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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

豪州の経済予想は、今後上ブレがほぼ確実と
言えるワケは? 豪ドル/円の押し目買い継続

2021年05月17日(月)17:04公開 (2021年05月17日(月)17:04更新)
西原宏一&大橋ひろこ

ザイFX!では読者の皆様へ簡単なアンケート調査を行なっております。お手数おかけしますがご協力をお願いいたします!!

■ビットコイン/円が500万円割れまで急落

ビットコイン/円が500万円割れまで急落しました。


世界最大の暗号資産(仮想通貨取引所バイナンスへ、米司法省のIRS(内国歳入庁)が調査へ入ったとブルームバーグが報じたことが材料のようです。

ビットコイン/円 日足
ビットコイン/円 日足チャート

(出所:TradingView

昨夜(5月16日夜)未明に、テスラのイーロン・マスクCEOがビットコイン売却の可能性を示唆したことも悪材料


イーロン・マスクへの期待で買われていた分の「テスラプレミアム」が剥落するかもしれません。

テスラのイーロン・マスクCEO写真

テスラのイーロン・マスクCEOは昨夜未明、ビットコイン売却の可能性を示唆した。イーロン・マスクへの期待で買われていた分の「テスラプレミアム」が剥落するのかも… (C)Getty Images

バイナンスへの調査はマネーロンダリング対策の一環だろうと思いますが、バイナンス自体に何らかの不正が発覚するようだと影響が長期化するかもしれませんね。

前回のコラムで話題にした、サイバー攻撃により操業停止へ追い込まれた米バイプラインですが、通常オペレーションへと戻りつつあるようです。


CNNによれば身代金を支払ったとのこと。その支払いに暗号資産が使われたのではとの憶測も飛んでいます。

【参考記事】
木材や鉄鉱石の急騰で、資源国通貨買い!豪ドル/円は直近高値上抜けで90円視野に(5月10日、西原宏一&大橋ひろこ)

バイナンスへの調査がパイプラインの件と関連していると考えるのは、うがち過ぎでしょうが、気になるところですね。

■コモディティの一斉下落に要警戒

警戒したいのがコモディティ


先週(5月10日~)半ばから鉄鉱石や木材、コーンなどが崩れてきました。


それぞれ材料は違うのですが、同じタイミングで、さらにビットコインまで崩れてきているというのは気がかりですね。

【参考記事】
次にテーパリングに動くのは米国なのか? 材木相場続伸で、カナダドル/円は95円目標(5月13日、西原宏一)
木材相場が1カ月で2倍の急騰! その木材相場をCFDで取引できるって知ってた?
テーパリング着手で上昇のカナダドルは、材木相場の急騰で、さらに買い妙味アリ?(5月6日、西原宏一)

シンガポール鉄鉱石先物 日足
シンガポール鉄鉱石先物 日足チャート

(出所:TradingView

シカゴ木材先物 日足
シカゴ木材先物 日足チャート

(出所:TradingView

上げ過ぎた感がありましたから、その調整ではないでしょうか。


先週は鉄鉱石の下落により、豪ドル/円のロングをいったん手仕舞いましたが、鉄鉱石は戻ってきましたし、大崩れするイメージはありません

木材やコーンは下落が続いていますし、今朝(5月17日朝)の日経平均も弱い。米金利も木曜日(5月13日)から下げています。


米CPIは予想を大きく上回って驚異の前年比4.2%増となったのに、インフレ期待は一瞬だけでした。


そのような状況ですが、リスクオン継続と考えていいのでしょうか?

【参考記事】
失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)

中長期的には米金利の上昇は続くと思いますが、3月に急騰しましたし、一気に2%を超えるという感じではありません。


米金利はうだうだして、株も急落しない「ゴルディロックス(適温相場)」が続くのでしょう。

米10年債利回り 日足
米10年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

米金利がさほど上がらないということで、買われそうなのがゴールド。じわじわと上昇し、200日移動平均線を超えつつあります。


インフレ期待が薄れたわけではなく、ゴールドの上昇が本格的なインフレヘッジの高まりを示しているのかもしれません。

NY金先物 日足
NY金先物 日足チャート

(出所:TradingView

■海外勢は「五輪中止なら日本株買い」か

今のところ市場への影響はないですが、緊迫するイスラエル情勢も気がかりですね。


昨年(2020年)まではトランプ大統領がうまくまとめていたのですが、政権が変わった途端に問題が噴出してしまいました。

事態が深刻化すると、リスクオフ的な動きも出てくるかもしれないですね。


明日(5月18日)日本で1-3月期GDPの発表です。


前回は前期比年率で11.7%増でしたが、今回はマイナスへ落ち込む予想。緊急事態宣言の発出で、4-6月期も弱い数字となるでしょう。


米国の1-3月期は6.4%増でしたから、コロナから脱却しつつある国との格差が鮮明


日経平均は厳しいですね。

日銀のETF(上場投資信託)買いも、TOPIX限定となりましたからね。

一部では「五輪中止なら日本株買い」との見方も出ているようです。

その見方をする海外勢は多い


「やるの? 中止なの?」と右往左往していれば買いにくいですから、中止決定=アク抜けということなのでしょう。

■豪ドル/円は85円台が重いが、いずれ上抜けへ

今週の戦略はどう考えますか?

IMF(国際通貨基金)のマクロ経済予測では、豪金利が反発傾向であるのに対して、日本は低下傾向。


さらに、豪州政府が経済予想に使っている鉄鉱石価格は55ドルですが、足もとでは200ドル台


豪州の経済予想は、今後上ブレがほぼ確実だということになります。

そうすると豪ドル/円の買い、ということになりますね。

85円台が重いですが、いずれ上抜いてくるのでしょう。


今週も引き続き、豪ドル/円の押し目買いでいいと思います。

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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