■ヘッジファンドの巨額損切り、野村HDが15%安
今日(3月29日)の前場で、野村HD(ホールディングス)が一時15%安まで売り込まれました。
週末に報じられた、ゴールドマンサックスなどによる「ブロック取引(大口の立会外取引)」の影響ですね。

(出所:TradingView)
アルケゴス・キャピタルが、巨額損失により取引の清算を迫られたことで、200億ドル規模のブロック取引が出ました。損切りの取引です。
野村の米子会社は、アルケゴスのプライムブローカーのひとつだったため、20億ドル規模の損失が発生する可能性があるようです。
アルケゴスは、どんなポジションを持っていたのでしょうか?
ひとことでいえば、「中国株ロング、S&P500ショート」。
今回はその清算取引ですから、中国株ショートとS&P500ロングの注文が、市場に出てきたことになります。
これだけを見れば、中国株にはネガティブですし、米国株にはポジティブですね。
■アルケゴスの損切りは終わっていない可能性も
アルケゴスは、なぜ追い込まれたのか。中国株は、それほど下がっていたわけではないのに……。
よほどレバレッジをかけていたのでしょうか。
こうした情報が、なぜ出てくるのかも謎ですね。
もし、まだ切れていないポジションがあるなら、さらに不利になるだけです。
金曜日(3月26日)ですべて切れているならいいですが、まだ出てくる可能性もゼロではないですね。
■IMMの円売りポジション増加も、まだ円売り余地は十分
先週のコラムでも話題にした、IMM(国際通貨先物市場)の円ポジションの大転換ですが、またショートが増えていますね。
【参考記事】
●中銀総裁更迭でトルコリラ/円が大暴落! ドル/円はいずれ120円との見通し変わらず(3月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
土曜日(3月27日)に発表された数字は、5.3万枚の円売りへと増えていました。
過去には14、15万枚程度までふくらんだこともあるので、まだ円が売られる余地は充分です。
【参考記事】
●IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?(2018年9月27日)

(詳しくはこちら → IMM/経済指標・政策金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
彼らの米ドル/円の持ち値が108円台なら、今は充分に含み益が乗った状態。
これが107円台へと反落して、1カ月、2カ月と続いているなら、損切りによる円高に警戒する場面ですが、その必要もないでしょう。
■「株安で円高」のルールは消失へ
水曜日(3月31日)は、四半期末であり、年度末ですね。
4、5年前までは、精度の高い期末フローの情報が漏れていました。
最近は漏れ伝わることもなく、憶測でやると、当たるも八卦当たらぬも八卦の世界。
期末フローをもとにしたトレードは、やりにくくなっています。
いずれにせよ、新年度に入る4月1日(木)からガラッと展開が変わるのも、よくある動き。
新年度で動き出したら、逆らわずに取引するのがいいでしょう。
4月から外債投資を増やす本邦勢も多いでしょうね。そうすると、米ドル/円の上昇材料となります。
米株で気になったのは、FRB(米連邦準備制度理事会)が米銀に課していた自社株買いや増配の制限を6月末で緩和する、と発表したこと。米株の強気材料になりますね。
1400ドル給付金の支給も始まり、米株には追い風。
リスクとしては、地政学面での不安が高まっている中国くらいでしょうか。
このところ、鮮明になっているのが「株が落ちれば円が買われる」というルールの消失。
日経平均が落ちても、米ドル/円は落ちなくなっています。

(出所:TradingView)
■下落余地が限定的な米ドル/円は、上昇トレンドが続きそう
円高材料がひとつ、消えてしまったことになりますね。
中国は、イランと長期戦略協定を結びました。闇で買っていたイラン産原油を、おおっぴらに買うようになるのでしょう。
イラン産原油が市場へ出てくるとの思惑が高まれば、原油価格は下落圧力が高まります。
イランへの経済制裁を行っている米国との対立は、先鋭化することになりますね。
4月1日(木)には、OPECプラス(※)がオンライン会合を行います。
原油価格を下げたくないですし、今回も減産が継続される見通しです。
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
今週の戦略としては、米ドル/円の押し目買い継続でいいのでしょう。
安心感というと言い過ぎかもしれませんが、株が落ちても円が買われない傾向が鮮明になり、先週のトルコリラショックでも、米ドル/円はたいして下げなかった。
下落余地が限定的な米ドル/円は、引き続き上昇トレンドが続くのでしょう。

(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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