■円相場は混沌状態。米ドル/円はレンジ相場に
ここ1~2週間の動きを見ると、円相場は混沌とした状態に入り込んできてしまっています。

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直近の動きで言えば、11月6日(月)に海外の短期投機筋が、114.50円にあった米ドル/円のストップロスの買い注文を狙って買いを仕掛け、その影響で一時114.736円まで上昇しました。
しかし、その後、買いについてくる者が現れず、買い上げた短期筋もあっけなく売り戻してしまい、結局、一気に元の水準まで巻き返してしまいました。

(出所:Bloomberg)
米ドル/円は直近高値であった7月11日(火)の114.495円を一瞬だけ上に抜いて、ここで一気に上昇かと市場関係者の期待は高まったものの、その流れが数時間と持たなかったことで、逆に失望感が市場に広がってしまいました。

(出所:Bloomberg)
その後は、113円台から114円台の中でのレンジ相場に入り込んでしまっています。私自身も上に抜けるかと少し期待をしていたのですが、どうも当面、その可能性は低そうだと考えざるを得ない状況になってきました。
【参考記事】
●ドル/円を取巻く環境はサンドイッチ状態!? トランプ大統領来日へ。北朝鮮の動向注意(11月2日、今井雅人)
■米ドル/円は大きく崩れる可能性は低そうだけど…
米国の長期金利も伸び悩んでいます。
直近の米国債の10年物利回りは2.3%程度で、一時は2.5%を上に抜けていくかと思われましたが、失速してしまっています。

(出所:Bloomberg)
こうした状況も、米ドル/円の頭を押さえ込んでしまっている要因です。
ただ、米ドル/円は113円台半ばより下がってくると、日本の機関投資家のドル買い注文がある程度並んでいるようなので、大きく崩れることも可能性としては低いのではないかと考えています。
【参考記事】
●日経平均2倍以上なのに円安は少しだけ。2002~2007年の市況からヒントが得られる?(11月6日、陳満咲杜)
結局は、方向感のないレンジ相場に入り込んでしまう公算が高まってきてしまったということでしょう。
■目先は米税制改正の行方に注目!
そんな中、注目は米国の税制改正です。
法人税率の引き下げや、海外からの資金流入を促すような内容の税制改正に成立のメドが立ってくれば、為替市場においても米ドル買いムードになってくると思われるので、今後の動向には注目したいと思います。
とりあえず、直近の予定としては、本日11月9日(木)に、米共和党の党部会から上院案が出てくるようなので、その内容にも注目をしておきたいです。
■ユーロ/米ドルも細かい動きに。今後の戦略は?
ユーロ/米ドルも、米ドル/円と同様の状況にあります。
10月26日(木)に、10月6日(金)の1.16697ドルや8月17日(木)の1.16624ドルを一気に下に抜けたことで、さらなる下落を期待するムードが高まっていました。
【参考記事】
●売りシグナル点灯のユーロ/米ドルは、大きく下落する可能性も!その理由と対応策は?(11月1日、松田哲)
チャート上では、1.12ドル台あたりまでの下落は期待できる形となっていましたが、その後の動きは鈍く、1.16ドルを挟んだ細かい動きになってきてしまっていて、こちらも、市場関係者の中に失望感が広がる結果となっています。

(出所:Bloomberg)
そうした動きとなった背景には、やはり、米国の長期金利の低迷が影響しています。
まだ、ユーロ/米ドルが下落する可能性を捨てているわけではありませんが、確率的には低くなってきてしまったのかなと感じています。
正直に申し上げて、現時点での為替相場における取引は、なかなか難しくなっています。
ポジティブキャリー、つまり、スワップ金利(スワップポイント)がプラスになるようなポジションをコアに持ちながら、狭い値幅のレンジトレードを続けるしかないような状況です。
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