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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

「非理性的」な段階に入った為替相場。
ドル売りはさらに加速する可能性大!

2009年05月22日(金)15:27公開 (2009年05月22日(金)15:27更新)
陳満咲杜

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 筆者が予想していたとおりに、ドルの全面安が進んでいる。しかも、その受け皿は、円からユーロ、豪ドル、英ポンドなどへと主役が移ってきている。

 週初5月18日以来、ドルの対主要通貨での下落幅を見ると、その状況は一目瞭然である。また、それゆえに、クロス円(ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は総じてレンジ相場の様相を強め、値崩れを回避することができている。
米ドルvs主要通貨 (クリックで拡大)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル vs 世界の通貨 1時間足

■足元のドル全面安の状況は「非理性的」!?

 では、これからの相場はどうなるか?

 結論から申し上げると、私はドル安が一段と鮮明になり、さらなるスピードをもって進む可能性が高いと見ている。しかし、それは「理性的」な段階から「非理性的」な局面へ移るのではないかとも思う。

 本来、相場に「理性」はあり得ない。「気まぐれ」が相場の本性である以上、行き過ぎも常であるため、「理性」があるか否かの論議そのものがバカバカしいのかもしれない。

 ドル安については、当然と言えば当然の状況であるから、どのレベルまでが「理性的」か、どのレベルからが「非理性的」なのかは誰にもわからないはずだ。

 だから、私は常に「相場にはあり得ないことはない」と言っている。だが、値動きではなく、市場関係者の心理に移せば、話は違ってくる。

■「理性的」な状態にある相場とは?

 つい最近、3月上旬まで、機関投資家から個人投資家まで大半の投資家が、ドル全面安に懐疑的な見方をしていた。

 特に、ユーロと英ポンドの暴落論が市場を支配していた。どちらかと言うと、「ユーロと英ポンドが対ドルで底打ちし、さらに足元のレベルのような高値をつけること」が、多くの市場関係者にとっては「想定外」であった。

 このような時期こそ、相場は「理性的」な状態にあると思う。

 というのは、見方が分かれ、かつ多数派の見解が市場における潜在的なトレンドと逆であるということが、為替マーケットの本来の姿であり、「ゼロサム・ゲーム」の本質の表れだからである。

■同じ材料でも、市況に合わせてどうにでも解釈できる!

 だが、先週あたりから、市場関係者の雰囲気はすっかり変わった。その好例が、何と言っても専門家らの論調であろう。

 2008年の年末から、一貫してユーロと英ポンドの暴落を論じてきた多くの専門家が逆に高値を掲げるようになって、一斉に方向転換した。

 また、ユーロと英ポンドについて弱気見通しを立てた専門家の多くが、欧英の量的緩和政策をその根拠として挙げていたが、今日では、その同じ政策を理由に強気見通しを示していることは見逃せない。
 たとえば、「EUの量的緩和の規模は小さく、健全な操作の範囲内」、「英国の量的緩和策は確かにひどいが、2008年の暴落ですでに織り込み済み」、「米国に比べればまだマシだ!」という感じだ。

 これらの論調の正誤はともかく、大事なのは、2月13日の回で指摘したように、材料はどうにでも解釈できて、同じ材料でも市況に合わせてどちらでも「我田引水」的に解釈できるケースが多いということである「材料はどうにでも解釈できる。そんなことより相場の本音を聞け!」参照)

 また、4月24日の回に書いたように、表面上、ファンダメンタルズ派とテクニカル派に分けられるが、多くのファンダメンタルズ論者は「隠れテクニカル派」であることを悟るべきだ「同じチャートも人により違って見える。円安トレンド終了と考えるのは早計だ!」参照)

 要するに、足元で市場参加者の多くがドル安に傾き、その根拠を「欧英の量的緩和政策にある」と無理やり転換させ、見苦しい解釈をしているため、市場は「非理性的」な段階に入りつつあると指摘したいのだ。

■米国市場で、英国の悪材料は完全に無視された格好

 「非理性的」な段階に入りつつあるということについては、英ポンド/米ドルの5月21日の値動きがその証明になろう。
ポンド/ドル 1時間足(クリックで拡大)
(出所:米国FXCM

 赤い円で囲まれた部分に見られる英ポンドの急落は、格付機関大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がこの日、英国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」へ引き下げたことに起因している。

 テクニカル的にも、上昇サポート・ラインを一時割り込んでおり、本来はさらなる調整があってもおかしくないのだが、その後は上昇に転じて高値を更新していた

 市場関係者の間で米国債も格下げされるのではないかという懸念が浮上したため、米国株安・債券安と同時に、為替市場でも「ドル安」という形で、その懸念が表れた

 注意していただきたいのは、対英ポンドでのドル安値更新が英国サイドの悪材料を完全に無視した格好だったことだ。その上、米国株安が投資家のリスク選好の姿勢を弱めさせ、ドルを支えるといった構図が完全に崩れたことも見逃せない。

■皆が「ドル売り」を口々に語り始めたら要注意!

 つまり、材料は何であれ、とにかくドル売りと解釈しがちなのが今の相場の特徴であり、それがさらに加速していく可能性が高い。なぜかというと、「非理性的」だからこそ「行き過ぎ」になるからだ。

 ただし、いつものように、いつか「猫も杓子も」ドル売りしか考えなくなる時期が来るので、その時は要注意だ

 おそらく夏には、対ユーロ、対英ポンドなどで、今では想像できないほどのドルの安値(ターゲット)が口々に語られることだろう。しかもそれは、年初に恐ろしいほどの高値を想定していた専門家の口から出るのだろうが、これはサインとして有効に活用したい。
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