SBI FXトレードが提供する【オプションFX】って?
SBI FXトレードでは、2018年10月1日(月)から、バニラオプションを取引できるサービス【オプションFX】を提供している。
その【オプションFX】で、2019年3月11日(月)よりスプレッドが縮小された。
今回の記事では、【オプションFX】のスプレッド縮小を中心に他社の為替のオプション取引なども紹介したいのだが、【オプションFX】って何?という人もいると思うので、はじめに【オプションFX】について改めて紹介しておこう。
まず、ここに出てくるオプションとは、「ある時期・ある価格で買う権利(または売る権利)」を取引することができるもの。その中で、バニラオプションは、特別な条件が付加されていない通常のオプションのことだ。
詳しくは、以下の【参考記事】をご覧いただきたいが、【オプションFX】では「米ドル/円をある時期・ある価格で買う権利(または売る権利)」を取引することができる。
通常のオプション取引では、米ドル/円だけでなく、通貨や株式、株価指数、コモディティ(商品)、債券、金利なども対象となっている。
また、通常のオプション取引では、オプションを買いからでも売りからでも取引することができる。かなりややこしいのだが、通常のオプション取引では以下の(1)~(4)のどの取引も可能ということなのだ。
(1)買う権利を買う
(2)買う権利を売る
(3)売る権利を買う
(4)売る権利を売る
けれど、SBI FXトレードの【オプションFX】では、取扱う銘柄は米ドル/円のみ。また、買いからしか取引することができない仕様になっている。買いからしか取引できないということは、上の(1)と(3)しか取引できないということだ。
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もしかしたら、ザイFX!の読者には、オプションと聞いて、バイナリーオプションを思い浮かべる人もいるかもしれないが、バイナリーオプションは「バニラオプション」ではなく、「エキゾチックオプション」に分類されるもの。
「バニラオプション」が通常のオプションなのに対し、「エキゾチックオプション」は、「バニラオプション」に特別な条件を付け加えたものとなっている。
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オプションを買う取引の場合、「最大損失=プレミアム」
このように、オプション取引は「買う権利・売る権利」を売買するものなのだが、その権利を手に入れたいと思ったら、相応の金額を支払う必要がある。
オプション取引では、コール・オプション(買う権利)やプット・オプション(売る権利)を保有するために支払うお金のことを「プレミアム」と呼んでいる(「プレミアム」はオプション価格、オプション料などとも呼ばれる)。
オプションを買う取引では、この「プレミアム」を最初に支払えば、相場がいくら変動したとしても、それ以上に損失が拡がることがない。自分の思った方向に相場が動かなかった場合は買ったオプションを放棄してしまえばいいからだ。つまり、「最大損失=プレミアム」になるのである。
「オプション」の「プレミアム」は、「本質的価値」と「時間的価値」によって左右されるもので、算出するには、かなり複雑な計算が必要になる。「本質的価値」と「時間的価値」については、以下の【参考記事】をご覧ください。
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そしてオプション取引というと、権利行使日までオプションを保有しっぱなしにすると思っている人がいるかもしれないが、【オプションFX】では、権利行使日前日の15時までであれば、保有しているオプションを反対売買によって決済することもできる。
オプションの「プレミアム」は、「本質的価値」と「時間的価値」の変化に左右されると先に紹介したが、最初に支払ったプレミアムより、プレミアムが高い時に決済すれば利益が出るし、プレミアムが低い時に決済すれば損失が発生することになる。
SBI FXトレードが縮小したスプレッドはどのくらい狭いのか?
そして、保有しているオプションを途中決済する際、プレミアムにはスプレッド(買値と売値の差)があるので、その点も考慮しなければならない。
(出所:SBI FXトレード)
こちらの赤枠で囲っているのが、プレミアムの1万通貨あたりの「新規買い」と「決済売り」の価格で、その差が、スプレッドとなっている。
やっと本題につながってきた。今回、SBI FXトレードが縮小したのは、このプレミアムのスプレッドなのだ。
では、どのくらいスプレッドを縮小したのか見てみよう。
以下をご覧いただくと「オプションFXのスプレッドが約700円から約300円縮小しました」とある。
SBI FXトレードいわく、これはプレミアム価格の配信スプレッドを縮小してほしいというユーザーの要望、そして、マーケットのボラティリティの低下により実現したものだという。
SBI FXトレードの公式サイトでは、3月11日(月)に【オプションFX】のスプレッドを縮小させる前後で、平均値を出して比較している。これは、デルタ50近辺(※)のオプション、つまり、原資産価格近辺(その時点の現物価格)が権利行使価格となっているオプションのプレミアムについて、そのスプレッドの実績値を出したものだ。
(※「デルタ」とは、原資産の価格変動に対するプレミアムの変動率のこと)
こちらをご覧いただくと、2月のスプレッド実績値が674円だったのに対し、3月12日(火)は304円となっていて、ザックリ半分以下になっている。
そして、【オプションFX】でスプレッド縮小がスタートした3月11日(月)~15日(金)までのスプレッドの実績値も公表されている。
こちらをご覧いただくと、掲載期間の平均スプレッド、最小スプレッド、最大スプレッドはすべて、2月実績値よりも狭くなっていることがおわかりいただけるだろう。
サクソバンク証券とプレミアムのスプレッドを比較すると…!?
このように【オプションFX】のスプレッドが縮小されたことはわかった。でも、他社と比較してみないと、どのくらい狭いのか、イマイチよくわからないのも確かだ。
そこで、同じバニラオプションを取扱う、サクソバンク証券【FXオプション】のスプレッドと比較してみた。
今回は、2019年3月26日(火)15時30分時点で、米ドル/円のコール・オプションとプット・オプションを比較。購入額はそれぞれ1万通貨として、権利行使日は、SBI FXトレードが2019年4月11日(木)、サクソバンク証券が2019年4月10日(水)とし、もっとも近い日付のものを選択した。
上表をご覧いただくと、比較したすべての権利行使価格において、SBI FXトレード【オプションFX】のほうが、サクソバンク証券【FXオプション】よりも、スプレッドがかなり狭いことがわかる。
同じバニラオプションを取扱うサービスで、スプレッドにこれだけ差があるというのも驚いてしまう。先ほど紹介した、2019年2月の実績値を見るとわかるように、これまでも、SBI FXトレードのスプレッドの方がサクソバンク証券よりも狭かったのだが、今回のスプレッド縮小で、さらに差が開いた格好だ。
こうして見てみると、米ドル/円のバニラオプションを買う取引ということだと、SBI FXトレードの方がかなり良さそうだ。
ただ、スプレッドではSBI FXトレード【オプションFX】には及ばないものの、サクソバンク証券の【FXオプション】は、取扱い銘柄が豊富だったり、新規で売りからトレードすることができたりと、SBI FXトレード【オプションFX】にはないメリットもある。これについてはあとで詳しく紹介するが、両社のサービスをうまく使い分けてトレードするのも良いのではないだろうか。
【オプションFX】を使って、FX取引の損失拡大リスクを抑える
このように、スプレッドがガッツリ縮小して利用しやすくなった【オプションFX】を、通常のFX取引のリスクヘッジとして活用することもできる。
たとえば、米ドル/円の売りポジションを持っていて、米ドル/円の上昇リスクをヘッジしたいと考えたとする。
その場合、【オプションFX】で、米ドル/円のコール・オプション(買う権利)を適切な量だけ購入すれば、簡単にヘッジすることができる。
もう少し詳しく説明すると、米ドル/円が上昇した場合は、保有しているFXの売りポジションの損失と、コール・オプション(買う権利)で得た利益を相殺することができる。米ドル/円の売りポジションを持っているのに、米ドル/円が上昇してしまったのだから、普通なら悪い状況だが、この場合は損失がおおよそ出ないということになるのだ。
では、米ドル/円が下落した場合はどうだろうか?
その場合は思ったとおりの相場展開なのだから、保有しているFXの売りポジションは利益が出る。その一方、コール・オプション(買う権利)は自動的に権利放棄されるため(※)、損失が拡大することはない。支払ったプレミアム分の損だけですむ。
オプションを使わずに単にFXで米ドル/円を売っていたケースと比べ、利益は減ってしまうわけだが、結局、以上のように通常のFX取引と【オプションFX】を組み合わせれば、相場が自分の思惑と反対方向に動いた場合でも損失が拡がらない保険をかけながら、FX取引をしているような状況にできる、ということだ。
(※【オプションFX】では、取引した人が自分で意思を示さなくても、利益が発生しないオプションについては自動的に権利が放棄される。また、利益が発生するオプションについては自動的に権利が行使される)
ガンマトレードなら、レンジ相場で収益チャンスもある
そして、為替の市況解説などに「ガンマトレード」や「ガンマプレイ」といったワードを見たことがあるかもしれないが、これもオプション取引を利用したトレードのひとつ。
たとえば、米ドル/円の110.00円のコール・オプションが市場に観測されていて、自身も同様のオプションを保有していたとする。
この場合、米ドル/円を110.00円で買う権利を持っているわけだから、「そのオプションに対して適切な量の米ドル/円の売りポジション」を通常のFX取引にて110.01円以上で建てたら、これは利益確定の意味になり、リスクは伴わない。
ただ、ここで建てたFX取引の米ドル/円売りポジションは実際に利益確定したわけではなく、保有しているのだから、その後、米ドル/円が下がってきた場合は、このポジションを決済して利益確定してしまえばいい。
そして、再び米ドル/円が上昇してきた局面で売りポジションを建てて、下がってきたら決済……という流れで、対象のオプションの権利行使期限まで、上がったら売って、下がったから買い戻すを繰り返して、利益を積み上げることができる、というわけだ。
上の市況解説にあるように、権利行使日が近い大きなオプションがある場合、そのオプション近辺でレンジ相場を形成することがあるのだが、そういった場合、このガンマトレードが影響していることがある。
【オプションFX】を使ってガンマトレードができる
このように、「ガンマトレード」は、オプション取引とFXを組み合わせることで、レンジ相場になった場合に、リスクを抑えながら収益を積み重ねることができるわけだが、【オプションFX】を利用すれば、このトレードをすることができる。
以下は、SBI FXトレード【オプションFX】の取引画面となっている。
(出所:SBI FXトレード)
注文方法については、以下の【参考記事】に詳しく書いてあるので省略するが、取引画面に権利行使価格の一覧があるので、保有したいオプションを選んで発注画面から購入する。
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そうしたら、先ほど説明した要領で、通常のFX取引で米ドル/円の売買をオプションの権利行使日まで繰り返すことで、ガンマトレードが成立するというわけだ。
ここで注目したいのが、取引画面にある「Spotデルタ」。デルタとは、原資産の価格変動に対するプレミアムの変動率のこと。
たとえば、デルタが50%の場合、米ドル/円が1円動いたら、オプションの価格が、約50銭(1円×0.50)変動することを示している。
デルタが高いオプションは、原資産価格の変動によって、プレミアムが大きく変動するが、デルタが低いオプションは原資産価格が変動してもプレミアムの変動幅が少ない。
コール・オプションでは、米ドル/円などの原資産価格が、権利行使価格を下回っていることを「アウト・オブ・ザ・マネー」、原資産価格と権利行使価格が同じである状態を「アット・ザ・マネー」、原資産価格が権利行使価格を上回っていることを「イン・ザ・マネー」という(※)。
(※プット・オプション(売る権利)では、「アウト・オブ・ザ・マネー」、「イン・ザ・マネー」が上述のコール・オプションの説明とは逆の状態になる)
「イン・ザ・マネー」に入っていくにしたがってデルタが大きくなり、プレミアムも高くなっていく。
先ほど、ガンマトレードは、「レンジ相場になった場合に、リスクを抑えながら収益を積み重ねることができる」と紹介したが、オプションを購入するときにプレミアムを支払っているので、その支払ったプレミアム分を取り戻すまではトータルの収益はマイナスになる。
だから、デルタが大きすぎるオプションを購入して、高いプレミアムを支払ってしまうと、ガンマトレードがうまくいってもなかなか収益がプラスにならない可能性があるので、その点は頭に入れておきたい。
保有するオプションの一部を決済できるようになった
そして、SBI FXトレードでは、4月5日(金)に新しい注文機能が搭載された。
ひとつめは、途中決済する際、保有するオプションの一部を決済することができるようになった。
これまでは、同じ権利行使価格のオプションを複数枚保有していた場合、決済するときは、それらすべてのオプションを決済する必要があった。それが、今回追加された機能では、その一部を決済することができるようになったのだ。
こちらをご覧いただくと、決済したい注文の数量指定ができるようになっているので、そこに数量を入力して上の決済売りボタンをクリックすればOK。なお、保有するオプションを一部決済する場合、約定日時の古い順から決済されることになる。
ふたつめは、トップページにある発注画面からでも、決済売り注文が出せるようになったこと。
こちらをご覧いただくと、新機能が搭載される前の画面では、「決済売り」ボタンがグレーがかっていて取引することができなくなっているが、新しい取引画面では、「決済売り」ボタンが青色になっていて、決済売り注文が出せるようになっている。
こちらは、保有しているオプションがある場合に適用されるもので、保有しているオプションがない場合は、従来どおり、決済売りボタンはグレーがかったままとなる。
これまでは、取引ツールのメニューから「保有権利一覧」を開いてからでないと決済することができなかったので、簡単に決済できるようになったのは、ユーザーにとってありがたい話だ。
スプレッドが大幅縮小しただけでなく、新機能も追加されて、さらに使い勝手のよくなった【オプションFX】。この機会に体験してみてはどうだろう。
マンガでオプション取引の「い・ろ・は」がわかる
ここまで、SBI FXトレード【オプションFX】のスプレッド縮小などについて紹介してきたが、難しい言葉も出てくるし、オプションはやっぱり難しいな……と思われた人もいるかもしれない。
そんな人のために、SBI FXトレードでは、「漫画で読むオプションFX入門講座」を提供している。
この漫画では、オプション取引の「い・ろ・は」をわかりやすく解説してくれているほか、【オプションFX】の基本的なしくみについても紹介している。
オプション取引に興味はあるけれど、よくわからなくて……と二の足を踏んでいる人は、まず、この漫画を読んでみてはどうだろう。
銘柄数が充実していて、売りからも入れるサクソバンク証券
先ほど、SBI FXトレード【オプションFX】とのスプレッド比較で登場してもらったサクソバンク証券【FXオプション】にも新しい動きがあった…。
サクソバンク証券といえば、週明け月曜日の午前3時~4時から取引できるFX会社として有名。通常のFX取引の取り扱い通貨ペア数は158ペアとダントツ、CFDは6600銘柄も取り扱っている。
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⇒FX会社おすすめ比較:取引できる通貨ペアを比べる「取扱い通貨ペアの多い順」
そのサクソバンク証券が、【FXオプション】で取り扱っている銘柄は44にも及ぶ。
こちらをご覧いただくと、米ドル、円、ユーロといった主要通貨から、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドといった高金利通貨まで、ズラリと揃えている。さらに、金/米ドル、銀/米ドルといった銘柄も取引することができる。SBI FXトレードが取扱っているのが米ドル/円だけだったので、【FXオプション】の取扱い銘柄がかなり充実していることがおわかりいただけるのではないか。
また、SBI FXトレード【オプションFX】が、買いからしか入れなかったのに対し、サクソバンク証券【FXオプション】は、「オプションの売り」からでも取引することができる。これも特徴のひとつだ。
サクソバンク証券のFXオプションがスマホでも取引可能に
そんな、サクソバンク証券【FXオプション】は、これまでPCダウンロード版の「Saxo Trader」でしか取引することができなかったのだが、このたび「Saxo Trader GO」でも取引することができるようになった。
「Saxo Trader GO」は「HTML5」に準拠したウェブブラウザ版の取引ツール。
「HTML」(HyperText Markup Language)とは、ウェブページを制作する際に用いられる言語のこと。現在、主流となっているのは「HTML4」だが、最新規格の「HTML5」を使ったサイトも増えてきている。
FX会社によっては、取引システムや搭載されたチャートを使うのに「Java」や「Silverlight」といったプラグインを別にインストールする必要があったが、「HTML5」であれば、そうした操作がいらなくなる。
そして、「HTML5」を使っている「Saxo Trader GO」は、PC、スマホ、タブレットといったデバイスに関わらず、ウェブブラウザからログインすればすぐに使うことができる。従来はPCのみ対応している「Saxo Trader」でしか【FXオプション】は取引できなかったので、この点はかなり便利になった。
以下はPC版の「Saxo Trader」と「Saxo Trader GO」での【FXオプション】取引画面を並べてみたものだ。
(出所:サクソバンク証券)
(出所:サクソバンク証券)
記者もデモ口座で「Saxo Trader GO」を使ってみたが、取引画面も見やすく、サクサク動くので操作性もかなりよかった。
以下はスマホ版の「Saxo Trader GO」で【FXオプション】の取引画面を表示するまでの手順を示したもの。サクソバンク証券の口座にログインして、「Saxo Trader GO」を開いたら、通貨ペアを選んで、FXオプションの取引画面に切り替えればOKだ。
(出所:サクソバンク証券)
SBI FXトレード【オプションFX】とはまた違った特徴を持つサクソバンク証券【FXオプション】。興味がある人は口座開設して、試してみてはどうだろう。
今回は、SBI FXトレード【オプションFX】のスプレッド縮小を中心に、サクソバンク証券【FXオプション】の話題などについても紹介してきた。
【オプションFX】は、限定的な損失で無限大の利益を狙えたり、通常のFX取引に対する保険として使えたり、また、FXと組み合わせて効率よくトレードできたりと、活用しがいのある商品となっている。この機会に口座開設して、オプション取引を試してみてはどうだろう。
>>>SBI FXトレード【オプションFX】の詳しい情報はこちら
>>>サクソバンク証券【FXオプション】の詳しい情報はこちら
(ザイFX!編集部・庄司正高&ザイFX!編集長・井口稔)
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