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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

日経平均は月末に売られるアノマリーあり。
8月末はアフガンからの米軍撤退期限も重なり
要注意。超長期では大規模な米ドル安も!

2021年08月30日(月)16:48公開 (2021年08月30日(月)16:48更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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ジャクソンホール会議通過で米国株は史上最高値へ

焦点となっていたパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長のジャクソンホール会議講演が終了。


「年内に資産購入ペースの減速を開始するのが適切となり得る」と今年(2021年)中のテーパリング(※)開始を示唆したものの、それが利上げのシグナルではないと強調


ハト派を印象づける内容でしたね。

(※「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

【参考記事】
ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の発言内容がどうであっても米ドル高トレンドは変わらず!(8月27日、陳満咲杜)
ジャクソンホールでの、パウエルFRB議長の講演テーマは「ハト派」な匂いがプンプン。米国株が月半ばに下落するワケとは…!?(8月25日、志摩力男)
ジャクソンホール会議は、今年もオンライン開催。パウエル議長は、テーパリング開始を示唆する? その場合、為替はどう動く?(8月24日、バカラ村)
ジャクソンホール会議が行われる建物はジャクソンホール? なぜ、ジャクソンホールは世界中のトレーダーの注目を集めるのか?
豪ドルは、先週がセリングクライマックスか。ジャクソンホール会議のパウエル講演を控え、ドルストレート回避なら、豪ドル/円の買いで(8月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

パウエルFRB議長写真

パウエルFRB議長はジャクソンホール会議講演で、今年中のテーパリング開始を示唆したものの、それが利上げのシグナルではないと強調。ハト派を印象づける内容だった (C)Bloomberg/Getty Images News

講演後、米長期金利(米10年債利回り)は一時、1.30%まで低下し、為替市場は米ドル売りへ。


株式市場は利上げに直結しないというハト派な部分に反応し、S&P500やナスダック総合指数が史上最高値を更新しました。

米長期金利(米10年債利回り) 1時間足
米長期金利(米10年債利回り) 1時間足チャート

(出所:TradingView

ドルインデックス 1時間足
ドルインデックス 1時間足チャート

(出所:TradingView

S&P500&ナスダック総合指数 日足
S&P500&ナスダック総合指数 日足チャート

(出所:TradingView

アフガニスタン(アフガン)情勢が混迷していますから、タカ派的な内容にはならないだろうと思っていましたが。


パウエルさんはうまく市場とコミュニケーションを取りましたね。

【参考記事】
【トルコリラ見通し】アフガニスタンは中東ではない。タリバン制圧によるトルコへの影響は? 新興国には、テーパリングで米ドル高は困る(8月25日、エミン・ユルマズ)

米雇用統計、分水嶺となる「85万人」

金曜日(9月3日)に発表される8月分の米雇用統計への注目度も高まっています。


今のところNFP(非農業部門雇用者数)は80万人弱程度の増加予想。


ウォラーFRB理事は、85万人程度の増加ならテーパリング開始が可能との見方を示しています。

【参考記事】
FX初心者のための基礎知識入門:米雇用統計

多少時期がブレることはあっても、年内に始めることに変わりはないのでしょう。


9月22日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で何らかの示唆があり、11月FOMCで決定、12月に開始、というのが現在のコンセンサスです。

もし、米雇用統計が予想に反して悪化するようだと、テーパリング年内開始のストーリーが崩れる可能性もあります。


それは景気の悪化シグナルともなりますから、株価にポジティブかどうかは微妙ですが……。

バイデン米大統領がアフガン情勢への処理を間違えると、大規模な米ドル安を招く可能性も

利上げはともかく、テーパリングは金融政策の引き締めではなく正常化。


経済指標が多少悪化してもテーパリングへと向かうのでしょうが、気になるのがアフガニスタン(アフガン)です。


明日8月31日(火)が米軍の撤退期限。テロの懸念が高まりますし、アフガンから逃がせなかった外国人が人質になる可能性もある。


これは超長期の話ですが、バイデン米大統領がアフガン情勢への処理を間違えると、米ドルの威信低下、ひいては大規模な米ドル安を招く可能性もあります。

テーパリングの次は利上げが焦点ですから、半年~1年の期間で考えれば、米利上げの催促相場で米ドル高となるのがセオリーですね。

中期的には米ドル高なのでしょう。


ただ、いざ米ドル安へとつながる事態になったときに動けるよう、アフガン情勢のことも頭の片隅に入れておきたい、ということです。

OPECプラス、増産継続か。クウェートは反対表明

コモディティでは、9月1日(水)にOPECプラス(※)会合が開催されます。


これまで減産枠の縮小、つまり増産を進めてきましたが、今回はクウェートの石油相が反対しています。


デルタ株が拡大する中、増産を続ければ価格の低下リスクがある、との指摘です。


どのような結論となるのか、注目されます。

(※編集部注:「OPECプラス」とは、OPEC(石油輸出国機構)にOPEC非加盟の主要産油国を加えた枠組みのこと)

中東では、サウジアラビアとロシアが新たな軍事協定を結びました。


これも米国の威信低下を感じさせるニュースです。

拡大解釈ではありますが、産油国などが米国から距離を置き、原油の決済通貨としての米ドルのシェアが低下する流れとなれば、深刻です。


かつて、原油決済通貨を米ドルからユーロへ変更したイラクはその後、大量破壊兵器保有を理由に米国から攻撃されました。


同盟国であるサウジアラビアの動きを米国がどう考えているのか、バイデン政権の出方に注目です。

日経平均にはここ数ヵ月、月末に売られるアノマリーあり

今週(8月30日~)は月末の動きにも注目。


ここ数ヵ月、日経平均には月末に売られるアノマリーがあります。


アフガンからの撤退期限とも重なるため、今月も売られる可能性がありそうです。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

今週の戦略はどう考えますか?

先週(8月23日~)アフガンでテロが起きても円高にならなかった米ドル/円は、やはり底堅いのでしょう。


一方で、「Covid zero(新規感染者ゼロ)」戦略から転換した豪ドルは買われやすい


この2点から考えると、豪ドル/円の押し目買いでいいのではないでしょうか。

【参考記事】
豪ドルは、先週がセリングクライマックスか。ジャクソンホール会議のパウエル講演を控え、ドルストレート回避なら、豪ドル/円の買いで(8月23日、西原宏一&大橋ひろこ)

豪ドル/円 日足
豪ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

(構成/ミドルマン・高城泰)

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