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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米長期金利低下でも米ドル/円下がらず。
間違っているのは債券市場か?為替市場か?

2021年06月14日(月)15:59公開 (2021年06月14日(月)15:59更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■米長期金利低下でも米ドル/円横ばいの理由

先週(6月7日~)注目されたのがECB(欧州中央銀行)理事会と米CPIでした。


ECB理事会はサプライズなく通過しましたが、米CPIは予想を上回る前年同月比5%の上昇。13年ぶりの大きな伸びとなる衝撃的な強さでした。


インフレ期待は高まっているのですが、米長期金利(米10年債利回り)は上がらないどころか、レンジを下にブレイクしています。

米10年債利回り 日足
米10年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

米10年債利回りは一時1.43%まで低下しました。背景にあるのは需給的な要因のようです。

債券市場が売りに大きく偏っていたため、巻き戻しによる買いが入って米国債高/米金利低下になった、ということですね。

違和感を覚えるのが米ドル/円の反応


今年(2021年)の米ドル/円は米長期金利との相関が極めて高いのですが、前回、米10年債利回りが1.43%台だった3月初旬は106円台。


現在は109円台と、米金利が低下したのに米ドル/円は下がっておらず、債券市場か、為替市場かのいずれかが間違えていることになります。


米金利の低下が需給要因だとすれば、今回は債券市場が間違えているのでしょう。

【参考記事】
米ドル/円は米長期金利の低下に追随せず、下値は限定的。上昇トレンドは継続か(6月10日、西原宏一)

米ドル/円&米10年債利回り 日足
米ドル/円&米10年債利回り 日足チャート

(出所:TradingView

■G7は財政出動継続を確認。日本の追加財政政策は?

昨日(6月13日)閉幕したG7(先進7カ国首脳会議)では、コロナ禍からの経済再生へ向けた財政政策を継続する方針が確認されました。


イエレン米財務長官が先週のG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)で声高に主張していたことでもあります。


日本だけが財政を引き締めるわけにはいかないでしょうし、もう一段の財政政策を打ち出すのであれば、株高・円安へとつながりそう


帰国後の菅総理の発言、スタンスに注目ですね。

米ドル/円は米長期金利が低下しても下がらず、財政政策という円安要因もあるのであれば、今後も底堅くなりそうですね。

■米国、スイス、日本と中銀会合が続く

今週、6月16日(水)はFOMC(米連邦公開市場委員会)注目はドットチャートの変化でしょうか。

それとともに、米長期金利の反応を見たいですね。


米長期金利低下が需給要因だったのだとすれば、再び上昇へ向かい、米ドル/円が買われることもありそうです。


その場合にはセル・ザ・ファクトにも要注意ですが。

今週、6月18日(金)は日銀金融政策決定会合もありますが、こちらは大きなイベントにはならなそう。


西原さんは6月17日(木)にSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の会合が開かれるスイスフランにも注目しているそうですね。

今年に入ってから、スイスフランは円とともにずっと売られていたのですが、この2ヵ月は買われています。


これに注目するエコノミストも少なくないのですが、原因がはっきりしない。


ただ、スイスフランが買われるのは株安、リスクオフの前兆であることも多いため、注意が必要です。

米ドル/スイスフラン 日足
米ドル/スイスフラン 日足

(出所:TradingView

■WTI原油は70ドル台へ。英国はロックダウン延長か

コモディティ市場では原油が続伸。WTI原油は70ドル台へ乗せてきました。


イラン絡みのニュースも材料視されていますが、それよりも石油関連事業への投資縮小による将来の供給不安が拭えないのでしょう。


東日本大震災後には、原発停止で原油の輸入が増加し、しかもWTI原油が100ドル台と高騰していたため、貿易赤字の拡大とともに円安が進みました。


原油価格の上昇は円安要因ともなりますから、ここからの動きにも気をつけておきたいですね。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足チャート

(出所:TradingView

来週(6月21日~)にBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の金融政策発表を控える英ポンドですが、当初は6月21日(月)と目されていたロックダウンの解除がずれこみそう。


英国では新規感染者が再び増加していることが背景にあります。今夜(6月14日夜)にも政府から正式な発表があるでしょう。

今週の戦略はどう考えますか?

米ドル/円の押し目買いでいいのでしょう。


FOMCを控えていますが、米長期金利が低下しても下がらず、財政期待や原油高といった材料もあり、底堅い


水星が逆行中ということもあり、動きにくいかもしれませんが、動くなら上なのでしょう。

水星の逆行が終わるのは来週6月23日(水)。それまでは小動きの展開が続くのかもしれませんね。

【参考記事】
最近は株安で「豪ドル/円売り」より、「ユーロ/豪ドル買い」が効きやすいのはなぜ?(6月7日、西原宏一&大橋ひろこ)
「FX友の会 in 東京 2012」レポート(3) バンカメは占星術で相場を張っている!?

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

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