米国GDPが2期連続マイナスでリセッション入り。今後の利上げは「データ次第」に
7月27日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、FF金利(※)を0.75%引き上げました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
これは市場予想通りの内容となりました。
注目されたパウエルFRB議長の会見ですが、今後の利上げに関しては「データ次第」としたことから、過度な利上げ期待が後退し、さらに「利上げペースを落とすのが適切になる可能性が高い」との発言もあり、米ドル安となりました。
7月27日に開催されたFOMC後の会見でパウエル議長は、今後の利上げに関して「データ次第」と発言した (C)Bloomberg/GettyImages
翌日(7月28日)には、米国のGDPの発表がありましたが、前期比年率でマイナス0.9%となり、前回もマイナス1.6%だったため、米国はリセッション(景気後退)入りとなります。
これを受けて為替市場では米ドル安となり、米ドル/円も昨日(8月1日)に131.60円まで下がりました。
(出所:TradingView)
9月のFOMCでは、現在の利上げ予想は0.50%もしくは0.75%となっており、パウエル議長はデータ次第としているため、次回会合までに発表される経済指標の内容で米ドルはそれらに振らされる動きが続きそうです。
今週は米雇用統計とOPECプラスに注目。原油増産ならインフレも緩和へ
今週(8月1日~)の注目イベントとしては、5日(金)の米雇用統計、そして3日(水)のOPEC(石油輸出国機構)プラスが重要です。
OPECプラスでは原油の増産期待も高く、原油価格が下がるようであれば、インフレも緩和されることになります。
(出所:TradingView)
米雇用統計では、前述したとおりパウエル議長が「データ次第」としていることもあり、平均時給が上昇しているようであれば、まだインフレが続くことから米ドル/円は上昇することになります。
(出所:TradingView)
そして米国の景気の強さを確認するため、雇用者数も見る必要があります。
リセッション入りとなっていますが、バイデン大統領やイエレン財務長官などはリセッションを否定していることもあって、要人の発言通り米国の景気が本当に強いのか注目されるところです。
ここで弱い数字が出るようであれば、リセッションを確認した状態となり、米ドル安になりますが、反対に強い数字であれば実質的にリセッションになっているとも言えず、米ドル高に推移するのではないかと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足)
ユーロ圏に関しては、年後半までリセッションが続くとの予想もあり、通貨ユーロに関しては上値が重い状態が続くのではないかと思います。
(出所:TradingView)
米ドル/円は131.30円水準では買いが入る可能性。ただ、買ったとしてもしっかり利食いを入れるトレードを
米ドル/円は131.60円まで下がりましたが、これは、海外勢がポジションの手仕舞いをしており、さらに日本の個人投資家のストップロスの売りも巻き込んだことで下げが大きくなっているようです。
そのため、市場のポジションで買い(米ドル買い・円売り)の偏りがなくなれば、下げ止まるように思います。
市場にストップロスが溜まりやすいところとしては、131.50円割れではないかと思います。
この水準は135円到達後の押し目の水準となり、その翌日(2022年6月16日)は日銀金融政策決定会合での金融緩和継続で反発しましたが、その割れたところはストップロスが置かれやすいように思います。
5月9日(月)の高値131.35円や、5月24日(火)安値と7月14日(木)高値の上昇幅の61.8%戻しも131.30円付近にあり、その水準はサポートラインになりやすいです。
そのため、131.50円を割れたとしても131円台前半では買いが出てくる可能性がありそうです。
(出所:TradingView)
ただ週足チャートは上昇トレンドに戻るには時間がかかる形になっており、131円が底になると考えるのはまだ早いと思うため、買ったとしても、しっかり利食いを入れる必要があるような、そんなトレードがいいのではないかと思います。
(出所:TradingView)
市場予想には、米ドル/円は140円や150円などがありますが、週足チャートを見ると、しばらくその水準に到達するのは難しいのではないかと思います。
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