■米長期金利は上昇しやすい状況継続へ
金融市場は長期金利主導の相場展開となっています。
米長期金利は、バイデン大統領の1.9兆ドルの経済対策期待や、新型コロナウイルスのワクチン普及で経済がコロナ前に戻るとの期待もあり、ここまで上昇してきました。
【参考記事】
●豪ドル/円は、80円台あたりで下げ止まるか。短期的な下げは長期での買い場になりそう(3月2日、バカラ村)
(出所:TradingView)
3月4日(木)に、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の講演がありました。米長期金利が上昇していたことを受け、この講演では、米長期金利上昇を止めるような発言が出るのではないかと注目されていました。
パウエル議長の発言では、米長期金利の上昇に警戒感は示されたものの、具体的な対策は示されませんでした。これにより、米長期金利はさらに上昇することになりました。一方で、米国株は軟調な展開となりました。
3月4日(木)のパウエル議長の発言では、米長期金利上昇に警戒感は示したものの、具体的な対策は示されなかった (C)Bloomberg/Getty Images News
3月5日(金)には米雇用統計が発表されましたが、非農業部門雇用者数は37.9万人(市場予想:18.2万人)、前月は4.9万人から16.6万人に上方修正され、来月以降の雇用統計も良いとの期待も出ていることから、米長期金利はさらに上昇し、1.62%台まで上がりました。
そして、週末には1.9兆ドルの経済対策法案が米上院で可決されました。ただ、下院を通過した法案を修正したため、再度下院で可決する必要があり、3月9日(火)に再度採決される見通しとなっています。
法案成立はほぼ確実だと思いますので、金融市場にはほぼ織り込まれていると思います。そのため法案が成立したとしても米長期金利が急騰するようなことはないと思いますが、今後も米長期金利は上昇しやすい状況が続くことになります。
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■日米金利差サポートに、米ドル/円は上昇しやすい状況
3月16日(火)~17日(水)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されますが、米長期金利の上昇に対する対応が注目されると思います。
米国株は先週(3月1日~)は軟調に推移していましたが、FRBは超長期的に低金利を継続することを示唆しており、バイデン大統領の経済対策による1400ドルの現金給付も出るため、米国株は上下動をしながらも上昇していくのではないかと思います。
(出所:TradingView)
為替市場は米長期金利の上昇により、米ドル高になりやすい状況は続きます。
米国は1.9兆ドルの経済対策によって、他の国よりも景気回復期待があるため、日本からも外債投資などが出やすいと思います。
各国の長期金利は上昇傾向にありますが、黒田総裁は長期金利の変動幅を拡大させることを否定しており、日本では低金利が継続することになります。
(出所:TradingView)
そのため、日米金利差も米ドル/円のサポート材料となり、米ドル/円は上昇しやすい状況になります。
(出所:TradingView)
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■ダイバージェンス発生で、ユーロは1.16ドル水準まで下落も
米ドル高に推移しているため、ユーロ/米ドルも1.1854ドルまで下落しました。
週足ではMACDがダイバージェンスしており、週足ベースではまだ下がる可能性があることになります。
【参考コンテンツ】
●【FX初心者のための基礎知識入門・第5章テクニカル分析入門】ダイバージェンスの発生は相場転換の予兆!?オシレーター指標と価格の動きがバラバラ
ダイバージェンスした際のターゲットの目安としては、ダイバージェンスしたときの谷がひとつの目安になりやすいです。
今回のユーロ/米ドルの谷は、昨年(2020年)9月と11月につけた1.16ドル水準になるので、ここをサポートに下がる可能性があることになります。
(出所:TradingView)
IMM(国際通貨先物市場)ポジションでは、主要6通貨(円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、カナダドル、豪ドル)で278億ドルの米ドル売りになっています。
一時的に、約350億ドルまで米ドル売りになっていたので、そこからは減少しているものの、まだ米ドル売りが多い状態となります。
短期的なインディケーターは、米ドルの買われ過ぎを示唆しているものもあるため、調整する可能性もありますが、ただ週足ベースではIMMポジションの手仕舞いが出る可能性もあるため、米ドル高が継続する可能性があると考えています。
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