YouTube動画「週刊!志摩力男」では、志摩さんがその日のコラムの内容からより注目しているテーマをピックアップし動画で解説します。動画を視聴して、もっと知りたい!と思った人は、続けてコラムをご覧ください。
「円安のメリット」って、いったい何なのか?
最近、「円安メリット」という言葉を頻繁に聞きますが、嫌いな言葉のひとつです。
円安メリットを活かして、インバウンド需要を伸ばそう!とか、そういうレトリックで使われ、いかにも良いことに聞こえます。
しかし、メリットがあるのは日本に来る外国人観光客であって、我々日本人に良いことはまったくありません。
日本は資源輸入国です。いくら内需が弱いとはいっても、大量の資源・食料品を輸入するので、円安が続けばそのうちインフレになります。今後、CPI(消費者物価指数)は3%を超えてくるでしょうし、状況次第でもっと高くなるでしょう。
物価上昇は、消費増税と同じです。消費税引き上げに反対する人達が、日銀の超金融緩和政策を支持し、「円安は全然大丈夫」などと言っているのを見ると、頭の中は大丈夫かと心配になります。
写真はYCC(イールド・カーブコントロール)を発表した際の黒田総裁の会見。消費税引き上げに反対する人達が、日銀の超金融緩和政策を支持し、「円安は全然大丈夫」などと言っているのを見ると、頭の中は大丈夫かと心配になる… (C)Bloomberg/Getty Images
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インフレは国民の敵。ブレイナードFRB副議長は講演で過度な金融引き締めの副作用についても言及
先日、ブレイナードFRB副議長が講演を行いましたが、「インフレはすべての米国人に負担を強いている」という言い回しを使っていました。インフレは国民の敵なのです。
さて、そのブレイナード氏の講演ですが、内容のほとんどが、いかにインフレ率の上昇を抑えるかという点に関して割かれていましたが、過度な金融引き締めの副作用についても言及していました。
世界中の中央銀行が、大幅な金融引き締めを同時に行っているので、その引き締めの複合的効果はそれぞれを合計したものよりも大きいと言っています。
そのため、「金利や為替の予期せぬ動きや、対外不均衡の悪化が国境を超えて影響を及ぼし、(中略)予想困難なリスク事象が増幅される可能性がある」と述べました。
ブレイナードFRB副議長の講演は内容のほとんどがインフレ率の上昇を抑えるかという点だったが、過度の金融引き締めの副作用についても言及した (C)Bloomberg
こうしたリスクが拡大して、FRB(米連邦準備制度理事会)の引き締めにストップをかけるのではないか、との観測は強まっています。特に株式市場関係者は“FED PIVOT”(FRBの政策転換)はいつかと心待ちしています。
結論から言えば、米国のインフレが抑えられなければ、“PIVOT”は訪れないでしょう。しかし、予想外のリスク事象というのはすでに起こっています。
BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])がギルト債(英国債)マーケットを買い支えしなければならなかったのは、そうした、ある意味予想外のことだったのでしょう。
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日銀は債券の買い支えを6年間毎日やっている。低すぎる金利が動く時、それがリスクになる
米ドル/円の急騰も、もしかしたらそのひとつかもしれません。
米国が政府・日銀による為替介入を認めたのは、日本から起こるシステミックリスクを未然に抑えたかったからでしょう。システミックリスクが起こると、インフレのために引き締めを続行しなければならないにも関わらず、引き締めをストップせざるを得なくなります。
本邦の通貨当局は9月22日(木)に最初の為替介入を行いました。介入額はわずか2.8兆円、過去最大の円買い介入と発表されていますが、しょぼい介入でした。
2011年10月31日に介入した時は、円売り介入でしたが、約9兆円と発表されています。私としては、介入するなら、10兆円に近い数字になると思っていたので、2.8兆円は少ないなと感じました。
ただ、これですべての介入が終わった訳では無いでしょう。また、いつか出てくると思います。現在、146円台後半で米ドル/円相場が推移していますが、本日(10月13日)、米CPIの発表があるので、出るとしてもそのイベントのあとではないでしょうか。
(出所:TradingView)
英国の債券買い支えが注目されています。10月14日(金)で本当に終わるのか、もしくは延長されるのか。
ただ、日銀はその買い支えを6年間毎日やっています。低すぎる金利が動く時、それがリスクです。
最大のシステミックリスクは日本にあると思います。YCC(イールド・カーブコントロール)がすぐに変更されることはないでしょうが、注意して見ていきたいと思います。
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