日本時間本日(3月17日)未明の地震はひさしぶりに驚きました。今回の地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。被害が少ないこと、余震による被害が広がらないことをお祈りいたします。
FOMC後、米ドル/円は一時119円台へ。米国株は大幅続伸
みなさん、こんにちは。
FOMC(米連邦公開市場委員会)は、マーケットのコンセンサス通り、0.25%の利上げを実施。
公表されたドットチャート(ドットプロット)(※)では、2022年末時点の予想中央値が約1.9%と、年内残り6回のFOMCすべてで利上げを示唆しており、短期金融市場が織り込む水準とほぼ同水準になっています。
(※編集部注:「ドットチャート」とは、FOMC(米連邦公開市場委員会)の各メンバーによるFF金利の予想分布のこと。ドットプロットとも呼ぶ)
(出所:FRB)
予想されていたこととはいえ、年内残り6回のFOMCすべてで利上げというのもまれなことですね。ちなみに、昨年(2021年)12月に公表されたドットチャートでは、今年(2022年)の利上げ予想は3回でした。
FOMC後の会見で、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、「米国経済は極めて力強く、金融政策の引き締めに対処する態勢がしっかり整っている」と指摘。
FOMCの根本的な責務は物価安定を取り戻すことだとも述べ、「行動加速が適切となればそうするだろう」とコメントしています。
バランスシート政策については、5月に縮小プロセス開始の準備が整っている可能性もあるとの見解を示しています。
確認すると、0.25%の利上げも、5~6月頃をめどにQT(量的引き締め)を開始するという内容もマーケットのコンセンサス通り。
予想されていたこととはいえ、ハト派のFOMCの発表を受け、米国株は大幅続伸。
マーケットはリスクオンで、米ドル/円は一時119円台まで上昇。リスクアセットの豪ドルは、対円では前回高値を超えて、本稿執筆時点で一時87円台を回復しています。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
米ドル/円は、3月14日(月)に公開した「今月のFX・投資作戦会議」でご紹介させていただいた120円まで残すところあと1円というところまで上昇したことになります。
【参考記事】
●米ドル/円はぴょ~んと117円台へ。なぜ、ここまで上昇した?「大学ファンド」が影響したってホント?(3月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
豪ドル/円も前述のように前回高値を超えて、続伸中。ただ、このリスクオンが一方的に続くのかどうかは疑問が残ります。
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香港ハンセン指数と原油相場下落の影響を消化できるかが、豪ドル続伸のポイントになる
今週(3月17日~)は、米ドル/円や豪ドル/円の反発で、リスクオンのイメージが強いのですが、マーケット参加者が注目しているのが香港ハンセン指数。
3月15日(火)までの香港ハンセン指数は、中国の規制リスクや米国との関係悪化、そしてロシアの動向などといった多数の懸念材料により、3営業日で12%もの下落。3月15日(火)終値は、6年ぶりの低水準にまで落ち込んでいました。
しかし、3月16日(水)の香港ハンセン指数は、一気に9.1%高と急反発。反発の要因は中国政府が金融市場を後押しする方針を発表したことが好感されたとのこと。
(出所:TradingView)
しかし、マーケット参加者の多くは、この香港ハンセン指数の反発が一時的であり、再び反落するのではないかという懸念を持っています。
もちろん、豪ドルに対する香港ハンセン指数の影響は大きくはありませんが、マイナスであることはたしかです。
加えて、急騰していた原油が急反落しており、総じてコモディティ(商品)価格が反落していることも気になるため、今後の豪ドルはこの2点を消化して続伸できるかどうかがポイントになるでしょうか。
ロシアのウクライナ侵攻以降、売られていたユーロに変化の兆し。欧州通貨はじわじわ買い戻されている
そして、マーケットでの注目度はまだ低いのですが、筆者が注目しているのがユーロ/米ドル。
前回のコラムでも取り上げたユーロ/米ドルですが、ロシアとウクライナの停戦交渉がなかなかまとまらないという状況下にあるにも関わらず、今週(3月14日~)のユーロ/米ドルも、1.08ドル台での動きは一時的なものとなり、1.10台を回復しています。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルの1.08ドル台は、絶好の買いチャンスだった。豪ドル/米ドルは0.75ドル付近を上抜ければ、0.80ドルを目指す展開へ(3月10日、西原宏一)
(出所:TradingView)
当コラムで何度かご紹介させていただいたように、2月24日(木)にロシアのウクライナ侵攻以降、ユーロを筆頭に欧州通貨が売られ、そして買われているのが豪ドルを中心としたオセアニア通貨という流れでした。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルの1.08ドル台は、絶好の買いチャンスだった。豪ドル/米ドルは0.75ドル付近を上抜ければ、0.80ドルを目指す展開へ(3月10日、西原宏一)
ただ、直近1週間の流れは変わってきています。以下の表は、本稿執筆時点から過去5営業日における主要通貨の対米ドル騰落率です。
リスクオンなので、スイスフランや円は売られていますが、オセアニア通貨も対米ドルでは値を下げています。そして、欧州通貨がじわじわと買い戻される展開です。これは「ロシアのウクライナ侵攻」以降、一方的にユーロが売り込まれていた流れが変わりつつあるのではないかと考えています。
もちろん、この背景には「ロシアとウクライナの交渉」がまとまり、近日中に停戦に至るのではないかという報道が拡大していることがあげられます。
一方、仮にロシアとウクライナが停戦に至っても、欧州経済の悪化からユーロが買われることはないという意見もあります。
確かに、ロシアのウクライナ侵攻は、安全保障面、そしてエネルギー価格高騰によるインフレは景気を冷やす要因ではあります。
しかし中国だけに依存していないサプライチェーン、そしてエネルギー面での代替補充の可能性などから、負の影響は長く続かないのではないかと考えています。
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ユーロ/米ドルは底固め。ロシアとウクライナの交渉次第で急速に買い戻される可能性もあるか
ここで、ロシアのウクライナ侵攻前の為替相場(ユーロ相場)を振り返ってみます。
ウクライナ侵攻前の欧州経済は、ポストコロナの需要増加から、消費も増え 経済活動がアジアに比べても早いスピードで戻っているため、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和縮小もウワサされ、ユーロ/米ドルは一時1.1500ドル近くまで値を戻していました。
それが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ユーロ/米ドルは1.0806ドルまで急落しました。
今回、ロシアがウクライナに侵攻した事により、NATO(北大西洋条約機構)を始めとした欧州の結束が生まれ、安全保障上プラスに働くことこともあり、実際に停戦が実現すれば、ユーロ/米ドル、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)は急速に買い戻されるのではないでしょうか?
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
ロシアとウクライナによる停戦の可能性も高まり、底固めを完了しつつあるユーロ/米ドルの動向に注目です。
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