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太田忠
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」
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2009年12月18日(金)19:30公開 [2009年12月18日(金)19:30更新]

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 年末が近づくにつれて、米ドル全体のリバウンドが加速している。

 これは、筆者がこれまでに指摘してきたとおりの展開だ。

■米ドル高の理由を探しても「後の祭り」!

 現執筆時点では、ドルインデックスは77.94の高値をつけている。

 そして、ユーロ/米ドルは1.4304ドルまで、豪ドル/米ドルは0.8810ドルまで、それぞれ下落しており、米ドル/スイスフランは1.0508フランまで上昇している。
ドルインデックス 日足(クリックで拡大)
(出所:米国FXCM)

 ここにきて、市場関係者、とりわけ、エコノミストやアナリストは、足元の米ドル高の理由を探し始めたようだ。

 そこで出てきた多くの評論をまとめてみると、主に、以下の3点に集約できる。

(1)FOMC(連邦公開市場委員会)の声明文で、米国経済の改善についての言及がなされ、さらに、緊急経済対策の大半を、予定どおりに来年2月に終了するという方針が示された。これによって、米国の利上げ観測が高まった。

(2)フィッチ、スタンダード&プアーズ(S&P)と、格付け機関が相次いで、ギリシャの格付けを引き下げた。これが、EU全体の財政悪化懸念を招き、ユーロ売り・米ドル買いを誘発している。

(3)S&Pが、1兆4600億ユーロのカバードボンドを「クレジットウォッチ」に指定し、EU圏の銀行の融資コストが上昇するリスクが浮上したため、対米ドルでもユーロ売りが引き起こされた。

 だが、これらの解釈はすべて「後の祭り」であって、「我田引水」的なところが大きい。

 ギリシャの問題を例に挙げてみよう。

 もし、対GDPで、ギリシャの10~20%程度の財政赤字が問題だと言うのであれば、財政赤字が120%超の日本のような国の通貨も暴落しているはずだ!

■トレーダーとして生き残るために重要なのは?

 このコラムで繰り返して強調しているように、本質的には、マーケットのトレンドが転換したときは、往々にして、ファンダメンタルズ的な材料を伴うものである。

 突発的な材料が出て、それが世間の意表を突くということは多い。

 だが、市場の内部構造がトレンドの転換を先に決めていて、ファンダメンタルズがその後を追い、表面化するケースがほとんどである

 つまり、経済指標など、各種材料の結果がマーケットの方向性を決めるのではなく、マーケットの内部構造の変化が、ファンダメンタルズを誘導するのだ。

 これこそ相場の真実であり、このことを悟れるかどうかが、トレーダーとして生き残れるかどうかの分かれ目でもあると言っても、過言ではないだろう。

■米ドル高の理由を挙げてはみたが…

 最近の米ドル高について、より直接的な原因は、米ドルのショート筋の利益確定の買い戻しが考えられるだろう。あるいは、損失確定の“投げ売り”も、少なからずあるだろう。

 3月から11月まで、半年以上にわたって米ドル安がマーケットのトレンドであった。それだけに、米ドルのショートポジションがかなり積み上げられており、いったんトレンドが反転すると、雪崩のように米ドルのショートポジションが決済されていく

 また、年末が近づくにつれて、ヘッジファンドなどの期末の手仕舞いが出てくる。つまり、保有するポジションは、利益確定もしくは損失確定をしなければならない。

今年のトレンドが米ドル安であった以上、米ドルの買い戻しは、遅かれ早かれ発生する。それが今になって出ているだけのことだ

 以上、米ドル高の3つの原因を挙げてみたが、これらは、いずれもポジション決済の理由として利用されているだけである

 仮に、今年のトレンドが米ドル高だったとすれば、足元の状況とは逆で、米ドルが売られて、今と同じような材料が、米ドル売りの口実に使われているはずだ。
陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」
陳満咲杜 (ちん・まさと)

中国・上海生まれ。1992年に所持金5000円で来日し、日本語学校を経て日本大学経済学部に入学。生活費と学費をアルバイトでまかないながら在学中より株式投資を開始。大学卒業後、中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。現在は陳アソシエイツ代表/アナリストとして活躍している。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。最新刊は『勤勉で勉強家の日本人がFXで勝てない理由』(ダイヤモンド社)、その他、『相場の宿命 2012年まで株を買ってはいけない!』、『CFDトレーディングの真実』『FXトレーディングの真実』(以上、扶桑社)、『着物トレーダーを卒業せよ 陳満咲杜の為替の真実』(青月社)などの著書がある。

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