米ドル/円はこの1週間、113円台半ばから114円台半ばでのレンジ相場に
この1週間の米ドル/円の動きを少し振り返ってみたいと思います。
先週のコラムでは、米ドル/円について以下のようにお伝えしました。
チャート上でのポイントとしてかなり意識されていた2018年10月の高値114.55円を上抜けて買われました。
そして、もう1つの上値のメドとなっていた2017年11月の高値114.73円直前まで上昇。非常に重要なポイントをブレイクするかどうかのところにきています。
引用元:米ドル/円は114円台後半の最重要ポイントをブレイクするかどうかというところまできた。過去の高値が集中するここを上抜けられる?
米ドル/円は結局、10月20日(水)の114.70円を頭に、113円台半ばから114円台半ばでのレンジ相場となってしまいました。
(出所:TradingView)
米長期金利は低下。FOMC前のポジション調整の債券買い戻しや、月末特有の債券買いが要因か
米長期金利(米10年債利回り)も10月21日(木)に1.70%台まで上昇しましたが、その後はポジション調整の債券買い戻しが先行した模様です。10月27日(水)には一時1.51%台まで低下しています。
(出所:TradingView)
市場では、来週11月2日(火)、11月3日(水)に予定されているFOMC(米連邦公開市場委員会)を前にしたポジション調整の債券買い戻しや、月末特有の、いわゆる、デュレーションの長期化に伴う債券買い(投資家が保有している債券の残存期間を調節すること)などが前もって出たことが、米長期金利が低下した要因であると言われています。
BOCが量的緩和の終了と利上げ時期予想の前倒しを表明
ただ、10月27日(水)にはBOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が量的緩和(QE)の終了を決定しました。
今後は保有している債券で満期が到来したものに再投資することのみを行うことになります。
また、2022年後半としていた利上げ時期の予想を、2022年半ばまで前倒しすることを表明しました。
来週のFOMCは、テーパリングの終了時期や高いインフレ率に対する声明文の表現の変更に注目
来週のFOMCでは予定どおり、テーパリング(※)の開始を決定することになりますので、今後は再び米長期金利の上昇を受けた米ドル買いが強まってくるのではないかと思っています。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
市場では11月にテーパリングを開始し、国債を100億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を50億ドルずつ、その後の会合ごとに減額していき、来年(2022年)9月には終了するというスケジュールを想定しているようですが、終了時期なども含めて、今後の動向に注意しています。
【参考記事】
●1米ドル=114円台半ばが当面のターゲットに。米金融政策の方向性がはっきりしている以上、米ドル高がまだ続く可能性が高い!(10月14日、今井雅人)
世界的なインフレリスクが高まるなか、今週(10月25日~)はグリーンスパン元FRB(米連邦準備制度理事会)議長やサマーズ元米財務長官が米国の目標を上回る持続的なインフレへの懸念を表明しました。
FRBとしては、あくまでも高いインフレ率は「一時的」としており、これは来年以降、緩和されていくという見方を変えていませんが、来週のFOMCでは声明文の表現に変更があるかどうかも重要になってくると思います。
米ドル高の動きが出るまでしばらく我慢して待ちたい
為替市場ですが、先週のコラムと同様に、米ドル/円は114円台後半のポイントを何度か試したあと、結局は上方向に抜けるイメージ。
【参考記事】
●米ドル/円は114円台後半の最重要ポイントをブレイクするかどうかというところまできた。過去の高値が集中するここを上抜けられる?(10月21日、今井雅人)
(出所:TradingView)
ユーロ/米ドルは米ドル/円ほどの方向性はまだ出ないものの、最終的には下方向に抜けていくと思っています。
(出所:TradingView)
ポジションは米ドル/円のロングを中心に、ユーロ/米ドルのショートを持ったままですが、しばらく、動きが出るまで我慢して待ちたいと思います。
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