乗り遅れたヘッジファンド勢の参加で、さらに円安が進む展開も
最近の米ドル/円上昇に驚かれた人も多いと思いますが、実は投資のプロとされるヘッジファンド勢も驚いているところです。実は、彼らは今回の円安にはあまり乗れていません。
【参考記事】
●米ドル/円は、控えめに言っても130円ぐらいまでの上昇がありそう。かつてないほどに、円安に行きやすい環境が整っている!(3月23日、志摩力男)
(出所:TradingView)
IMM(国際通貨先物市場)通貨先物市場のポジションは、このところある程度の円売りポジションになっていますが、それはマーケット全体を正確に反映していません。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
外資系銀行、米系証券といったところから聞こえてくるのは、今回の相場、ヘッジファンド勢はあまり参加していなかったという話です。
そうであるならば、今後はヘッジファンド勢の参加で、より一層、円安が進む可能性があります。
(出所:TradingView)
このところの為替マーケットはあまり動かなくなっていたので、ヘッジファンド勢の興味の対象では無くなっていました。彼らの多くも、やはり米国株がトレードの中心になっていたようです。
しかし、資源価格が上昇したり、米国のインフレ率が1980年台初め以来の高さとなったりしていて、マーケットの状況は、株への投資というより、為替・債券・商品といったマクロトレーディングの収益が高まりそうな感じになってきています。
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ヘッジファンド勢も、日本には円安を止める手段がないことに、そろそろ気づきはじめそう…
海外のヘッジファンド勢は、トレードしたい対象があれば、徹底的に調べます。よって、そろそろ彼らも気づきはじめるでしょう。日本には円安を止める手段がないということに……。
通常、通貨が売られると、その国の中央銀行は金利を上昇させることで、投機的な動きに対応しようとします。しかし、日銀は「指値オペ」で、長期金利が0.25%以上になることを敢然と阻止しました。
【参考記事】
●米ドル/円は買われ過ぎによるスピード調整想定も、そこは買いの好機に!10円前後の大陽線出現は大相場の予兆か(3月30日、志摩力男)
私が、かつてのようにプロップトレーダーとして大手金融機関で働いていたとすれば、米ドル/円のロング(買い)ポジションとJGB(日本国債)ショート(売り)ポジションを同時に持つでしょう。
JGBを売り崩し、利回りが0.25%に達すれば、日銀は「指値オペ」を行い日本の長期金利が0.25%以上に行かないように頑張るでしょう。そうなると、JGBのショートポジションはあまり儲かりません。しかし、そのとき、米ドル/円が上昇するので、米ドル/円ロングポジションで利益が出ます。
しかしいつの日か、米ドル/円があまりにも円安方向に行くと、米ドル/円の上昇を阻止するために日銀が政策変更を行うでしょう。
(出所:TradingView)
おそらく、YCC(イールドカーブ・コントロール)(※)を修正してくるはずです。その時、米ドル/円ロングポジションはあまり儲かりませんが、JGBショートポジションで大きく儲けることができます。
(※編集部注:「イールド・カーブコントロール」とは、長期金利と短期金利の誘導目標を操作して、イールドカーブを適切な水準に維持すること)
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日銀が低金利を維持し続けなければならない「裏の目的」とは?米ドル/円は130円超えたら、いつ介入があってもおかしくない
日銀はなぜ今、金利を上げたくないのか。
それは、日本が各国と違い、経済が弱く、低金利を維持し続けなければならないからですが、裏の目的として、量的緩和政策としてJGBを買うことで、JGBの金利を低く抑え、国が払う国債の利払いをできるだけ少なくするようにしているのです。事実上の、国家債務維持政策です。
米ドル/円の上昇がどこまでいくか、個人的には130円を越えてもっと上昇すると思っていますが、政府や日銀は、金融政策を変えて対抗するのではなく、おそらく、為替介入で円売りを止めようとするでしょう。
【参考コンテンツ】
●米ドル/円の上値メドは130円台へ!アベノミクス開始時からこの円安は約束されていた!?(3月29日、志摩力男)
それがどのレベルかわかりませんが、おそらく130円を超えたら、日銀の介入はいつあってもおかしくありません。その時は、政府当局者の発言のトーンが微妙に違ってきます。
(出所:TradingView)
もし介入すれば、将来はともかく、短期的にはすごく効果的で、米ドル/円相場が5円程度動くこともあるでしょう。これはこれで、絶好の円買いチャンスとなります。
もみ合いが長かった分、これからの為替マーケットはよく動くようになるでしょう。為替トレーディングにもチャンスが回ってきました。
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