米2年債利回りは5%を突破も、米ドル/円は急落。ただ、円高トレンドに転換したとは考えていない
先週木曜日(7月6日)に発表された3つの米経済指標は、いずれも強い結果になりました。
・ADP雇用統計 予想22.5万人増→結果49.7万人増
・ISM非製造業景況指数 予想51.2→結果53.9
・JOLT求人件数 予想990万件→結果982.4万件(4月分が1010.3万件から:1032万件に上方修正)
この結果をうけて、米2年債利回りは5%を突破しました。
(出所:TradingView)
3月につけた今年の高値を上回り、米ドル/円も上昇しましたが、上値は144円台半ばまでと伸び切らず、反落しています。
さらに、翌日(7月7日)に発表された米雇用統計(NFP)が予想に届かなかったことで円高が加速し、先週(7月3日~)は142円まで下落しました。
(出所:TradingView)
米ドル/円は145円でいったん天井を付けたように思いますが、3月から続いた円安トレンドから円高トレンドへ転換したとはまだ考えていません。
(出所:TradingView)
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円を買う強い材料はない。日銀期待の円高が始まるとすれば、来週以降か
円高トレンドへの転換だと判断していないのは、円を買うような強い材料が出ているわけではないからです。
日本株の上昇局面では、海外勢による為替ヘッジの円売りが出ていたとの報道がありましたが、先週は日本株が下落したため、ヘッジの解消による円買いが出ていたのかもしれません。
日本株の下落は、毎年この時期に出てくるETF(上場投資信託)の換金売りによる一時的なものだったのだとすれば、それが終わった今週(7月10日)は、ヘッジの解消による円買いはもう出てこないことになります。
円買い材料として、日銀の政策転換に期待する声もありますが、次回の会合は7月27日(木)、28日(金)とまだ先です。思惑が高まってくるとしたら、来週(7月17日~)後半以降だと考えています。
そのため、今回の円高はあくまでもポジション調整による円高と考えており、大きく下げるイメージはありません。
円売りに偏っているIMM(国際通貨先物市場)ポジションにしても、本格的なポジション調整はこれからだと考えており、今回は「円高トレンドの始まり」というよりは「円安トレンドから横ばいへの転換」だというイメージで見ています。
(詳しくはこちら → IMM通貨先物ポジション/経済指標・政策金利)
米ドル/円が下落したとしても、6月20日(火)安値のサポートラインである141円台前半くらいまでだと考えており、上値は144円程度のレンジを形成するのではないかと考えています。
(出所:TradingView)
円高とともに進んだのは「腑に落ちないドル安」
円買いが発生するのは、これまで売られていた円ポジションの調整の一環として理解できるのですが、腑に落ちていないのが米ドル売りです。
先週は、対円だけではなく、ほとんどの通貨に対して、米ドルが売られました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
ユーロ/米ドルも1.08ドル台がサポートとなり、6月下旬から先週にかけて3度止められています。1カ月近く続いているレンジ上限の1.10ドルを上抜けしそうな形に見えます(その上の1.11ドルも強いレジスタンスですが)。
(出所:TradingView)
ドルインデックスを見ても、短期的に103.50を天井にしたダブルトップとなりつつあります。
(出所:TradingView)
値動きを見ると、米ドル安となっていることはあきらかですが、米2年債利回りは先週、5%を突破し高値を更新しています。
円高とともに米ドル高となるならば、納得できるのですが、足もとは米ドル安・円高です。
今年(2023年)は米ドル全面安・米ドル全面高といった米ドル主導の展開が何度かありましたが、先週も多くの通貨に対して、米ドルが売られました。
米ドル売りとなる理由がまだ不明確ですが、材料があとからついてくるのかもしれず、米ドルを中心にした相場がまた来るのかもしれません。
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米ドル/円、クロス円は戻り売りのチャートに。豪ドル/円にも注目を
チャートを見れば、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は戻り売りの形となっています。
ジグザグと上下に大きくブレるような値動きも想定され、一直線な円高は期待しづらいかもしれませんが、米ドル/円やクロス円は戻りを売っていく展開だと考えています。
目先は米ドル/円が一番売りやすい形ですが、豪ドル/円のチャート形状も悪化しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
どの通貨に対して円を買うか、チャートを見ながら判断していく形で考えています。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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