■FOMC議事要旨を受けて、米ドル上昇も続かず
金融市場の注目テーマはテーパリング(※)ですが、5月19日(水)に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨では、一部のメンバーからテーパリングについて将来の会合で議論することが示唆されました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
5月7日(金)に発表された米雇用統計が悪かったため、テーパリングの時期が後退する可能性もありましたが、それを払しょくするような内容でした。
【参考記事】
●米雇用統計が驚くほど弱く、米ドル急落。英ポンド/米ドルは、今年高値トライを期待(5月11日、バカラ村)
これを受けて、米ドル/円は108.57円から109.30円まで上昇。米長期金利は1.69%台まで上昇しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
ただ、米ドルの上昇は続かず、為替市場の多くの通貨ペアでは、横ばいが継続しています。
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■買い材料があっても、米ドル/円の上昇が続かない理由
米ドル/円は、今月(5月)に入ってから108.33円~109.78円で横ばい推移。
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは、直近1週間ほど1.2160ドル~1.2245ドルの狭いレンジでの横ばい推移が続いています。
(出所:TradingView)
米ドル/円は、5月12日(水)に発表された予想を上回る米CPI(消費者物価指数)を受けても、109.78円までの上昇となり、今回のFOMC議事要旨でも上昇が続かないとなると、もし売り材料が出れば、108円台ミドルのサポートも下抜ける可能性があると思います。
【参考記事】
●強い米CPIで、FRBは難しい舵取りに。金融市場のボラ高まれば、トレードの好機か(5月25日、バカラ村)
(出所:TradingView)
買い材料があるにも関わらず米ドル/円が上昇しないのは、市場参加者がやる気がないのか、材料として弱いと考えるべきか、上値が重いと考えるのか、このどれかになると思います。
上値が重いようにも見えるため、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が下がるようであれば、米ドル/円も下へのリスクが出てくると思います。
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■6月ECB理事会、FOMC待ちの局面
英ポンド/円のチャートを見ると、153.40円の4月の高値が、今はサポートとして機能しています。
まだ上昇の形のままですが、この水準を下抜けるようであれば、155円は目先の天井に変わり、下げ余地も大きくなると思います。
(出所:TradingView)
豪ドル/米ドルは、4月7日(水)に0.7670ドルの高値があり、その水準が今はサポートとなっています。
(出所:TradingView)
これも、英ポンド/円と同じような形で、以前のレジスタンスがサポートに変わって、強い状態です。
ただ、0.7670ドルを下抜けるようであれば、0.7815ドルが目先の天井となり、下抜けたあとに反発が0.7700ドルを超えることができないようであれば、下げ幅が大きくなる形です。
まだ、今は強い形を維持していますが、このサポートを下抜けて、さらにそのときに米国株が下がっているようなリスク回避の動きをしていれば、英ポンド/円などのクロス円や、豪ドル/米ドルなどを追いかけて売ってもうまくいくのではないかと思います。
今はもみ合いで方向性のない推移が続いているため、動きが出るのを待つタイミングだと思います。
来月(6月)はECB(欧州中央銀行)理事会やFOMCがあり、テーパリングについての発言も出てくると思います。そのときには為替相場も動きが出てきていると思いますので、そのときを待つか、テクニカルを頼りに細かい動きを取るしかない局面だと思います。
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