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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

中銀総裁更迭でトルコリラ/円が大暴落!
米ドル/円はいずれ120円との見通し変わらず

2021年03月22日(月)11:37公開 (2021年03月22日(月)11:37更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■ハト派のFOMCでも、米10年債利回りは上昇

先週(3月15日~)はFOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀の金融政策発表が続きましたね。


FOMCでは、ドットチャートの変化が注目されていました。


利上げ時期が前倒しされるのではとの予想があったものの、2023年まで利上げしないとの見通しは変わりませんでしたね。

【参考記事】
85円突破の豪ドル/円、90円に向けて上昇! ハト派なFOMC。2023年末までゼロ金利維持か(3月18日、西原宏一)

3月17日のFOMCのドットチャート
3月17日のFOMCのドットチャート画像

(出所:FRB(米連邦準備制度理事会))

思っていたよりもハト派だという印象


発表直後は米ドルが売られ、株が買われて、NYダウは史上最高値を更新しました。


これは想定どおりですが、違和感を覚えたのは米10年債利回りが下がらなかったこと

FOMC翌日(3月18日)の米10年債利回りは1.75%まで上昇。


注目されていたSLR(補完的レバレッジ比率)の延長について、FOMCで結論が出なかったことも影響したのでしょう。


結局、翌々日に打ち切りが発表されましたが、それが織り込まれていたのかもしれませんね。

【参考記事】
米ドル/円を引き続き、押し目買い! 中長期投資家の参入で、ゲームチェンジが鮮明に(3月15日、西原宏一&大橋ひろこ)

米10年債利回り 日足
米10年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

SLRは、もともとコロナ禍での措置でしたから、延々とやるわけにもいかないのでしょう。

■日銀の金融政策は日経リーク記事どおりの結果に

日銀は長期金利の変動幅を拡大し、ETF(上場投資信託)の買い入れ目標を撤廃しました。


前日(3月18日)の日経新聞に掲載されたリーク記事どおりの内容でしたね。

リークすることで、市場へのショックをやわらげたいのでしょうが、おかしな話ですね。

ETFの購入対象についても、TOPIX型のみに変更。


株式市場では、日経平均で大きな比率を占めていたファーストリテイリングやソフトバンク、アドバンテストなどが売られ、金利変動幅の拡大で恩恵をこうむる銀行株が買われる展開となっています。

日経平均をTOPIXで割って計算する、NT倍率も低下していますね。

米ドル/円は、いかがですか。


日銀は、長期金利の変動幅を±0.25%程度と明確にしました。


変動幅の拡大はわずか0.05%ですが、方向としては引き締め。ECB(欧州中央銀行)やFRBとは逆方向です。


円高要因とされてもおかしくありませんが、先週の米ドル/円は高値を更新しました。

チャート的にも崩れそうな形をしているのですが、下がっても50銭程度ではないかと想定しています。


先週のコラムでも話したように、中長期のプレイヤーが108円台を買ってきており、ゲームチェンジとの見通しは変わりません。いずれ120円をめざすのでしょう。

【参考記事】
米ドル/円を引き続き、押し目買い! 中長期投資家の参入で、ゲームチェンジが鮮明に(3月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
米ドル/円は中期で120円に向けて上昇か。米金利の上昇に呼応し、上値余地拡大!(3月11日、西原宏一)

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

■IMMの円ポジションがロングからショートへ大転換!

IMM(国際通貨先物市場)では、前回までロングだった円が、約4万枚のショートへと大転換しています。驚きですね。


これだけ急に米ドル/円が買われてしまうと、ここから上は重たくなるのでは、とも思いますが。

IMMの円のポジション状況 3月16日時点
IMMの円のポジション状況 3月16日時点

(詳しくはこちら → IMM/経済指標・政策金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

IMMのプレイヤーが見方を変えてきたというのは、ポジティブに捉えています


円ショートが長期間たまって利食いできないという状態なら、その投げに気をつける必要があるのでしょうが、円ショートに転換したばかり。ここから積み上がる余地も十分あります


ただ、チャートだけを見れば下がりそうに見えるのも事実。時間調整した上で、上昇再開となるのでは

3月は日本の年度末であり、欧米勢にとっても第1四半期の終わり。特殊な月ですし、実際、ポジション調整による米国債の売りも出ていたようです。


価格で調整するのか、時間で調整するかはともかく、4月になれば、米ドル/円の上昇再開に期待できそうです。

■トルコ中銀総裁、更迭! 緊急利下げも?

トルコでは週末、中央銀行の総裁が更迭されました。


トルコ中銀はサプライズ利上げをしたばかりですが、エルドアン大統領の怒りを買ったのでしょう。


今朝(3月22日)のトルコリラ/円は、2円の大暴落で始まりました。暗号資産(仮想通貨)さながらのボラティリティですね。


注目は、新総裁の次の一手。利上げを嫌うエルドアン大統領の視野には、緊急利下げも入っているのでしょう。

トルコリラ/円 1時間足
トルコリラ/円 1時間足チャート

(出所:TradingView

豪ドルは、いかがですか?

RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が意識している、豪ドル/米ドルの0.80ドルはさすがに重い。いったん調整でしょうか。


今朝もトルコリラに連れ安しましたが、トルコリラ続落なら、豪ドルもひっぱられるかもしれません。


今週(3月22日~)は、米ドル/円の押し目買いでいいのでしょう。


まだ調整が続くかもしれませんが、上昇再開に備えて買いポジションは持っておきたいところです。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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