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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円の8月2日の切り返しで、米ドルの
調整が完了したとの思惑が強くなると危険。
米ドル高一服の可能性に警戒したい理由は?

2022年08月05日(金)17:02公開 (2022年08月05日(金)17:02更新)
陳満咲杜

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台湾有事は相場の重要な検証材料

台湾有事がもたらした緊張感の中、日経平均は2万8000円の大台乗せに成功した。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

 相場は“理外の理”なので、別にサプライズではない。そして、いわゆる「有事の米ドル高」もあまり見られておらず、相場の構造を物語っている。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 言ってみれば、台湾有事でも株が上がるなら、地合いが強く上がる構造にあったということだ。そして、台湾有事でも米ドル全体が弱含むなら、頭が重い構造というほかあるまい。台湾有事は重要な検証材料である。

 さらに、中国のミサイルが飛んでくるぐらいは普通に想定できたことで、今さらサプライズ云々と言う人がいれば、頭が悪すぎるだろう。

 ゆえに、現時点の市況からみて、市場参加者の大半が頭の良い人なので、誰も動揺せず、淡々と相場の構造に沿って取引していることがわかる。

今回の台湾有事は中国の威嚇行動にすぎない

 ところで、中国のミサイルが事実上日本の排他的経済水域(EEZ)を狙って落下したことに驚く日本人が、少なくない気がする。平和ボケというか、台湾有事の本質をまったくわかっていない証拠である。

「台湾有事は日本有事」という故安倍元首相の言葉のとおり、日本は当事者なので、他人事と割り切れると思っているなら、勘違いとしか言いようがない。

 そもそも、今回の台湾有事は本物ではなく、中国がメンツを保つための威嚇行動にすぎない

 というのも、人民解放軍幹部が公言していたように、本格的な台湾有事の場合は、まず在日・在韓米軍基地への攻撃から始まる公算が極めて大きいからだ。日米同盟がある以上、日本は巻き込まれる宿命にある。

 しかし驚くことに、それでも日本が米中軋轢の中、漁夫の利を得られるといった主張が幅を利かせている。

 思想の左右を問わず、こういった考えは実に危険である。反米主義者の主張のように、日米同盟を解消して中国と組むのも選択肢の1つだと思うが、今度は米軍に攻撃されても文句を言えない。漁夫の利など、幻想かつ戯言である。

 要するに、今回は威嚇行動にすぎないから、相場参加者の大半は冷静である。前述のように、地政学リスクの浮上があっても株が買われ、米ドル全体が買われていないなら、株の切り返し継続や、米ドル全体の頭が重くなってまた反落することを想定しておきたい。相場のことは相場に聞くしかない。

日経平均2万8000円の突破は、相場の構造上の強さを示唆
米ドルの切り返しは、単なる「売られすぎ」の反動か

日経平均は2万8000円の「壁」を突破し、構造上の強さを示唆。2022年の年初以来、一貫して米ドルより堅調な地合いを示してきた分、切り返しの段階でもリードの役割を発揮できるだろう。

日経平均 1時間足
日経平均 1時間足チャート

(出所:TradingView

 次は、4月、6月高値の2万8400円前後を狙えるのではないかとみる。

 米ドル/円に関しては、8月2日(火)の切り返しが一番目を引く。台湾有事で米ドルが買われたといった解釈もあるが、本当のところは単純に「売られすぎ」だったのではないかと思う。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 筆者がツイッターで、当日、まだ底打ちを果たしていなかった時点で指摘したように、米ドル/円の日足におけるRSIが非常に安値に突っ込んでいたから、いったん買い戻しが先行されたのは、むしろ自然な成り行きであった。

米ドル/円の調整は、想定より長引くのではないか

 RSIなどの、オシレーター系のサインは実に奥深い。前述のRSIの「売られすぎ」がいったんあったからこそ、短期スパンにおける修正が見られたが、このようなサインが確認されたからこそ、米ドル/円のブル(上昇)トレンドに何らかの「異変」が生じていることも暗示される。

 それは、トレンドの転換とまでは言わないが、調整波自体が一般の市場参加者の想定より長引くことを示唆していると思う。

 要するに、筆者が一貫して指摘してきたように、米ドル高・円安は本物かつ本流であり、これからも継続されていくのだが、米ドル/円の139円台の打診自体が行きすぎであったため、調整波の先行が見られたわけだ。

 そして、その調整波の終焉は、巷が言うほど短くない可能性があり、目先はそれを強調しておきたい。

 言葉は悪いが、一般の市場参加者の多くは往々にして単純で短気である。以前は米ドル高・円安の途中で安易な頭打ちを想定し、また逆張りしてきた個人投資家が多かった分、米ドル/円の138~139円台で一転して、米ドルのロングポジションを持ち始めたわけだ。

 個人投資家の行動パターンから、往々にしてこのような矛盾や葛藤が読み取れるから、今回も然りだと思う。

 換言すれば、8月2日(火)の米ドル/円の切り返しがあったからこそ、米ドルの調整が完了したのではという思惑が強くなる。

 しかし相場の真実とは、そう思う一般の個人投資家が多ければ多いほど、米ドル/円の調整が逆に大型化して延長されやすい。

 有事の米ドル高といったロジックが、現時点においてはどちらかというとポジショントークのネタになりやすく、またセンセイたちに語られ、巷に浸透しやすい目下だからこそ、流されないように注意を払いたい。

 ちなみについ最近、日経平均レバレッジの信用倍率が1.1倍あたりへ低下し、2021年2月以来の低い水準を記録したばかりだった。だからこそ、日経平均は上放れしやすかった。

 したがって、まだまだ米ドル高が続き、米ドル高の可能性がもてはやされている今だからこそ、我々は米ドル高の一服、また調整する可能性に注意しておきたい。市況はいかに。

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