■米長期金利急騰で株価急落
2月最終週(2月22日~)だった先週木曜日(2月25日)、米長期金利は1.6%台まで急騰して、NYダウが崩れました。
(出所:TradingView)
以前から言っていたとおり、1.5%を超えるのはOKですが、問題は金利上昇のスピード感だということですね。
米債市場では月末ということもあり、投げ売りが出たようです。
【参考記事】
●強い豪ドル。金利面からも、月足チャートからも、豪ドル/円は押し目買いでよさそう(2月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
●コロナ対策の成否で通貨に明暗。英ポンド上昇の理由は、ワクチン代金の支払いかも(2月8日、西原宏一&大橋ひろこ)
7年債の入札が「悲惨な結果」と言われるほどの記録的不調だったことから、米債市場では500億ドル相当のポジションが解消されたそうです。
ただ、S&P500はNYダウほど崩れてはいません。ここからの展開はどう見ますか?
米長期金利も1.4%台へ戻りましたし、これで大崩れするとは思いません。
米債の投げの速さに市場が驚いた、という程度でしょう。
(出所:TradingView)
S&P500全体の配当利回りは、およそ1.48%程度だそうです。
米長期金利が1.48%を超えてきたことも、株が下げる要因だったのかもしれないですね。
■「月末下げ・月初上げ」の法則に注目
先週(2月22日~)の下落は、月末要因が混じっていた可能性もあります。
株式市場では「月末に下がって、月初に買われる」動きが続いており、今日からは3月。
今週前半は買い戻されるかも出るかもしれませんし、NYの動きを見たいですね。
「月末下げ・月初上げ」は5カ月連続。これが続くのかどうか、注目ですね。
気になったのが、G20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)でのイエレン米財務長官の発言。
グローバルIT企業に対するデジタル課税に積極的な姿勢を見せました。
これまでデジタル課税を食い止めてきたのは、IT企業とケンカを繰り返していたトランプさん。
それを民主党政権になって撤回するというのは、意外な感じもありますね。
7月のG20(20カ国・地域財務大臣・中央銀行総裁会議)で合意を目指すようで、スピード感は早い。
デジタル課税が実現すると、グーグルやフェイスブックなどのIT企業にはネガティブですし、株価が調整するきっかけになるかもしれませんね。
■米ドル/円、長期トレンドラインの攻防へ
為替市場に目を移すと、このところ株が上がっても下がっても強いのが米ドル/円です。
2015年高値の125円台から引いたトレンドラインに迫ろうかという水準まで上がってきました。
そう大きなボラティリティは出ないと思いますが、バイ・オン・ディップ(押し目買い)でいいのかなという感じはあります。
(出所:TradingView)
先週は、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も動きましたね。
英ポンド/円は、150円の節目に到達。豪ドル/円は、85円の節目に接近。先週の対談で話したユーロ/円も、三角保ち合いを上抜けて130円直前へ。
ところが、出遅れていたユーロが上昇したのを最後に、クロス円は一斉に反落しています。
なかでも注目は、豪ドル。
豪ドル/米ドルの0.79ドルには大きなオプションがあったのですが、あっさり貫通して下げました。
それだけ売り圧力が強いのでしょうし、少し調整が続くのかなと思います。
【参考記事】
●強い豪ドル。金利面からも、月足チャートからも、豪ドル/円は押し目買いでよさそう(2月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
■底堅くなってきた米ドル/円を押し目買い
今週(3月1日~)のイベントでは、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の政策発表が3月2日(火)。
政策金利は、据え置きの見通しです。
RBAが気にするのは、レベル感よりもスピード感。
急騰していた豪ドル/米ドルが0.80ドル台を維持していれば、通貨高を牽制する発言が出たのかもしれませんが、すでに0.77ドル台まで調整しています。
このスピードなら問題ないでしょう。
コモディティでは、OPECプラス(※)の閣僚級会合が3月4日(木)開催。
このところの原油高で減産枠の縮小、つまり、増産のウワサも出ています。
減産枠の縮小となれば原油安となる可能性がありますが、インフレ懸念が台頭している今は、悪材料にはならないかもしれません。
インフレ期待、金利が抑え込まれているほうが、株式市場にはプラスではないかと。
今週の戦略は、どう考えますか?
(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)
長期的な豪ドル高の展望は変わりませんが、豪ドルや英ポンドなどクロス円の調整はもう少し続くのでしょう。
そうなると、底堅くなってきた米ドル/円の押し目買いでしょうか。
106円台半ばを買いたくはありませんが、下がったところは拾っていいのではと思います。
ただ、月初でもありますから、今夜のNY市場を見てから判断しても遅くはないでしょう。
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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