■米国の量的緩和は、米ドルを刷ってばらまくこと
前述したように、最近の米ドル安は言うまでもなく、米FRBの追加の量的緩和策に源泉がある。だが、その背景にはもっと深刻な問題があり、それをマーケットは危惧しているに違いない。
つまり、米国当局が米ドル安を意図的に作り出している可能性が高いため、世界的な「通貨戦争」の様相がますます強まり、結果として、さらなる米ドル安が引き起こされるといった悪循環である。
米国の量的緩和はコアインフレターゲットの達成を目的としているが、言ってみれば、それは米ドルを刷ってばらまくことである。
その上、オバマ政権の「輸出倍増計画」を支援する思惑もあって、米国当局が意図的に誘導し、さらなる米ドル安へと傾いている状況がうかがえる。
■中国は米ドル資産の処分をうまく行うことができた
中国は「管理為替制度」を取っているため、人民元高を人為的に抑えている。だが、人民元高は米国にとって、もはや容認できないほどの大問題だ。
米国は、下院の立法を通じて中国をたたくという形で、法的な措置を取ってでも、米ドル安へと誘導したがっている。ここに、米国のいら立ちとあせりが浮き彫りとなっている。
その一方で、中国は外貨準備高の多元化という「言いわけ」で日本や韓国の国債へと資金をシフトし、日本当局の市場介入を通じ、米ドル資産の処分をうまく行うことができた(「米ドルの罠にはめられた中国は損失覚悟の米ドル資産売却へ動き始めた」を参照)。
日本の単独介入によってG7の足並みが乱され、ユーロ圏内の国々は不満を表明している。水面下で、何らかの対策が探られることになるだろう。
最近のマーケットが証明しているように、米ドル安の受け皿としてユーロが買われる傾向が続けば、それは、深刻な問題を抱えるユーロ圏内の国々にとって、容認しがたい事態であろう。
■米ドル/円は、もう1回高値をトライしてくるのでは?
スイス当局は、今年前半にすでに何回も市場介入を行ってきた。
様子を見ながら、スイス当局が再度スイスフラン高を阻止する動きをしてもおかしくはないだろう。
スイス/円&ドル/スイス 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:スイスフラン/円 日足)
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日本に目を転じると、何度も「継続介入」の姿勢を表明した民主党政権が、わずか1回の介入にとどめることは想定しにくい。円高の進行度合いを考慮しながら、改めて市場介入を行うだろう。
「通貨戦争」の様相を呈する各国の政策と思惑は、為替相場を主導することで、結果として短期スパンでは米ドル安を阻止できるかもしれない。だが、中・長期スパンでは、米ドル安をさらに引き起こすリスクが高い。
現実の戦争とは違って「通貨戦争」では、基軸通貨はその優位性を発揮し、他の通貨をリードする力を有する。したがって、管理相場でない限り、米ドルに勝てる通貨はないだろう。
これこそ、中国が頑として人民元の自由化を行わない根本的な理由である。
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日本に目を転じると、何度も「継続介入」の姿勢を表明した民主党政権が、わずか1回の介入にとどめることは想定しにくい。円高の進行度合いを考慮しながら、改めて市場介入を行うだろう。
「通貨戦争」の様相を呈する各国の政策と思惑は、為替相場を主導することで、結果として短期スパンでは米ドル安を阻止できるかもしれない。だが、中・長期スパンでは、米ドル安をさらに引き起こすリスクが高い。
現実の戦争とは違って「通貨戦争」では、基軸通貨はその優位性を発揮し、他の通貨をリードする力を有する。したがって、管理相場でない限り、米ドルに勝てる通貨はないだろう。
これこそ、中国が頑として人民元の自由化を行わない根本的な理由である。
米ドル/円 日足

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最後に、米ドル安の流れは続くと見ているが、最近の「ユーロ高・米ドル安」においては、オーバーボート(買われ過ぎ)といった見方を堅持したい。近々修正が行われるだろう。
そして、米ドル/円は日本当局の介入も想定し、もう1回高値をトライしてくるではないかと見ている。
(2010年10月1日 午前11時40分執筆)
最後に、米ドル安の流れは続くと見ているが、最近の「ユーロ高・米ドル安」においては、オーバーボート(買われ過ぎ)といった見方を堅持したい。近々修正が行われるだろう。
そして、米ドル/円は日本当局の介入も想定し、もう1回高値をトライしてくるではないかと見ている。
(2010年10月1日 午前11時40分執筆)
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