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衆議院議員・今井雅人さんに聞く(1)
FXのレバレッジ規制はすべきか?

2009年12月14日(月)16:12公開 (2009年12月14日(月)16:12更新)
ザイFX!編集部

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 12月のある日、冷たい雨が降りしきる中、記者は普段あまり縁のない街……永田町方面へ向かっていた。今井雅人(マット今井)さんに会うためだ。

 8月の衆議院選で劇的な大勝利を収め、政権交代を果たした民主党。FXファンにおなじみの今井さんは、その民主党から出馬して見事当選、あれよ、あれよという間に、国会議員になってしまった「ザイFX!連載陣の一人、今井雅人(マット今井)氏が衆院選当選!」参照)

 何となく雲の上の存在になってしまったかのような今井さんは今、どうしているのだろうか?

■議員会館でもブルームバーグ端末を発見!

 目指すは静かなる威厳を持ってたたずむ国会議事堂……ではなく、その裏手にある衆議院議員会館だ。記者を含む取材陣は議員会館入り口での厳重な手荷物検査をパスすると、建物内への潜入に首尾良く成功した!?

 そして、やや緊張感を漂わせつつ、今井さんの部屋へ向かったのである。

 そこには3人の秘書を従えた今井さんの姿が! いや、これは当然のことであって、特にコーフンするところではない。

 ただ、今井さんの机の上にはパソコンの他にブルームバーグ端末(※)を発見! 「国会議員でブルームバーグ端末を置いてるのは私ぐらいでしょう」と今井さん。

(※ブルームバーグ社が提供している、世界中のありとあらゆる相場情報などが表示できる端末のこと)

 今井さんの名刺には「衆議院議員」の文字、今井さんの胸には赤紫色の中に金色の菊が咲いた議員バッジが光っている。しかし——以前お会いした時と比べ、今井さんはそれほど変わっていないという印象を記者は持ったのだった。

 今回のザイFX!の取材は雑誌『ダイヤモンドZAi』の取材と同日に行った。『ダイヤモンドZAi』の方は今井さんとタレントの松尾貴史さんとの対談企画だ(対談は1月21日発売の『ダイヤモンドZAi』3月号に掲載予定。そちらも乞うご期待!)。

 その対談の最中にも、今井さんは「国会議員になっても、以前とあまり変わりはない。国会初登庁の時も他の人のような『赤じゅうたんに感激!』といったこともなく、普段どおりだった」といったことを語っていた。

 国会議員になっても気負ったところがなく自然体で、ちょっとホンネトーク的なところも含め、比較的自由に発言してくれた今井さんだったのである。

■選挙後はあいさつまわりで1カ月半!?

 前置きが長くなってしまったが、そんな今井さんに、まずは、当選してから今までどんなことをしてきたのかを聞いてみた。

 「選挙の前ももちろん大変だったんですが、選挙のあとはもっと大変だったんですよ。

 お世話になった人に当選報告のごあいさつに行かないといけない。これが1人でも漏れると大変なことになるんです。だから、絶対漏れないように必死。毎日毎日いろんなところへ行きまして、これに1カ月半かかりました。その間、他のことは何もできない状態でしたね。

 それがひととおり終わったあと、国会が始まりました。これがはじめての国会なので、わからないことばかりで…。ずいぶん、あたふたしました。

 でも、今は段々落ち着いてきて、時間もだいぶ取れるようになってきたところです。

 議員になって変わったことといえば、やはり何でもかんでも言っていいという立場でなくなったことは正直あります。

 かといって、何か制限があるわけではありません。個人の範囲で自由に活動していいということなんです」

■「地域経済の活性化」が一つの目標

 さて、国会議員となった今井さんはこれからどんな政治活動をやっていこうとしているのだろう?

 「私は選挙区が岐阜なので、一つのテーマは地域経済の活性化。地方の経済は今、本当に大変なんです。地元に産業を作るお手伝いをして、地元に雇用を作るのが一つの目標ですね」

 民主党はそのマニフェストに政権構想の5原則を掲げているが、その一つに「中央集権から、地域主権へ」というものがある。「地方への権限委譲」は民主党政治の大きなテーマとなっている。そして、地元経済への貢献が今井さんのまず一つの政治目標ということだ。

 では、今井さんの元々の主戦場である「金融」についてはどうなのだろう?
■外へ向かって開かれた日本の金融へ!

 「金融についても、もちろんやりたいですよ。

 金融=マネーゲームみたいにとらえる風潮が世の中にはあって、ちょっと煙たがられていますよね。これは政府批判、与党批判になってしまうかもしれないけれど、政策面から見て、現状では金融が横に置かれているように感じます。

 でも、経済の一番の血流は金融なんです。金融がシッカリしていないと世の中、栄えません。日本はもの作りの国といいますが、もの作りはお金がついてこなければできないこと。だから、金融はとても大事なんです。

 私はそういうことをシッカリ訴えていきたいと思っています。

 たとえば、これは私の持論でして、前から常に言っていることですが、日本の金融を内向きなもの、ローカルなものにしてはいけない。もっと、外に向かって開かれたものにしていかないといけません」

 「世界的な金融センターについて考えてみましょう。中南米を含めたアメリカ大陸ではニューヨーク、そして、ヨーロッパではロンドンが金融センターになっています。

 アジアはどうでしょうか? シンガポール、香港があって、さらに最近は上海が出てきた。これに東京で4都市が争ってます。これに負けたら大変なことになりますが、すでに負けつつある状況。

 そんなことではダメなので、日本の金融市場にも、もっと外資が入ってきやすいような制度を整えていかないといけないと考えています」

 今井さんは過剰な投機は問題だが、正常な投資はあと押ししていく必要がある、という。投資もお金を活性化させて、世の中に回していく手段だからだ。それがうまく回ることが、国の繁栄につながるということだ。

■レバレッジの上限は50倍ぐらいでいいと思っているが…

 さて、過剰な投機といえば、金融庁からすでに発表されている、いわゆる「レバレッジ規制」のことが思い浮かぶ。

 FXのレバレッジは現状では特に規制がないが、これが来年、2010年8月には50倍まで、さらに2011年8月には25倍までと段階的に規制されることが決まっている。

 今井さんはこのレバレッジ規制について、どう考えているのだろうか?

 「私はずっと『レバレッジ規制はすべき』と言ってきました。だから、規制が入ったこと自体は正しいと思います。

 何百倍なんていうレバレッジはおかしいですよ。それでは、FXが単なるバクチになってしまいます。

本当は業界が自主規制をやればよかった。けれど、FX会社がいがみ合って一枚岩になれず、モタモタしている間に金融庁にやられてしまった。業界が自分たちでもっとちゃんとやればよかったのに…と思います。

 ただ、倍率に関しては、個人的には50倍ぐらいでいいと思っています。25倍まで規制しなくてもよかったというのが個人的な意見」

 「レバレッジ規制は内閣府令で決まった話。これをひっくり返すことは一応可能ですが、そのためには相当な理由づけが必要。25倍ではなく、50倍の方がなぜいいのかということのね。これをやるのは正直、かなり大変な話になってきます。

 ただ、内閣府令を完全にひっくり返すまではともかくとして、実際の運用面でもう少し考える必要があるとは思います。25倍といっても、実質的にはもっと低いレバレッジしかかけられないことになる可能性がある、と聞いています。

 そうであれば、フルに25倍のレバレッジがかけられるような制度設計にすることが大事だと思っています」

「衆議院議員・今井雅人さんに聞く(2) 為替介入はやるべきか?」へつづく)

(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔  撮影/渡部さとる)
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