■FOMCの議事録で、正常な市場の反応が一時見られた
FX市場は、ここのところ非常に読みづらい展開が続いています。
これまでのコラムでもご紹介していますが、景気、金利、為替の相関関係が崩れてしまっていることが原因で、それが今も続いています。
【参考記事】
●失業手当の充実が、悪い雇用統計の原因か。より実態を反映しているのは強い米CPI(5月13日、今井雅人)
●米国の強さを改めて痛感。それでも、米ドル高がどんどん進行しない理由は?(5月6日、今井雅人)
●米長期金利が比較的堅調なのに米ドル全体の動きがさえず、円安が進んでいるのはなぜ?(4月30日、今井雅人)
●米ドルの大崩れはないだろう。最近の為替市場で起こった不思議な動きについて解説(4月22日、今井雅人)
ただ、昨日(5月19日)だけは、それまでの正常な動きが一時的に見られました。
それは、FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録(4月27日~28日分)が発表された時の市場の反応です。
FOMCの中で数人の参加者から「FOMCが設定する目標に向けて、経済の急速な進展が継続すれば、今後ある時点の会合で、資産買い入れペースの調整をめぐる討議を開始することが適切になる可能性がある」と指摘する意見があったとの記述がありました。
これは何を言っているかといえば、経済が回復してきた場合、これまでの国債などの買い入れの量を減らす、いわゆる「テーパリング」を検討するということです。
現在、米国ではワクチンの接種が普及して、経済が正常化しつつあります。
そういう状況の中でしたので、これは金融の引き締めに転じる可能性があると市場が理解して、米長期金利が上昇し、それにつられて米ドルも上昇するという流れになったということです。
(出所:TradingView)
極めて合理的な反応をしたと思います。ただ、これも長続きするものではなく、一時的な反応に終わってしまうのではないかと考えています。
全体的に見れば、まだまだ、方向感の出ない動きが続くのではないかと思いますので、あまり大きな期待をしないで、細かいトレードを心掛ける時期なのかもしれません。
■米ドル/円のレンジ相場は続きそう
さて、その上で、主だった通貨ペアの動きをみていきたいと思います。
まずは、米ドル/円です。ここ1カ月ほどはレンジ相場が続いています。この傾向はこれからも続くと考えておきます。
実際、昨日108円台に入ったところでは、内外投資家からのしっかりした米ドル買いが見られましたので、そのあたりは底堅くなってくると思います。
一方で、110円を超えていくほどの積極的な理由もない状況で、投資家も上値を追いかけていくような姿勢ではありませんので、レンジ相場は続くと考えています。
(出所:TradingView)
■ユーロ/米ドルの上昇は一服か
次にユーロ/米ドルです。ユーロ/米ドルは、3月から上昇傾向が鮮明になっていますが、その理由については、私自身まったく理解に苦しんでいます。
ただ、今年(2021年)の2月25日(木)に1.2243ドルの高値を一時つけていて、そこが1つの節目になるのではないかと思っていたところ、昨日そのレベルを狙いに行く動きがありました。
結果、1.2245ドルまで一瞬上に抜けたのですが、その後が続かず、力尽きたかたちとなっています。これで、上昇は一服したのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
■米ドル/円の押し目買いが一番安全か
最後にユーロ円ですが、こちらも上昇傾向を続けていましたが、ユーロ/米ドルが高値挑戦で一服したと考えると、こちらも上昇傾向はいったん終わったと考えておきたいと思います。
(出所:TradingView)
全体的に難しい相場展開ですが、米ドル/円で押し目をしっかり拾って買うというのが、現時点においては、一番安全ではないでしょうか。
(出所:TradingView)
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