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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は、調整の下落が続いている間は
安易な押し目買いを控えるべき。夏枯れの
中、円が買われる展開も警戒しておきたい

2022年07月29日(金)17:53公開 (2022年07月29日(金)17:53更新)
陳満咲杜

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米FOMC通過後の米ドル全体の反落は、自然の成り行き

 米7月利上げは、マーケットの想定どおりの0.75%となり、FRB(米連邦準備制度理事会)議長も来年(2023年)以降の利上げ見通しを明示しなかったから、米長期金利の低下がもたらされた

 繰り返し指摘してきたように、マーケットは米大幅利上げの継続を織り込んできた分、1%利上げ説もあったように、行きすぎた側面を否定できない。米ドル買いは、米長期金利の動向を無視する形で進行されてきたから、買われすぎであったことも明らかだった。

 したがって、FOMC(米連邦公開市場委員会)通過後に米ドル全体が反落し、対円の反落幅を拡大していくのも自然の成り行きであった。

 さらに、昨日(7月29日)、米第2四半期GDPのマイナス成長がリリースされ、いわゆる「テクニカル・リセッション」が報じられると、米長期金利(10年国債利回り)の一段の低下につながった。

 金利差(長期金利差の拡大の見通し)で説明される、米ドル買い・円売りの可能性が、目先、いったん崩れたわけで、米ドルロング筋の利益確定が急がれたのも、わかりやすい動きであった。

 もっとも、米ドルのロング筋が今更、利益確定したり、損失確定したりするのは、どちらかというと鈍感な方だ。

 米ドルがいったん頭打ち、また反落してくる可能性について、本コラムは7月15日(金)から指摘してきた。

【参考記事】
米ドル高の連鎖が続くが、今は米ドルの高値を追わない方が良い! なぜ、米ドル高をあおる面々が、率先して買わないのか?(2022年7月15日、陳満咲杜)

 ロジック的には、それなりの説明がついていたはずなので、決して風見鶏や後付け的な見方ではないことを記しておく。

米ドル/円の調整はしばらく続きそう、逆張りの押し目買いはNG

 「夏枯れ相場」に入っていくわけで、これから流動性や変動率が制限されるかもしれない。しかし、米ドル全体の買われすぎが確認された以上、しばらく調整波の進行や継続を有力視する。米ドル/円の調整もしばらく続くから、逆張りの押し目買いは避けたほうがいいだろう。

 もっとも、米ドル全体の反落が続いているが、どちらかというと緩やかな基調を保っている。この場合、米ドル/円の反落が鮮明になれば、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の方がより反落しやすい環境にあるから、クロス円の反落幅の拡大を覚悟しておきたい。

 実際、昨日(7月28日)、すでにその兆しが見えてきた。ユーロ/円や英ポンド/円は下落幅を拡大し、従来のロング筋(円売り筋)の逃げ足は速い。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足チャート

 

(リアルタイムチャートはこちら→ FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

 円の調整といえば、これまで売られた円の買い戻しを意味する。円の先安観が強かっただけに、短期スパンにおける買い戻しのニーズも強いわけだから、まだまだ続くと思う。

 一番単純な見方として、米ドル/円の、2022年3月安値から引かれたサポートラインの割り込みが、もっともシンプルでわかりやすいシグナルであろう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

 調整波の進行や米ドルの反落が続いている間は、安易な押し目買いを避けた方がよさそうだ。

 また、ごく単純な見方となるが、繰り返し提示してきたとおり、米ドル/円の日足における「上昇ウェッジ」(1)の下放れが確認されたわけで、底打ちのサインなしでは反落の早期終焉を判定しないほうが無難だ。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン

 さらに、RSIなどのオシレーター系指標が、弱気ダイバージェンスのサイン(2)を完成していたところも整合性をもち、反落波自体が本物であることを証左しているから、性急な円売りを仕掛けにくい。

ユーロ/円の反落余地は、しばらく拡大か

 ユーロ/円におけるプライスアクションのシグナルも、鮮明であったといえる。次のチャートに示したように、6月16日(木)のローソク足(1)がもっとも大事であった。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン

 同日は「スパイクロー」のサインを灯し、いったん重要なサポートゾーンを示したが、その後、再度頭打ち(2)で、日足における「ダブル・トップ」、あるいは「トリプル・トップ」の可能性を示唆した。

 7月初頭に、いったん6月16日(木)安値の割り込みがあったが、そのまま下放れせず、本来、安値更新自体が「ダマシ」の可能性も含んでいた。

 本当に「ダマシ」のサインであれば、このまま切り返して再度、高値更新を図るはずだが、7月21日(木)ECB会合後の大幅反落(3)で弱気リバーサル&アウトサイドのサインを点灯し、ユーロは頭打ちとなった。

 ゆえに、昨日(7月28日)の大幅続落や安値再更新は、7月21日(木)のローソク足を踏襲する形と理解すれば、むしろ当然の成り行きで、まったくサプライスではなかった。

 そのうえ、前述の「ダブル・トップ」か、「トリプル・トップ」のフォーメーションが再度、証左されたわけで、しばらくユーロ/円の反落余地が拡大すると思う。

 いずれにせよ、7月FOMC通過後、円の買い戻しが優勢になってきた。夏枯れ相場でも、円の上昇を警戒しておいた方がいいだろう。市況はいかに。

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