■FOMCは2023年末までに2回の利上げ示唆
みなさん、こんにちは。
今週(6月14日~)、最大のイベントであるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が、日本時間17日(木)未明に発表されました。
FOMCの予想中央値は、2023年末までに2回の利上げ示唆。
(出所:FRB)
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長も「インフレは顕著に上昇した」とコメント。呼応して、米10年債利回りは一時1.59%台へ上昇しました。
(出所:TradingView)
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■下がり過ぎていた米債利回りに修正が入る
以前のコラム(前回の「ヘッジファンドの思惑」と月曜日に公開した「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」)でも取り上げていますが、今月(6月)に入って米国債利回りが下落するも、米ドル/円の下落は限定的。
【参考記事】
●米ドル/円は米長期金利の低下に追随せず、下値は限定的。上昇トレンドは継続か(6月10日、西原宏一)
●米長期金利低下でも米ドル/円下がらず。間違っているのは債券市場か?為替市場か?(6月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
米国債利回りと米ドル/円の相関性が高い局面で乖離が起こる時は、「短期投機筋の影響で買われ過ぎ、売られすぎが起こりやすい為替市場のほうが間違っている」ことが多く、その後、修正が起こります。
ただ私は、今回の米国債利回りの低下は、多く参加者のショートカバーによるものであり、米ドル/円よりも米国債利回りが修正すると考えていましたが、これまでのところはそういう動きになっています。
その理由は、前回のコラムでもご紹介させていただいたように、米国のインフレが進行している要因が変わらないからです。
【参考記事】
●米ドル/円は米長期金利の低下に追随せず、下値は限定的。上昇トレンドは継続か(6月10日、西原宏一)
私のロサンゼルスの友人の近所のマンションは、半年で20%上昇し、ガソリンも半年で1.5倍になったそうです。中古車市場の価格も急騰しているとのこと。
報道によれば、豚赤身肉先物価格が1ポンド=120セントレベルに急伸するなど、インフレが進行中。
このように多くの物の価格が上昇する環境下では、米金利の低下は一時的であり、基本上昇トレンドは変わらずとみます。
(出所:2021年6月10日公開のヘッジファンドの思惑から抜粋)
米国でインフレが進行しているのであれば、下がりすぎていた米国債利回りのほうが修正されるはずであり、米ドル/円の上昇トレンドも変わらないと考えています。
■米ドル/円は、109~112円レンジの押し目買いトレード
前述のように、米10年債利回りの下値は限定的だと考えていますが、逆に2.00%を超えるというのも考えにくいため、米ドル/円が112.00円を越えてくるのは、一定の時間がかかるとみています。
加えて、先月(5月)、米系短期筋が米ドル/円での米ドルコールを、110.00円と110.50円を1カ月物でかなりの金額をマーケットに投入したとの憶測もあり、110.50円より上のレベルではオプションのガンマ(※)からの米ドル売りが入りそうです。
そのため、米ドル/円は一気に上値を伸ばすというより、109~112円のレンジでていねいに押し目買いを繰り返すというトレードになるでしょうか?
(※編集部注:「ガンマ」とは、オプション投資の際のリスク指標のひとつ)
【参考記事】
●【西原宏一が教える FXトレード戦略超入門】オプションを知れば節目がわかる!
●【オプションFX】のスプレッドが大幅縮小!プロがやってるガンマトレードを個人もできる
(出所:TradingView)
ただ、その後、レンジを抜けるのは112.00円方向だとみています。
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■ユーロ/米ドルの上値は重い。再び1.1600ドルレベルへ
さらに注目したいのが、ユーロ/米ドル。
ユーロ/米ドルは「世界の外貨準備運用で米ドル離れが進んでいる」との報道が拡大していることもあり、3月31日(水)に到達した1.1704ドルの安値から反発すると続伸し、一時1.2266ドルまで上昇していました。
しかし、前述の報道を材料にマーケットがユーロ/米ドルを買い進めても、年初の1.2349ドルレベルを超えるわけでもなく、じわじわと上値が重くなってきていました、
(出所:TradingView)
加えて、以下をみるとIMM(国際通貨先物市場)のポジションもユーロロングが積み上がっているのがわかります。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
こうした状況下、米国債利回りの上昇が後押しした形で、FOMC明けのユーロ/米ドルは一時、節目の1.2000ドルを割り込んでいます(=米ドル買い・ユーロ売り)。
(出所:TradingView)
以下は、ユーロ圏国債10年物利回りのチャートです。
(※筆者作成)
5月19日(水)には一時、マイナス0.074%まで反発していましたが、6月11日(金)には、マイナス0.287%まで下落。
今週(6月14日~)は、米国債利回りの上昇もあり、ユーロ国債利回りも一時反発していましたが、本稿執筆時点でも、マイナス0.2495%と、ユーロ圏10年債利回りは上値の重い展開となっています。
この欧米の10年債利回りの推移からも、ユーロ/米ドルの上値は限定的とみます。
実際、FOMC後のマーケットでは、対円よりも対ユーロでの米ドル買いが進んでおり、ユーロ/円が133.00円を割り込んで下落していることからも、ユーロ/米ドルの上値が重いことがわかります。
ユーロ/米ドルは再び、1.1600レベルに反落するのではないでしょうか?
(出所:TradingView)
FOMCのタカ派スタンスへの変更により、下げ足を速め、1.1600ドルに向けて下落過程にあるユーロ/米ドルの行方に注目です。
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