米ドル全面高の流れはまだ途中、個人投資家は徹底的にトレンドフォローを!
米ドル全面高の基調が維持され、また米ドル全面高だからこそ、米ドル/円の頭が重くなってクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の一段反落につながり、しばらく軟調な推移に留まるだろう――。こういったシナリオは、これまでのコラムにて既述のとおりだが、足元の市況によって一段と証左されている。
【参考記事】
●米ドルは押し目買いか上値追いの2択のみ! ミセス・ワタナベは逃げ時を見失うな!(2021年7月2日、陳満咲杜)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
トレンドフォローの視点では、いろいろ憶測せずに、単純にトレンドを確認、またフォローしていけばよい。米ドル全面高の流れはまたまだ途中なので、上昇モメンタムの強化や値幅の拡大、むしろこれからだと思う。
FRB(米連邦準備制度理事会)のスタンスやら、米インフレ、金利動向といった難しい問題は専門家に任せ、個人投資家は徹底的にトレンドをフォローすればよい。
何しろ、マクロ環境の見通しは常に視界不良なので、専門家でも実は読み切れない上、市場参加者全員の判断や思惑の集大成である相場の方は、すでに答えを出しているから、それに従う方が正解への近道である。
ドルインデックスはさらなる高値トライの可能性大
ドルインデックスの日足を参照してみると、ブル(上昇)トレンドが継続的に確認されており、これから3月高値をトライ、また、ブレイクを果たす公算が高いとみる。
(出所:TradingView)
上のチャートで示したように、強気トレンドが3段階に分けて確認でき、これからの高値トライの土台を作ったと言える。
まず、1の番号でさしているところを見ればわかるように、GMMAチャートにおけるゴールデンクロスのサインが形成され、ドルインデックスの一段高をもたらした。
次に2番のところは、一目均衡表における「雲ゾーン」を上放れ、その後、一転してサポートと化したことを示し、強気トレンドの一段強化をもたらした。
3番は直近の値動きとなり、高値圏での保ち合いが見られるが、GMMAチャートにおける短期組線のサポートを再確認しており、これから続伸の可能性を示しているから、さらなる高値トライの可能性が大きい。
ユーロ/米ドルはこれから3月安値にトライする流れになる公算が大きい
リンクしたように、ユーロ/米ドルのベア(下落)トレンドが一段と鮮明になっており、ドルインデックスとまったく反対のサインを点灯している。
チャート上のポイント(1~3)もドルインデックスと正反対で、ベアトレンドの進行を示唆。GMMAチャートにおいてデッドクロスが確認されて以降、途中の切り返しがあってもGMMAチャートの短期組移動平均線の中に留まり、直近では15日EMAのレジスタンスがしっかり観察されている。
このままでは早晩安値を最更新し、まず、3月安値をトライする流れになる公算が大きいだろう。
日足における「下落ウェッジ」といったフォーメーションの形成、また、同フォーメーションの形成によって底打ち、至って反騰という可能性を完全には否定できないが、完全なサインが確認できないうちは、トレンドの継続、すなわち安値更新を有力視する。
目先のユーロ/円は下値リスクに注意すべき
ユーロ/円の頭打ちも鮮明になってきた。
3つの条件で検証すればわかるように、まず、GMMAチャートにおいてデッドクロスが形成され、その後、一目均衡表における雲ゾーンの割り込みも見られ、そして、6月18日(金)安値の更新も再度確認された。反落波の一段推進を示すサインが揃ったと言える。
これは昨年(2020年)11月の値動きで示したサインと正反対であり、またそれ以来、初めてトレンドの悪化が確認できたと言える。
昨年(2020年)11月9日(月)にていったん高値トライ、その後、スピード調整してから再度同日高値を更新し、それに伴いGMMAチャートにおけるゴールデンクロスの形成、一目均衡表における雲ゾーンの上放れも達成したわけで、その後は長く上昇ラリーを続け、今年(2021年)5月一杯まで上値を伸ばしてきた。
目先のユーロ/円における弱気のサインは、昨年(2020年)11月の強気サインと同様に長く下落トレンドを形成していくとは限らないが、少なくとも目先は下値リスクにより注意すべきだ。
トレンドの変調がすでに確認された以上、サインの形成や点灯なしでは安易な底打ちを判断できない。
ユーロ/円の一段反落があれば、米ドル/円の高値追いはなかなか見られないだろう
ゆえに、米ドル/円もしばらく頭が重いだろう。
2021年年初来安値から引かれた元サポートラインは、7月14日(水)の反落で目先レジスタンスと化した可能性もあるから、早期回復がなければ中段保ち合いに留まる公算が高い。
換言すれば、ユーロ/円の一段反落があれば、米ドル/円の高値追いはなかなか見られないはずであり、上昇一服となった公算が大きい。
とはいえ、米ドル/円の強気構造が変わったわけではない。これまでのコラムで既述のように、米ドル/円は早晩2020年高値112.20円を突破、新たな上昇レンジ入りを果たすだろう。
【参考記事】
●米ドルは押し目買いか上値追いの2択のみ! ミセス・ワタナベは逃げ時を見失うな!(2021年7月2日、陳満咲杜)
しかし、ドルインデックスの強い上昇基調や上昇モメンタムが続いているうちは、逆にそれは果たせないのではないかとみる。
何回も強調してきたように、主要外貨のうち、円は一番弱い存在ではあるものの、米ドル高の基調やモメンタムが強ければ強いほど、米ドル高の受け皿としてユーロがその役割を発揮してくる。すなわちユーロ安の流れが鮮明になってくる。
よって、ユーロ/円の反落が鮮明になってくれば、受動的とはいえ、円安の流れに対するスピード修正が行われやすい。
今はまさにその時期にあり、受動的な円高の進行を警戒しておきたい。市況はいかに。
(13:30執筆)
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