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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
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スイスフラン/円の押し目買いと、ニュー
ジーランドドル/円の戻り売りで。日本以外
の主要国は、「逆通貨戦争」へ突入

2022年06月23日(木)17:21公開 [2022年06月23日(木)17:21更新]
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サプライズだったSNBの0.50%利上げ。ヨルダン総裁のコメントはマーケットを驚かせた

 みなさん、こんにちは。

 先週(6月13日~)の注目はFOMC(米連邦公開市場委員会)でしたが、サプライズだったのがSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])理事会。

 利上げされるというのは事前に織り込まれていましたが、利上げ幅はサプライズの0.50%で、政策金利はマイナス0.25%になりました(まだマイナスですが…)。

スイス政策金利

(出所:SNBのデータを参考にメルマガ部作成)

 実質的な利上げは2007年以来、およそ15年ぶり。

 そして、マーケットを驚かせたのがSNBのヨルダン総裁のコメントでした。

 「想定し得る将来において、インフレ安定化のため一段の政策金利引き上げが必要になる可能性を排除しない」

 これは、次回(9月)にも0.50%の追加利上げがあることを示唆しています。

 金利先物市場では、9月、そして12月、さらには来年(2022年)3月にも0.50%利上げすることを織り込みつつあります。

 さらにヨルダン総裁は「現在の状況には為替レート動向を含め多大な不確実性がある」とした上で、「スイスフランが過度に上昇するならば外貨を買う準備があるし、下落する場合は外貨売りも検討する」

これはスイスフラン買い(=外貨売り)する可能性を意味します。

SNBは利上げに踏み切り「逆通貨戦争」に突入。ヨルダン総裁はスイスフラン買いの可能性を示唆

 このヨルダン総裁のコメントで注目されたのが、スイスフラン買い(=外貨売り)する可能性を示唆したこと。

 これまで主要国の「通貨戦争」というのは、自国通貨安に誘導する介入を意味していました。

 特に、スイスフランと日本円というのは避難通貨として、常時通貨高に悩まされ、自国通貨安に誘導する介入を繰り返していました。

 ところが今回のヨルダン総裁は他の主要国同様、利上げに踏み切り「逆通貨戦争」へ突入しました。

 きっかけはインフレです。

 スイスは現在、SNBが輸入インフレから経済を守るスタンスを明確にしています。

 そして、スイスフラン高がインフレ圧力抑制の鍵を握っていると考えており、SNBが利上げ、逆介入(スイスフラン買い)、バランスシートの縮小のいずれかを優先するかがフォーカスされています。

 そして先週(6月13日~)、まず0.50%の利上げを行ったわけです。

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SNBの利上げはサプライズだったが、スイスフランの上昇は突然始まったわけではない

 先週(6月13日~)のSNB理事会に関しては、0.50%はサプライズだったのですが、スイスフランが上昇し始めたのは、先週(6月13日~)突然始まったわけではありません。

 以下のグラフは、過去1カ月の主要通貨の対米ドルの騰落率です。

主要通貨の対米ドル騰落率

(※筆者提供のデータを参考にメルマガ部が作成)

 過去1カ月の主要通貨の騰落率をみると、スイスフラン/円がもっとも上昇している通貨になっています。

 ここで確認できるのが、他の主要国はインフレに対応し、急速に金融緩和を解除する方向に進んでいるにも関わらず、日銀が動かないため、主要通貨に対して急速に円安が進んでいることです。

 SNBのレジームチェンジにより、米ドル/スイスフランは緩やかに0.9000フラン方向へ。ユーロ/スイスフランは0.9800フランへ下落、そしてスイスフラン/円は147円へと上昇する公算が高まっています。

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日本以外の主要国が金融緩和解除に向かう中、株の下落トレンドは変わらず。為替はニュージーランドドルが下落へ

 このように主要国(日本以外)がいっせいに金融緩和解除の方向に進むということは、株の下落トレンドは変わらないことを意味します。

 株の下落に備えるという意味では、為替ではリスクアセット通貨を売るということになります。

 豪ドルはRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])がタカ派スタンスに変更しているので、株安により売られる通貨はニュージーランドドル。

 RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])は早期からインフレに対応することを示しており、年末までに政策金利が4.50%程度まで引き上げられることが金利先物市場では早期から織り込まれています。

 そのため、他の中銀がいきなりタカ派に変貌すると真っ先に売られる通貨となります。

 結果、ニュージーランドドル/スイスフランは下落トレンドが継続すると想定しています。

ニュージーランドドル/スイスフラン 週足
ニュージーランドドル/スイスフラン 週足

(出所:TradingView

 ニュージーランドドル/スイスフランといっても馴染みが薄いでしょうから、ポジションを持つならスイスフラン/円のロング(買い)とニュージーランドドル/円のショート(売り)ということになります。

スイスフラン/円 日足
スイスフラン/円 日足

(出所:TradingView

ニュージーランドドル/円 日足
ニュージーランドドル/円 日足

(出所:TradingView

 インフレを嫌ってSNBが通貨高誘導へ移行するのを横目に、日銀は金融緩和継続の方針でスイスフラン/円は続伸。

 主要国がいっせいに金融緩和を解除する中、株が続落しニュージーランドドルは下落へ。

 レジームチェンジしたSNBの動向が鍵となり、スイスフラン/円の押し目買い、ニュージーランドドル/円の戻り売りで臨むのが良さそうです。


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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
西原宏一 (にしはら・こういち)

青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。現在はCKキャピタル代表取締役・CEO。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。近著に『30年勝ち続けたプロが教える シンプルFX』(扶桑社)がある。

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