米ドル/円の上昇際立つ! ペースが速すぎるのは気になるが、次の目標は120円
ここに来て、米ドル/円の上昇が際立ってきています。
先週のコラムで、米ドル/円はジリジリ上昇するという見通しを示しましたが、上昇のスピードは、私の予想をはるかに上回るものでした。
【参考記事】
●米ドル/円はじり高、ユーロ/米ドルはいずれ1.06ドル台を見る展開へ。ウクライナ情勢の長期化を、市場はかなり織り込んでいる(3月11日、今井雅人)
(出所:TradingView)
116円台半ばを抜けてくると、海外のヘッジファンドなどが一斉に米ドル/円を買ってきたのが、この流れを作った原因となりました。
端的に言えば、一気に上を抜きにいった仕掛けが上手くいったということだと思いますが、それらの背景の1つには、資源価格の高騰が日本の貿易収支や経常収支を悪化させているということもあると思います。
非常に重要な目処として意識されていた2016年12月15日(木)の高値118.66円すらも簡単に上抜けしました。次の目標は120円です。
(出所:TradingView)
正直言って、ペースが速すぎるのが気にはなりますが、各国が金融引き締めを始めている中で、日銀だけが金融引き締めに慎重であることを考えると、円安傾向はこれからも続くと考えるほうが自然かと思います。
年内の毎回米利上げは織り込み済みだが、長期的な米ドル高要因にはなり得る
3月16日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、0.25%の利上げが決定されました。
事前に今回は0.25%の利上げとFRB関係者が発言していましたので、この決定は予定どおりです。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、さらに今年(2022年)の残り6回のFOMCで、毎回利上げをする可能性を示唆しました。
しかし、実は短期金利の先物を見ると、すでにFOMC前から年内のFOMCで毎回利上げをすることを織り込んでいましたので、FRBが市場の動きに追随する形となっており、議長の発言に対してあまり大きな反応は見せませんでした。
そうはいっても、今後徐々に米国の金利は上昇していくことは確実ですので、長期的な米ドル高要因にはなり得ると思います。
日本だけが引き締め方向に転換していないため、円安が引き起こされている
米国のこうした動きに対して、市場の動きは円安です。
それは米ドル/円だけで米ドル高となり、さらにクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも円安が進んでいることを見れば明らかです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 15分足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 15分足)
では、何故、米ドル高ではないのでしょうか?
おそらく、日本以外の先進国は米国と歩調を合わせる形で金融引き締めに転じているため、米国の利上げの影響が少なく、日本だけが引き締め方向に転換していないため、円安が引き起こされているということだと思います。
黒田日銀総裁は、引き締め政策への転換には依然として慎重ですので、全体的な円安は今後も続くと考えています。
ウクライナ情勢に市場は飽きてきたが、ユーロは避けたい。米ドル/円や豪ドル/円の買い方針継続
最後に、ウクライナ情勢です。
予想どおり、泥沼化してきました。相変わらず、出口が見えません。
3月16日(水)からロシア国債の償還期限が到来していますが、デフォルトする可能性は極めて高くなってきています。
しかし、市場はあまり動揺していません。
かなりこの問題に慣れてきたというか、飽きてきているのだと思います。
ただ、ユーロは一時的に影響を受けて、乱高下する可能性はまだあると思いますので、出来れば、この通貨は避けたいところです。
米ドル/円や、豪ドル/円などの買い方向を当面のトレードの基本方針として継続します。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
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