全体としては米ドル高傾向が続いている
先週のコラムで、結局は米ドル高トレンドになっていくという話をしました。その後、全体としては米ドル高傾向が続いています。
【参考記事】
●米ドル/円、時間はかかるが120円へ向かう展開へ。米国の物価は約31年ぶりの高水準、ユーロ/米ドルは1.05ドルあたりを目指しそう(11月11日、今井雅人)
(出所:TradingView)
改めてもう一度確認をしておきますが、世界各国の中で、米国が先行して金融政策を引き締め方向に転換したことが最大の要因であることは言うまでもありません。
そして、その米ドル高の傾向が一番鮮明になっているのが、対ユーロ、つまりユーロ/米ドルの動きです。
ユーロ/米ドルは先週(11月8日~)までも下落傾向が続いていましたが、今週(11月15日~)に入ると、一時1.12ドル台にまで下落する局面がありました。
(出所:TradingView)
その後は少し戻っていますが、その戻りの勢いも弱い感じで、全体的に見れば軟調に推移しています。
ユーロ/米ドル下落の背景にあるのは、新型コロナウイルスの感染再拡大が欧州で広がっていること
こうした動きの背景にあるのは、新型コロナウイルスの感染再拡大が欧州で広がっていることです。
世界的に見ると、ワクチン接種が普及している先進国の中で、英国での感染拡大が大きく広がっていました。
英国では一時、1日で5万人以上の新規感染者が観測されています。
しかし、少しそれが収まると、今度は欧州大陸での感染拡大が広がっていきました。
特に、ドイツでの感染拡大が鮮明になっています。
(出所:TradingView)
FX相場を見ると、英ポンド/米ドルが先に下落していて、今はユーロ/米ドルが下落していることと、コロナウイルスの感染拡大状況がほぼ一致していることが、非常に興味深いところです。
(出所:TradingView)
ECB関係者が金融引き締めに慎重なこともユーロ売り材料に
また、ECB(欧州中央銀行)の関係者が、金融政策を引き締め方向にもっていくことに慎重であることも、ユーロの売り材料になっていると思います。
たとえば、シュナベールECB専務理事は「インフレの上昇は来年には緩和する」「来年利上げ条件が満たされる可能性は極めて低い」などと述べています。
これらのことを考えると、ユーロはこれからも下落傾向になる可能性は高いと私は考えています。
米ドル/円は割と近い時期に115円を上に抜けていく可能性が高い。次に見えてくるのは118円ということに
次に米ドル/円です。米ドル/円は、今週(11月15日~)に入って114.70円の年初来高値を上に抜けて2017年以来の高値をつけました。
チャートポイントを上に抜けて一気に上昇していくのかと思われましたが、今のところ、そういう動きにはなっていません。
115.00円にオプション関連の大きな売り注文があったことと、日本の輸出企業からも米ドル/円の売り注文が殺到したことで、ここで頭をたたかれてしまい、その後は113円台にまで反落しています。
(出所:TradingView)
ただ、これも一時的な動きで、割と近い時期に115円を上に抜けていく可能性が高いと考えています。
そうなると次に見えてくるのは118円ということになるでしょう。ユーロ/米ドル、米ドル/円などでの米ドル買い方針を今後も継続していきます。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコリラ/円が滝のように下落。安易に買うことだけはお勧めできない
最後に、トルコリラに触れておきます。
トルコリラ/円はチャートを見てもわかるとおり、滝のように下落してきています。
インフレを抑えなければいけないのに、エルドアン大統領が中央銀行に圧力をかけて、逆に金利を引き下げるという方針を示していることで、トルコリラの底が見えなくなっています。
安くなってきたからといって、安易に買うことだけはお勧めできません。慎重に考えてください。
(出所:TradingView)
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