■米CPIはかなり強い結果に。米長期金利は一時1.70%台
5月12日(水)に発表された米国のCPI(消費者物価指数)は、前年同月比4.2%上昇(予想値3.6%上昇)、前月比0.8%上昇(予想値0.2%上昇)、コア指数は、前年同月比3.0%上昇(予想値2.3%上昇)、前月比0.9%上昇(予想値0.3%上昇)と、かなり強い数字が出ました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、平均で2%のインフレ目標としていたこともあり、この水準を超えてきていることから、早期の金融緩和終了懸念から株式市場は軟調に、米長期金利は1.70%台まで上昇、為替市場は米ドル高に推移しました。
ただ、米国の要人からは、インフレは一時的との発言もあり、米長期金利の上昇も続かず、昨日(5月17日)は1.60%台まで低下しています。
(出所:TradingView)
今年(2021年)に入ってからの金融市場は、米長期金利が主導となる展開が多く、その米長期金利の上昇が止まったこともあって、為替市場も大きな動きにはつながっておらず、落ち着いた展開となっています。
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■強い米CPIにより、FRBのかじ取りは難しくなるか
FRBは2つの使命があります。それは「雇用の最大化」と「物価の安定」になります。
5月7日(金)に発表された米雇用統計が驚くほど悪い数字だったことで、金融緩和が続くものと思われましたが、12日(水)に発表された米CPIは強い数字となり、金融緩和を続けるとさらに物価が上昇する可能性も出てくることになります。
【参考記事】
●米雇用統計が驚くほど弱く、米ドル急落。英ポンド/米ドルは、今年高値トライを期待(5月11日、バカラ村)
FRBとしては、これからの金融政策のかじ取りが難しくなってくるものと思います。
米CPIが強い結果となり、FRBの金融政策のかじ取りが難しくなってくるという (C)Bloomberg/Getty Images News
そうであれば、金融市場はボラティリティが高まることになり、トレードとしてはチャンスになる場面が増えるのではないかと思います。
FRBは雇用と物価のどちらを優先するのか、そこが重要となってくると思いますが、現在のコロナ禍では、まだ雇用は回復していないこともあり、パウエル議長は先に雇用の方を優先するのではないかと思います。
インフレに関しては、今回の米CPI上昇は一時的な可能性もあります。
今後は、バイデン大統領の成長戦略もあり、これがインフレを加速させる要因にもなりますが、増税も同時に行うため、景気を冷やす要因でもあります。また増税は共和党からの反対も出てくるため、成長戦略自体がすぐに決まることもないため、今回の米CPIの結果は一時的だった可能性も十分にあり得ます。
■季節性は米ドル高だが、米ドルじり安となる可能性も
今月(5月)は「セル・イン・メイ」の時期でもあるため、株式市場は軟調になりやすく、為替市場は米ドル/円以外のドルストレートで米ドル高になりやすい時期にもなります。
今回の米CPIの結果は、その季節性もあって、リスク回避に動きやすかっただけではないかと思います。
今年(2021年)に入ってから金融市場を主導してきた米長期金利は、強いCPIを受けても上昇が続かなかったこともあり、しばらくは横ばいが続くのではないかと思います
米長期金利が横ばいであれば、為替市場も明確な動きは出てきにくいと思います。
季節性からは、米ドル高になりやすい時期にはなりますが、大きな流れとして、4月に入ってからの米ドル安の動きはまだ止まっていないように思いますので、米ドルのじり安の可能性を考えています。
(出所:TradingView)
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■英ポンド/米ドルは、引き続き押し目買いが良さそう
英ポンド/米ドルは、一時1.4166ドルまで上昇しましたが、米CPIショックなどもあり、1.4005ドルまで下がりました。
前回のコラムと同じことの繰り返しになりますが、英ポンド/米ドルは1.4000ドルがサポートになるため、押し目があってもその水準までだと思います。
【参考記事】
●米雇用統計が驚くほど弱く、米ドル急落。英ポンド/米ドルは、今年高値トライを期待(5月11日、バカラ村)
今回、そこで下げ止まったこともあって、英ポンド/米ドルは強い形を維持しています。
(出所:TradingView)
ただし、もし1.4000ドルを下抜けるようなことになれば、1.42ドルでのダブルトップの形になるため、そのときは下げが大きくなると思います。
(出所:TradingView)
今は1.4000ドルでサポートされているため、1.42ドルをトライする動きが期待できるのではないかと思います。
英ポンド/米ドルは1.4000ドルから反発してきているため、今週(5月17日~)も引き続き押し目買い継続でいいのではないかと考えています。
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