前日に米国株が大きく戻ったおかげで昨日のアジア時間ではリスクテークの勢いが強まった。ドル相場は総じて強めに推移して、ドル円も早く107円台を脱したがっている状態が続いた。しかしニューヨーク時間の午後になるとバイデン大統領が富裕層に向けた増税を打ち出したのが、マーケットのリスク回避を誘った。
キャピタルゲイン課税を2倍に引き上げると同時に、所得税の最高税率も引き上げるというものだ。これで米国株が急落に転じた。しかし内容としては大統領選の前から言ってきたことと同様である。それに目をつぶってきただけの過剰な反応がマーケットに現われただけなのだろう。ドル円も107円台に逆戻りした。
そして昨日は温暖化サミットがビデオによるオンライン形式で開かれた。40カ国が参加しても滞りもなく進んだことから、もうG7とかいう狭い枠組みでやるのではなく、もっと広い範囲での国際会議を開いていくべきだろう。
その会議では事前に予想されたように各国が2030年までの目標を引き上げることに成功した。メインのアメリカは2030年までに50%までの削減を表明した一方で、中国は石炭発電を減らすというだけで努力目標を示すにとどまった。
数字が出そろう中で日本も50%という数字を意識したせいか、あまりにも不自然なアクションプログラムとなった。他国が2005年の排出量に比べてとしているのに、日本だけが2013年に比べてなのだ。
2013年はどういう年であったかというと、原発事故によって稼働している原発がゼロになって、多くの電力発電を石炭火力に依存していた時期だ。つまりもっとも排出量の多い時期。それに比べてというのだから、事実上はあんまり努力をしないと表明しているのと同じである。
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