(出所:TradingView)
以下は、米ドル/円の月足チャートです。
(出所:TradingView)
過去数年の高値である125.86円と、安値である99.02円の38.2%戻し水準が109.27円。つまり、米ドル/円は3月9日(火)に38.2%レベルまで反発し、いったん調整に入っている展開。
しかし、このところ、まったくマーケットに現れなかった本邦勢が、3月10日(水)から米ドル買い注文を、108.10円から少しずつ並べ始めているようで、下げ渋っています。
■「リスクオフ=円の買戻し」というルールは変更されたか
今年(2021年)に入ってからの米ドル/円は、株が大きく下がる局面においても反落せず、その一方で、米金利が上昇すれば、躊躇なく追随して上昇するという傾向が明確になってきました。
つまり、「リスクオフ=円の買戻し」というルールは、変更された模様。
この「ゲームチェンジ」は、円だけではなく、同じく避難通貨のスイスフランでも同様の傾向にあります。以下は、過去3カ月の対米ドルでの主要通貨の動き。
(出所:BloombergよりザイFX!編集部が作成)
過去3カ月では、英ポンド/円や豪ドル/円、もしくは英ポンド/スイスフランや、豪ドル/スイスフランをロングにするのが極めて利益率の高いトレードだったことがわかります。
そして、次の表は、今月(3月)に入ってからの動きです。
(出所:BloombergよりザイFX!編集部が作成)
今月(3月)に入っても豪ドルは、引き続き底堅いですが、主要通貨に対して米ドルの堅調さが目立ってきました。
特筆すべきは、過去3カ月に渡って日本円とスイスフランの弱さが際立っていること。
そして、このスイスフラン安にSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])のツアブリュック副総裁が、歓迎の意を示しています。
スイス国立銀行(中央銀行)のツアブリュック副総裁は同国紙ブリックとのインタビューで、同中銀の緩和的姿勢は不可欠であり、必要であれば一段の緩和も可能だと語った。ここ数日のスイス・フラン安には歓迎の意を示した。
出所:Bloomberg
改めて、SNBが自国通貨(スイスフラン)安を歓迎しているわけです。
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■米ドル/円は中期で120円に向かうことを想定
振り返れば、今年(2021年)1月に、3者会談までして円高を牽制してきた菅政権も、このところの円安は歓迎していると想定されます。
【参考記事】
●米追加経済対策に絡むサプライズ報道で米ドル反発。 ユーロ/米ドルは戻り売りで(1月14日、西原宏一)
視点を先ほど紹介した表に戻せば、過去3カ月も今月(3月)に入ってからも、円とスイスフランの弱さは際立っています。
(出所:BloombergよりザイFX!編集部が作成)
(出所:BloombergよりザイFX!編集部が作成)
違いは、過去3カ月はクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に対しての弱さが顕著だったものが、今月(3月)に入ってからは米ドルに対しての弱さがはっきりしてきたという事。
これにより、筆者のトレードスタイルも、豪ドル/円のロング主体から米ドル/円のロングへとシフトしてきています。
欧州と比較しても景気回復スピードが速い米国では、調整による低下以外は、金利が大きく下げる要因があまり見当たりません。
つまり、米金利の上昇トレンドは変わらず、その上昇にもっとも相関性が高い米ドル/円という通貨ペアは底堅く推移し、上値余地が大きく拡大しているのではないかと想定しています。
米ドル円の節目を見てみると、前述の38.2%戻しとなる109.27円、次は心理的節目となる110.00円、さらに50%戻しの112.44円ということになります。
米金利の上昇に並走し、中期の米ドル/円は120円に向かうのではないか(?)と想定しています。
(出所:TradingView)
米金利の上昇に呼応し、米ドル/円は上昇トレンドに――。中期では120円へと上昇を開始した米ドル/円の動向に注目です。
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