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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

今週は、主要国の金融政策会合が目白押し! 注目は
スイス! 日銀に政策変更がなければ、米ドル/円は
23日の日本の祝日に円売りを仕掛けられる可能性も!?

2022年09月21日(水)12:41公開 (2022年09月21日(水)12:41更新)
志摩力男

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YouTube動画「週刊!志摩力男」では、志摩さんがその日のコラムの内容からより注目しているテーマをピックアップし動画で解説します。動画を視聴して、もっと知りたい!と思った人は、続けてコラムをご覧ください。

週刊!志摩力男

今週は中央銀行の金融政策会合が目白押し。FOMCでは0.75%利上げが予想されている

 今週(9月19日~)は、主要国の金融政策会合が多数予定されています。21日(水)にはFOMC(米連邦公開市場委員会)があり、そして22日(木)には日銀、BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])、さらにSNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])の金融政策発表があります。

 主要国以外の国も入れると、スウェーデン(20日、1.00%と予想以上の利上げを決定)、ブラジル(21日)、トルコ(22日)、ノルウェー(22日)もあります。

 FOMCでは0.75%の利上げが予想されていて、おそらくこの通りになるでしょう。FRB(米連邦準備制度理事会)のメッセンジャー、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)のニック・ティミラオス氏が「0.75%利上げが予想される」という記事を書いているので、そうなのだと思います。

Fed’s Third Straight 0.75-Point Interest-Rate Rise Is Anticipated

出所:WSJ

 そうなると次の焦点はSEP(Summary of Economic Projections、FOMC参加者の経済見通し)のドット・チャート(ドット・プロット)がどうなるか。

 6月示されたSEPでは、2022年末が3.25%、2023年末が3.75%、2024年末が3.25%、そしてロンガーラン(Longer Run)が2.4%でした。今回はおそらく、2022年末4.00~4.25%、2023年末4.5%、2024年末4.25%辺りへと上方修正されそうです。

 問題はロンガーランのレート。これは長期的なFF金利(※)の収束点のことですが、中立金利とほぼ同じと考えられており、これが上方シフトすると影響は大きいと思います。前回は2.4%でしたが、2.75%もしくは3.0%となると、米長期金利は急騰することになり、同時に米ドルも買われることになるでしょう。

(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)

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日銀は若干の金融政策変更はあるか。なければ、米ドル/円の買い余力はかなりある

 日銀に関しては、海外勢と日本勢に大きな温度差があります。最近、日銀はレートチェックをしました。その前には岸田首相と黒田総裁の会談がありました。鈴木財務相や町田財務官による「口先介入」もヒートアップしています。よって、日銀の若干の政策変更も含めて、介入が近いうちにあるのではないかと身構えています。

【参考記事】
日銀はどこまで日本人を貧乏にすれば気が済むのか?この10年で、日本経済はマイナス40%の成長!? 政治的に金融緩和政策は限界、円安で日本は難問に直面(9月15日、志摩力男)

 それは、オプションマーケットを見ればわかります。短期日の「リスクリバーサル(=米ドルプット(米ドル売り)・円コール(円買い)オプションと米ドルコール(米ドル買い)・円プット(円売り)オプションを同額売り買いし、プレミアムの支払いをゼロにすること)」において、かなり円コールサイドが高くなっているからです。米ドルプット・円コールオプションを買って、ポートフォリオのヘッジを進めたのでしょう。

(※編集部注:「リスクリバーサル」とは、通貨オプションなどで用いられるオプション戦略のひとつで、条件(満期日・想定元本・デルタ)が同じコールとプットを反対売買する取引のこと)

 逆に言えば、もし日銀の金融政策変更がなければ、米ドル/円の買い余力はかなりあるとも言えます。日銀金融政策決定会合の翌日(23日)が日本の祝日なので、狙われやすい(大規模介入がおそらくないので、円売りを仕掛けやすい)かもしれません。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

英国ではトラス新首相が1500億ポンドの経済政策導入計画を発表。英ポンドは短期的に売り、長期的には買い材料と解釈できるか

 BOEに関しては、0.50%利上げし、2.25%となることが予想されています。0.75%でも良さそうですが、トラス新首相が新しい経済政策を導入する計画を発表していて、これにより上昇を続ける光熱費に上限キャップが設定されます。このインパクトは大きく、光熱費が上昇しないのであれば、英国のインフレ率も抑えられるので、急激な利上げは必要ないことになります。

 ただ、この措置で1500億ポンド(1英ポンド=164円換算で約24.6兆円)の財政支出がなされると想定されています。これは巨額です。財政拡大が気になるというのであれば、英ポンドは売りとなります。

 ただ、この措置で景気は確実に下支えされます。純粋に25兆円の経済対策がなされたようなものなので、その分、英国の成長率も高まります。短期的には英ポンド売り材料、長期的には英ポンド買い材料と解釈も可能というところでしょうか。

英ポンド/米ドル 週足
英ポンド/米ドル 週足

(出所:TradingView

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もっとも注目しているSNBも利上げへ。1.25%利上げになったら、スイスフランは一方的に上昇する可能性もある

 個人的にもっとも注目しているのはSNBです。市場予想では0.75%利上げし、マイナス0.25%の政策金利が0.50%になると予想されています。おそらく、この0.75%利上げでもスイスフランは買われることになるかなと思われます。

 欧州と同じ金利差を保てば、経常収支が大きく黒字であるスイスフランには自然と資金が入ってくるので、微妙にスイスフラン高となるでしょう。

ユーロ/スイスフラン 日足
ユーロ/スイスフラン 日足

(出所:TradingView

 SNBは、実は、世界で一番働かない中央銀行です。政策会合は、多くの中銀が8回あるのに、年に4回しかありません。よって、ECBと同じペースで利上げしたとしても、金融政策決定会合の間の期間が3カ月と長いので、取り残される可能性があります。

 具体的に言うと、ECB(欧州中央銀行)は今後10月27日(木)、12月15日(木)と2回ありますが、SNBは9月の会合の後は12月15日(木)しかありません。

 ECBが0.50%、そして0.75%と利上げし、次の10月には再び0.75%の利上げをしてくると想定されています。

 その意味では、SNBは今回1.00%の利上げもあるかもしれません。可能性として会合2回分として、1.25%利上げもあるかもしれません。

 もし、1.25%利上げとなったら、スイスフランは一方的に上昇する可能性があります。

私は、今回のスイスフラン上昇は、対ユーロで0.9000スイスフラン前後まで進む可能性があると思います。

ユーロ/スイスフラン 週足
ユーロ/スイスフラン 週足

(出所:TradingView


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