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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル/円の押し目買いを継続!
株が落ちても円が買われない傾向が鮮明に

2021年03月29日(月)15:19公開 (2021年03月29日(月)15:19更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■ヘッジファンドの巨額損切り、野村HDが15%安

今日(3月29日)の前場で、野村HD(ホールディングス)が一時15%安まで売り込まれました。


週末に報じられた、ゴールドマンサックスなどによる「ブロック取引(大口の立会外取引)」の影響ですね。

野村HD 日足
野村HD 日足チャート

(出所:TradingView

アルケゴス・キャピタルが、巨額損失により取引の清算を迫られたことで、200億ドル規模のブロック取引が出ました。損切りの取引です。


野村の米子会社は、アルケゴスのプライムブローカーのひとつだったため、20億ドル規模の損失が発生する可能性があるようです。

アルケゴスは、どんなポジションを持っていたのでしょうか?

ひとことでいえば、「中国株ロング、S&P500ショート」。


今回はその清算取引ですから、中国株ショートとS&P500ロングの注文が、市場に出てきたことになります。


これだけを見れば、中国株にはネガティブですし、米国株にはポジティブですね。

■アルケゴスの損切りは終わっていない可能性も

アルケゴスは、なぜ追い込まれたのか。中国株は、それほど下がっていたわけではないのに……。


よほどレバレッジをかけていたのでしょうか。

こうした情報が、なぜ出てくるのかも謎ですね。


もし、まだ切れていないポジションがあるなら、さらに不利になるだけです。

金曜日(3月26日)ですべて切れているならいいですが、まだ出てくる可能性もゼロではないですね。

■IMMの円売りポジション増加も、まだ円売り余地は十分

先週のコラムでも話題にした、IMM(国際通貨先物市場)の円ポジションの大転換ですが、またショートが増えていますね。

【参考記事】
中銀総裁更迭でトルコリラ/円が大暴落! ドル/円はいずれ120円との見通し変わらず(3月22日、西原宏一&大橋ひろこ)

土曜日(3月27日)に発表された数字は、5.3万枚の円売りへと増えていました。


過去には14、15万枚程度までふくらんだこともあるので、まだ円が売られる余地は充分です。

【参考記事】
IMMの危険水準は円10万枚、ユーロ15万枚、英ポンド10万枚だが、さらに確認すべきは?(2018年9月27日)

IMMの円のポジション状況 3月23日時点
IMMの円のポジション状況 3月23日時点

(詳しくはこちら → IMM/経済指標・政策金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

彼らの米ドル/円の持ち値が108円台なら、今は充分に含み益が乗った状態。


これが107円台へと反落して、1カ月、2カ月と続いているなら、損切りによる円高に警戒する場面ですが、その必要もないでしょう。

■「株安で円高」のルールは消失へ

水曜日(3月31日)は、四半期末であり、年度末ですね。

4、5年前までは、精度の高い期末フローの情報が漏れていました。


最近は漏れ伝わることもなく、憶測でやると、当たるも八卦当たらぬも八卦の世界。


期末フローをもとにしたトレードは、やりにくくなっています


いずれにせよ、新年度に入る4月1日(木)からガラッと展開が変わるのも、よくある動き


新年度で動き出したら、逆らわずに取引するのがいいでしょう。

4月から外債投資を増やす本邦勢も多いでしょうね。そうすると、米ドル/円の上昇材料となります。


米株で気になったのは、FRB(米連邦準備制度理事会)が米銀に課していた自社株買いや増配の制限を6月末で緩和する、と発表したこと。米株の強気材料になりますね。


1400ドル給付金の支給も始まり、米株には追い風。


リスクとしては、地政学面での不安が高まっている中国くらいでしょうか。

このところ、鮮明になっているのが「株が落ちれば円が買われる」というルールの消失


日経平均が落ちても、米ドル/円は落ちなくなっています。

日経平均&米ドル/円 日足
日経平均&米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

■下落余地が限定的な米ドル/円は、上昇トレンドが続きそう

円高材料がひとつ、消えてしまったことになりますね。


中国は、イランと長期戦略協定を結びました。闇で買っていたイラン産原油を、おおっぴらに買うようになるのでしょう。


イラン産原油が市場へ出てくるとの思惑が高まれば、原油価格は下落圧力が高まります。

イランへの経済制裁を行っている米国との対立は、先鋭化することになりますね。

4月1日(木)には、OPECプラス(※)がオンライン会合を行います。


原油価格を下げたくないですし、今回も減産が継続される見通しです。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

今週の戦略としては、米ドル/円の押し目買い継続でいいのでしょう。


安心感というと言い過ぎかもしれませんが、株が落ちても円が買われない傾向が鮮明になり、先週のトルコリラショックでも、米ドル/円はたいして下げなかった


下落余地が限定的な米ドル/円は、引き続き上昇トレンドが続くのでしょう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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