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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

テーパリング開始ほぼ決定で、11月スタートか。
でも、利上げまでは「じゃぶじゃぶ」状態が続く。
FOMC議事要旨による「過去の書き換え」とは?

2021年09月02日(木)08:25公開 (2021年09月02日(木)08:25更新)
志摩力男

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ジャクソンホール会議のパウエル議長の講演、マーケットは極めてハト派的と解釈も、実際は「微妙」…

前回の当コラムでは、ジャクソンホール会議における、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長講演は「ハト派」的な内容になると書きました。

【参考記事】
ジャクソンホールでの、パウエルFRB議長の講演テーマは「ハト派」な匂いがプンプン。米国株が月半ばに下落するワケとは…!?(8月25日、志摩力男)

 では、実際どうだったかというと、「微妙」です。

 マーケットは極めて「ハト派」的と解釈し、株価は上昇し、米長期金利は急落しました。

NYダウ 4時間足
NYダウ 4時間足

(出所:TradingView

米長期金利 4時間足
米長期金利 4時間足

(出所:TradingView

 しかし、それは講演内容をしっかり理解して「ハト派」的と結論を出したというよりも、「ハト派」的と解釈したい、そうであって欲しいという、市場参加者の願望がマーケットに反映された結果だと思います

 講演では、半分近い時間を使って、いかに「現在のインフレ率上昇が一時的なもの」か、延々と説明されました。一時的なインフレ率上昇に判断を誤ってはいけない、その失敗は大変なことになる。そうならないように私は頑張っている。そんな感じに聞こえます。まさに、ハト派の騎士です。

 パウエル議長は、もうひとつの「エサ」を講演に用意しました。それは、「資産買い入れ縮小(テーパリング(※))のタイミングやペースは、直接的に利上げ時期を示唆するようなものではありません」という一文です。

(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

 見事に、みんな食いついてきてくれました。「そうだ、テーパリングと利上げは関係ないんだ」、「テーパリングを急いだからといって、利上げを急ぐわけではないんだ」、「金融緩和はまだまだ続くんだ!」、こんな反応が見られました。

 そんなわけはないでしょう。いわゆる金融の専門家で、上記の解釈をする人は、わかっているけど、わざと誤解しています(中には本当に誤解している人もいるでしょうが…)。パウエル議長がわざわざ用意してくれたエサです。食べないわけにはいかないでしょう。これはもう、金融界の「阿吽の呼吸」みたいなものです

 これで安心して顧客には、「金融引き締めはまだまだ先ですから、安心して株を買ってください」と言えます。

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FOMC議事要旨を使った「過去の書き換え」とは?

 しかし、パウエル議長の講演で決まったことはひとつだけです。

「年内に資産買い入れ縮小(テーパリング)する」ということです。

 それは、前回のコラムにも書きましたが、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨に、すでに書いてあります。「ほとんどの参加者が(中略)今年中に資産買い入れ縮小を始めることが適切と判断した」と。

【参考記事】
ジャクソンホールでの、パウエルFRB議長の講演テーマは「ハト派」な匂いがプンプン。米国株が月半ばに下落するワケとは…!?(8月25日、志摩力男)

 今回、パウエル議長は、その「ほとんどの参加者」の中に自身も含まれると明言しました。

 しかし、7月のFOMC後の会見で、そんなことを言っていたでしょうか? 言っていません。滲ませてもいません。パウエル議長は「完全雇用からは程遠い(we’re a ways away from full maximum employment)」と、テーパリングなど、遥か彼方の話のように言っていたはずです

 こうした、FOMC議事要旨を使って過去をオーバーライト(書き換え)する方法、パウエル議長は以前も使っています。4月のFOMCです。会見では「テーパリングの話はなかった」と言っていましたが、議事要旨において、何人かの委員がテーパリングに関して言及していたことが示されていました。

【参考記事】
FOMCは、テーパリングを周知するのか?ドットチャートこそが、最大のポイントになる(6月16日、志摩力男)

パウエルFRB議長は、FOMC議事要旨を使って「過去の書き換え」をする方法を使っているという (C)Bloomberg/GettyImages

パウエルFRB議長は、FOMC議事要旨を使って「過去の書き換え」をする方法を使っているという (C)Bloomberg/GettyImages

 個人的には、こうした過去を書き換える手法は不適切だと思いますが、これで金融市場を上手く着地させることには成功しているので、別の意味で「すごい」と評価できます。

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テーパリング開始ほぼ決定で、11月スタートか。でも利上げまでは「じゃぶじゃぶ」状態が続く

 金融市場の目先の反応はともかく、「テーパリング」開始はほぼ決定しました。11月スタートでしょう

 少し前まで、テーパリング開始は2022年初頭というのがコンセンサスでした。つまり、ハト派のパウエル議長がテーパリングの「前倒し」を認めているわけで、具体的に決めたことはちっとも「ハト派」的ではありません

 これをどう考えるかですが、

(1)引き締めが始まったのだから、警戒する。

(2)始まったとはいえ、利上げは1年以上先。まだまだ「じゃぶじゃぶ」な状態は続くのだから、パーティーを続ける。

 何ともいえませんが、警戒しつつも、緩和政策によるパーティーを続けるべきなのでしょう。すでにマーケットは、都合の良いように政策当局の動きも解釈し始めています。相当金融環境が引き締まるまで、パーティーは続くのでしょう

 米国の新しい危機は「インフレ」だと思います。政策当局がインフレ容認姿勢を続けるのですから、値上げできるものはどんどん価格を上げていかないといけないと、多くの経営者は思っているでしょう。

米軍のアフガニスタン撤退が、米国経済に深い傷を残さなければ良いが…

 先日の、米軍のアフガニスタン撤退、そしてそれに伴うカブールにおける大混乱は、衝撃的でした。1975年のベトナム戦争でのサイゴン陥落、そして1980年のイラン米大使館救出作戦失敗を彷彿とさせます。

 その頃は、軍事的にも米国は混乱していました。そして、インフレ率は極めて高い時期でしたが、そのインフレは、ボルカーFRB議長(当時)による高金利政策で何とか阻止したものの、米国経済には深い傷が残りました。そうならなければ良いが……と思います。


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(出所:志摩力男Youtubeチャンネル「為替介入を狙うヘッジファンド!米ドル/円の買い場に!英ポンドにまだ下落余地があるのか? 【月刊!志摩力男10月号】」より)

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