中期スパンにおけるユーロ、英ポンド、円のターゲットを引き上げることにした。もちろん、対ドルでの話である。
■中期スパンでは、ドル安の進行はなお続く!
2月下旬にセッティングした対ユーロ、対英ポンド、対円での目標値がすべて達成されたので、対豪ドルを除いて、新たな目標値の設定を迫られたのだ。
ドル安の進行はなお続いており、おそらく夏までには、新たにセッティングした目標値も達成されることだろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル vs 主要通貨 1時間足)
だが、短期的なリバウンドも十分に見込まれるため、一方向的な下値追いにはちゅうちょせざるを得ない。以下、その理由を挙げてみた。
■多くの投資家がドル・ショートにポジションを取っている
まず、先物マーケットにおけるドルのショートポジション(売り持ち)は、既にリーマン・ショック以前のレベルまで回復しているのだ。
シカゴ先物市場におけるIMMの「COTレポート(※)」によると、5月19日の週まで、ユーロのネットポジションは1万2250枚の買い超となり、2008年7月15日以来の高い水準である。ちなみに、当時のユーロ/ドルは1.6040ドルの史上最高値に達していた。
次に、ドルは対ユーロ以外、対豪ドル、対ニュージーランドドル、対英ポンド、対スイスフラン、対カナダドル、対円で大幅の売り超となっている。その中でも対豪ドルは、ユーロ並みに高い水準となっている。これは2008年7月以来で、さらに2009年3月以来の高いレベルを記録している。
最後に、OTC(取引所を通さない証券会社などとの相対取引)のオプション・マーケットにおいて、多くのトレーダーが高いオプション料を払ってまで、ドル安のオプションを購入していることも理由として挙げたい。
一般個人投資家の動向を測るセンチメント指数では、ユーロ/米ドルのネットポジションは依然売り超の状態を示しているが、その数量は急激に減少している模様だ。
マスコミの論調や各金融機関のアナリストの見方がユーロ高に傾くにつれ、個人投資家のユーロに対するセンチメントもブル(強気)に傾倒し始めているようだ。
※編集部注:「COT(コミットメント・オブ・トレーダーズ)レポート」は、CFTC(全米先物取引委員会)が毎週金曜日15時30分(米国東部時間)に公表しているもの。CFTCは各先物市場の上場商品について建玉を公表するように義務づけており、各取引所が毎週火曜日の取引終了後の建玉枚数を報告し、CFTCがそれらを集計している。
■ドルはいったん反発してから弱気相場に復帰する可能性
市場関係者がドル安にポジションを傾け過ぎている。その状況下で、ドル安トレンドが早く進まない場合に、反転する機運が高まることがよくある。
特に、センチメント指数が既に反転している可能性は高く、ドルは全体的にいったんリバウンドしてからベア・トレンド(弱気相場)へと復帰する公算が大きいと見ている。
だが、短期的なリバウンドも十分に見込まれるため、一方向的な下値追いにはちゅうちょせざるを得ない。以下、その理由を挙げてみた。
■多くの投資家がドル・ショートにポジションを取っている
まず、先物マーケットにおけるドルのショートポジション(売り持ち)は、既にリーマン・ショック以前のレベルまで回復しているのだ。
シカゴ先物市場におけるIMMの「COTレポート(※)」によると、5月19日の週まで、ユーロのネットポジションは1万2250枚の買い超となり、2008年7月15日以来の高い水準である。ちなみに、当時のユーロ/ドルは1.6040ドルの史上最高値に達していた。
次に、ドルは対ユーロ以外、対豪ドル、対ニュージーランドドル、対英ポンド、対スイスフラン、対カナダドル、対円で大幅の売り超となっている。その中でも対豪ドルは、ユーロ並みに高い水準となっている。これは2008年7月以来で、さらに2009年3月以来の高いレベルを記録している。
最後に、OTC(取引所を通さない証券会社などとの相対取引)のオプション・マーケットにおいて、多くのトレーダーが高いオプション料を払ってまで、ドル安のオプションを購入していることも理由として挙げたい。
一般個人投資家の動向を測るセンチメント指数では、ユーロ/米ドルのネットポジションは依然売り超の状態を示しているが、その数量は急激に減少している模様だ。
マスコミの論調や各金融機関のアナリストの見方がユーロ高に傾くにつれ、個人投資家のユーロに対するセンチメントもブル(強気)に傾倒し始めているようだ。
※編集部注:「COT(コミットメント・オブ・トレーダーズ)レポート」は、CFTC(全米先物取引委員会)が毎週金曜日15時30分(米国東部時間)に公表しているもの。CFTCは各先物市場の上場商品について建玉を公表するように義務づけており、各取引所が毎週火曜日の取引終了後の建玉枚数を報告し、CFTCがそれらを集計している。
■ドルはいったん反発してから弱気相場に復帰する可能性
市場関係者がドル安にポジションを傾け過ぎている。その状況下で、ドル安トレンドが早く進まない場合に、反転する機運が高まることがよくある。
特に、センチメント指数が既に反転している可能性は高く、ドルは全体的にいったんリバウンドしてからベア・トレンド(弱気相場)へと復帰する公算が大きいと見ている。
以上のように、ドル安の一服を予測してみたが、現時点ではその予測が正しいかどうかははっきりとわからない。
前回も言ったように、市場は常に「行き過ぎ」となる習性があるため、一方的にポジションが傾き過ぎていても、どこで反転するのかはわからない(「非理性的」な段階に入った為替相場。ドル売りはさらに加速する可能性大!参照)。
ただし、1つ言えることは、仮にドル安の一服あるいは反転がなくても、足元の状況下ではドル安の余地が限られているということだ。
市場関係者があまりにも多くのドルのショートポジションを持っているため、ドルが下がれば決済による買い戻しが入り、ドル安/円高がさほど進まない可能性が高い。
■ドル・ロングが増えなければ安値ターゲットは達成できず
この意味では、ショートポジションを整理するために、ドルの反発が必要ということになる。また、次なるドルの安値ターゲットを達成するためには、ドルのロングポジションが増える必要があり、これこそがドルを押し下げるエネルギーとなるのだ。
ドルの反発が、本当のドルショート派にとって、実に望ましくかつ切望しているところでもある。
前回も言ったように、市場は常に「行き過ぎ」となる習性があるため、一方的にポジションが傾き過ぎていても、どこで反転するのかはわからない(「非理性的」な段階に入った為替相場。ドル売りはさらに加速する可能性大!参照)。
ただし、1つ言えることは、仮にドル安の一服あるいは反転がなくても、足元の状況下ではドル安の余地が限られているということだ。
市場関係者があまりにも多くのドルのショートポジションを持っているため、ドルが下がれば決済による買い戻しが入り、ドル安/円高がさほど進まない可能性が高い。
■ドル・ロングが増えなければ安値ターゲットは達成できず
この意味では、ショートポジションを整理するために、ドルの反発が必要ということになる。また、次なるドルの安値ターゲットを達成するためには、ドルのロングポジションが増える必要があり、これこそがドルを押し下げるエネルギーとなるのだ。
ドルの反発が、本当のドルショート派にとって、実に望ましくかつ切望しているところでもある。
ユーロ/米ドル 週足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
ちなみに、ユーロ/ドルの足元のネットポジションは、買い超の枚数がユーロの史上最高値をつけた時に匹敵するものの、絶対数量ではまだ史上最高値をつけた時の10分の1程度となっている。
つまり、中期スパンでは、ユーロ高/ドル安の余地が大きい。従って、夏までにはユーロはさらなる高値をつける可能性が高いと見ている。
■足元で英ポンドが強いのはなぜか?
また、先週以来、英ポンドの強さが目立つ。
ちなみに、ユーロ/ドルの足元のネットポジションは、買い超の枚数がユーロの史上最高値をつけた時に匹敵するものの、絶対数量ではまだ史上最高値をつけた時の10分の1程度となっている。
つまり、中期スパンでは、ユーロ高/ドル安の余地が大きい。従って、夏までにはユーロはさらなる高値をつける可能性が高いと見ている。
■足元で英ポンドが強いのはなぜか?
また、先週以来、英ポンドの強さが目立つ。
英ポンド/円 日足
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
なぜ英ポンドがこんなに強いのかというと、簡単に言えば次のようなことになる。
年初からユーロに比べて、英ポンドの下落を予想していたポジションの数量が圧倒的に多かったため、その反動で、足元の英ポンドが強くなっている。
これは対ドルのみではなく、ユーロ/英ポンドにおける年初来のネットポジションの推移からも同じ結論が得られる。
(2009年5月29日 東京時間11:20記述)
なぜ英ポンドがこんなに強いのかというと、簡単に言えば次のようなことになる。
年初からユーロに比べて、英ポンドの下落を予想していたポジションの数量が圧倒的に多かったため、その反動で、足元の英ポンドが強くなっている。
これは対ドルのみではなく、ユーロ/英ポンドにおける年初来のネットポジションの推移からも同じ結論が得られる。
(2009年5月29日 東京時間11:20記述)
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