日銀の指値オペ通知で円安加速。円安トレンドのときに物価目標達成が黒田総裁の考えか
先月(2月)はユーロ/豪ドルが為替市場の主役でしたが、米ドル/円が116円を明確に上抜けてからは、米ドル/円が主役となっています。
(出所:TradinView)
3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)は、0.25%の利上げが行われましたが、今後は会合ごとに0.50%幅の利上げを行う可能性があります。米長期金利は上昇トレンドが続き2.55%台まで上昇しています。
【参考記事】
●ユーロ/米ドルは、1.1000ドルをレジスタンスと考えた売りトレードで。ユーロ/豪ドルは、1.36豪ドルが長期的な下値メドか(3月8日、バカラ村)
●米ドル/円は125円、原油は200ドルまで上昇との予想も!? 米ドル/円は118.66円が目先の重要な水準、その辺りで調整起きやすいか(3月15日、バカラ村)
FRB(米連邦準備制度理事会)は金融引締め方向ですが、日銀は金融緩和を継続しています。
昨日(3月28日)も、日銀は指値オペを通知し、3月29日(火)~31日(水)まで連続指値オペも行うことを発表しました。
これを受けて、米ドル/円は一時125.08円まで急騰しました。
(出所:TradinView)
ここまで、米ドル/円の上昇が早かったこともあり、スピード調整を狙った口先介入などの可能性もありましたが、反対に円安が加速するような行動をしていることになります。
黒田総裁としては、この円安トレンドのときに、物価目標を達成したいと考えているのだと思います。
日銀の指値オペ通知は円安を加速させる行動。黒田総裁としては、この円安トレンドのときに、物価目標を達成したいと考えているのではないか (C)Bloomberg/Getty Images
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米ドル/円は「黒田シーリング」に到達後は調整も、トレンド反転はなさそう
相場の世界には「中央銀行には逆らうな」という言葉がありますが、FRBは米ドル高になりやすい政策、日銀は円安になりやすい政策のため、米ドル/円を買うべきで、売り方向は難しいトレードになります。
昨日(3月28日)、米ドル/円は125円まで上昇しましたが、この水準は黒田シーリング(※)でもあるため、到達後は調整した動きをしています。ただ、トレンドが反転するようなことにはならないと思います。
(※編集部注:2015年夏、日銀の量的・質的金融緩和で円安政策が推進された時の米ドル/円のピーク水準のこと。黒田日銀総裁が「実質実効為替レートではこれ以上の円安は想定し難い」と発言したことから「黒田シーリング」と呼ばれている)
(出所:TradinView)
指値オペも3月31日(木)まで行うことが示されていますが、3月31日(木)は日本にとって期末になるため、期末に配慮した可能性があり、そうであれば、この面からも米ドル/円は上がりやすいことになります。
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米ドル/円・クロス円のオシレーター系指標はすべて買われすぎに。米ドル/円はMACDの水準に気をつけたい
下がる材料を探すのであれば、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の日足のオシレーター系指標(「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すテクニカル分析手法)はすべてが買われ過ぎとなっており、この点からは調整による下げが起きる可能性があることになります。
また市場参加者の多くが上目線になっており、この偏った方向も、反落する材料にはなります。
【参考記事】
●米ドル/円は上昇する可能性も、参加者の方向性が揃っている点に注意。テクニカル的に、米ドル/カナダドルがおもしろそう(3月22日、バカラ村)
ただ下がったとしても、日米の中央銀行の政策が180度違うため、大きく崩れるようなことにはならないと思います。
気をつけたいのは、MACDの水準です。
【参考コンテンツ】
●MACDとは? 売買シグナルが早く出現する、移動平均線の進化系!?
現在は1.83付近まで上昇してきており、かなり買われすぎの水準になります。
(出所:TradinView)
この上はトランプラリーやアベノミクスのときにつけた2.44しか残っていない状態です。
これらの歴史的なときと比べて、同程度の材料が出たとはいえないですが、水準からは歴史的な動きともいえるほどのトレンドとなっていることになります。
2008年のリーマンショック後は、MACDの最大の数値が2.44で止まっているため、この水準付近まで上昇するようであれば、米ドル/円の上昇もそこで終わるのではないかと思います。
この数値を超えるようであれば、かなりの大相場ということにもなるため、2.44はさすがに超えないように思います。
目先に関しては、期末に向けて米ドル/円はまだ買いが出てくる可能性がありそうですが、来月(4月)に入れば上昇もいったん止まることも考えられます。今は買い方向でトレードしたとしても、来月(4月)になれば、いったん次の動きを確認した方がいいのではないかと考えています。
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