世界的に好ムードなのに南欧だけが問題。
「ソブリン版リーマン・ショック」には要注意！

■ギリシャ問題が再び深刻化し、よく見ておく必要がある

 ４月27日（火）に、金融市場を動揺させた出来事がありました。

 米国の格付け会社であるスタンダード・アンド・プアーズ（Ｓ＆Ｐ）が、ギリシャの長期債務格付けを投資不適格級（ジャンク級）まで、一気に３段階も引き下げたのです。

 投資不適格級というのは、簡単に言えば、その国にお金を貸さないほうがよいということを示しています。

 一部には「ソブリン版リーマン・ショック」という人がいますが、それもあながち間違っていないのかもしれません。

 また、併せて、ポルトガルの長期債務格付けも２段階引き下げられました。

 こちらはまだ投資不適格というわけではありませんが、それでも、一気に２段階引き下げられたショックは大きいものがありました。

（リアルタイムチャートはこちら → FXチャート＆レート：ユーロ/米ドル １時間足）

 ドイツのメルケル首相は、ギリシャが持続可能な再建計画を出してこなければ、融資することはできないと宣言しています。

 ギリシャ問題が再び深刻化してきました。この問題はまだまだ気が抜けず、今後の展開をよく見ておく必要があるでしょう。

■世界的には好ムードなのに、南ヨーロッパだけが問題

 しかし、それ以外の環境を見てみると、全体的にはよくなってきています。

 ４月27日（火）には、アメリカの住宅価格の推移を示す指標も出ていましたが、価格が上昇していることがわかりました。

 アメリカの大手金融機関の2010年１～３月期決算も好調だし、アジアを中心に、景気は確実に回復してきています。

 世の中がよいムードになってきているのに、南ヨーロッパだけが問題を抱えている。現在は、そのような構図になっています。

■世の中がねじれていると、相場もねじれる

 これだけねじれていると、相場もねじれてきます。

 ねじれてくるということは方向感なく乱高下をするということで、最近の為替相場は、まさにそのようなムードになってきました。

（リアルタイムチャートはこちら → FXチャート＆レート：世界の通貨 ｖｓ 円 日足）

 先週のコラムでも言いましたがが、このような状況下では、とにかく相場の流れを追いかけないことです（「もみ合いは続きそうだが、人民元切り上げ問題がＧ20で浮上し、円高となるリスクも！」を参照）。

 買うときも、売るときも、十分に引きつけてから実行するか、あるいは、デイ・トレードのような短期売買に徹する、このどちらかしかないと思います。

 乱高下に振り回されて大きな損をしないよう、十分に気をつけてください。