ドルインデックスは110の大台に迫る
米大幅利上げ観測が高まり、米2年物国債や10年物国債の利回りも、つれ高となってきた。
当然のように、米ドル高が再開され、ドルインデックスは110の大台に乗せる勢いを示している。
(出所:TradingView)
今晩(9月2日)の米雇用統計次第で、一波乱あると想定しやすいが、米ドルの押し目があれば積極的に拾いたい市場参加者が多いだろう。
逆張りが得意なミセス・ワタナベさんたちは、米ドルのショートポジションに傾くようになってきた模様だが、最近、相場は機敏に動く傾向が強く、昨日(9月1日)の米ドル/円の高値再更新を受けて、再度、米ドルの押し目を狙う展開になっても全然サプライズではない。
米ドルを買わない理由が見つからないといったセンチメントが、目下、強い。結果的にそれが正しい可能性はもちろん否定できないものの、今さらという感じが強いことも確かである。
相場は常に先に進み、またあらゆる材料を織り込んできた、という相場の真実から考えて、今だからこそ冷静に対応したい。
米ドルの高値追いは、少なくとも目先は避けたい
言ってみれば、米長短金利はすでに米9月大幅利上げを織り込んでいる公算が高い。米ドル高が慣性的に進む可能性が大きいものの、1%利上げのようなサプライズがない限り、どこかで織り込み済といった反応が出てくることが普通に想定できる。米ドルの高値追いは、少なくとも目先は避けたいと思う。
米ドル/円の上値ターゲットは、1998年7月高値の147.68円が意識される。仮に、2022年内に達成できれば、それこそ誰も想定できなかった円の急落となり、米大幅利上げ以外の何らかの材料が必要ではないかと思う。
(出所:TradingView)
なにしろ、2022年年初来、円は対米ドルですでに22%に近い下落率を達成し、2021年から計算すると、36%超の下落率を超えている。途中、調整らしい調整がほぼなかったことからして、やはり異常である。
日本は、発展途上国ではない上に、金融危機が発生したわけでもない。さらに、第2四半期において日本全産業が史上最高(1954年統計以来)の経常利益を稼いている。要は、日本のファンダメンタルズは極めて良好なので、日米金利差のみで、ここまで円が売られたのは、やはり正常ではない。
今晩の米雇用統計は通常より重要!
米ドル全体が買われ過ぎかどうかを問う試金石に
もっとも、筆者は十数年前から米ドルに強気のスタンスを維持しており、今も変わらない。米ドル/円は147円どころか、長期スパンにおいて、早晩150~170円といった上値を達成するだろうと、ずっと思ってきた。
しかし、途中の調整もない、一本調子の円売りは、当然、考えておらず、目先では、調整なしで直接140円の大台乗せを果たしたこと自体に違和感を抱く。
言ってみれば、これから直接147円の大台をトライすること自体、シナリオとして排除できなくなってきたが、素直に高値を追っていけるかどうかはまた別問題。仮に筆者の疑惑が何らかの予感として当たる可能性があれば、早ければ今晩(9月2日)の雇用統計から相場の様子が違ってくる可能性もある。
米雇用統計に関しては、いつも指摘しているように、誰も事前に予測できず、またそういった予測のすべてが参考にならないものである。
しかし、仮にドルの買われ過ぎがあれば、中身がどうであれ、市場は反応してくれるだろう。言ってみれば、今晩(9月2日)の米雇用統計は、通常より、さらに重要度が増しており、米ドル全体が買われ過ぎかどうかを問う試金石であるから、緊張感をもってフォローしたい。
米ドル/円チャートにはRSIの弱気ダイバージェンスのサインが
相場のことは相場に聞くから、目先の市況をもう1回、点検しておきたい。
米ドル/円は従来のサポートラインの延長線をトライしており、ブレイクしていくかどうかは定かではないが、RSIの弱気ダイバージェンスのサインがなお維持され、また煮詰まりつつある状況を示す。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
今晩(9月2日)の雇用統計後の値動きが、一層重要になってくるが、昨日(9月1日)の高値再更新を受けて、同サインがむしろ強化されていることを記しておきたい。
ユーロが意外と強いことに留意、安値を割り込んでいないことは
何らかの暗示?
ユーロは、米ドルの対極である。本来、米ドル全面高があれば、ユーロ安が必ずと言っていいほど進行するはずだが、先週(8月22日~)からユーロが「意外」と強いことに留意したい。確かに、昨日(9月1日)は大きく反落してきたが、執筆中の現時点まで先週(8月22日~)の安値を更新していないことが気になるポイントだ。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
なにしろ、先週(8月22日~)に続き、昨日(9月1日)もドルインデックスが高値を再更新していたから、本来、ユーロの安値更新も当然であった。さらに、先週(8月22日~)のユーロ/米ドルの安値更新(1)が、先週金曜(8月26日)(2)ではなかったことにも留意が必要だ。
先週金曜(8月26日)といえば、「ジャクソンホール・ショック」と言われるほどFRB(米連邦公開市場委員会)議長さんの話が効き、米ドル全面高を促した。
しかし、ユーロはその後、安値を割らず、目先まで安値を割り込んでいないことは、何らかの暗示と受け止めてもよいかと思う。その真相はまた来週(9月5日~)、いっしょに探ってみたい。市況はいかに。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)