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もし高市早苗氏が日本初の女性首相になったら、英国のトラス新首相と同じような政策を採るのではないか
もし高市早苗氏が日本初の女性首相になったとしたら…。
おそらく、英国のトラス新首相と同じような政策を採るのではないかと思います。
高市早苗氏はインフレ率2%達成までプライマリーバランス黒字化目標を凍結すると訴えて2021年の自民党総裁選に出馬しました。
そして自民党政調会長に就任後、財務省の矢野康治次官が与野党の経済政策を「バラマキ合戦」と批判した時、「大変失礼」と非難し、「基礎的な財政収支にこだわって本当に困っている方を助けない。未来を担う子供たちに投資しない。これほどばかげた話はない」と言いました。かなりの積極財政派です。
高市氏が首相となれば超円安になるはず、と私は考えました。政策を支持できる訳ではないですが、高市総裁誕生で、米ドル/円は上に吹っ飛ぶ。そう、期待して見ていました。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円も株価もぶっ飛ぶ!? 自民党総裁選、高市早苗氏の政策はアベノミクスのバージョンアップ。恒大集団問題、影響は限定的か?(2021年9月22日、志摩力男)
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評判の悪い「トラスノミクス」。英ポンドは暴落後に急反発する荒い値動きに
一方、先日就任した英国のトラス首相の経済政策「トラスノミクス」、これはかなりの財政支出を伴います。
(1)家計の光熱費を2年間2500ポンドに固定化
(2)企業向けの光熱費も同程度の光熱費凍結策
(3)予定されていた国民保険料の引き上げ、法人税の引き上げを中止
(4)15万ポンドを超える所得に対する所得税を45%から40%に⇒撤回
(5)所得税の基礎税率1%引き下げ
(6)不動産購入時の印紙税課税の基準値を25万ポンドに引き上げ
この政策があまりにも評判が悪く、(4)の高額所得者への減税は、結局撤回させられました。それでも、今年(2022年)の財政赤字は、当初予想のマイナス3.9%からマイナス10%近いものになりそうです。
しかし、今年(2022年)の冬の光熱費いくらになるのか、心配で眠れない家庭も多かったでしょう。凍結されなければ、家計収入の3分の1から2分の1を光熱費の支払いに充てざるを得ない人達がいました。さぞ安堵されたことと思います。
このように、トラス政権の政策はかなりの支出を伴います。高市氏が政権をとった場合、こんな感じになるんだろうと想像させられました。実際、この政策をトラス首相が発表した瞬間から、英ポンドは暴落を開始しました。
一時的に、英ポンド/米ドルは1.0327ドルまで下落しました。
ただ、その後の反発も凄まじく、1.15ドル近辺まで戻したときには、ただただ驚きました。しかし、個人的な考えとなりますが、英ポンドは攻めやすい通貨で、いったん売りの世界に入ると、相当売られてしまう傾向があります。
(出所:TradingView)
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なぜ英ポンドは攻めやすい通貨なのか?英ポンド/米ドルは1.0530ドル下抜けなら下げが加速するか
なぜ英ポンドは攻めやすいか?
それは、英国がほとんど外貨準備を持っていないからです。そして、今年(2022年)はインフレ抑制が各国の目標ですが、おそらく英国だけはインフレを克服しきれず、比較的高いインフレ率が続くのではないかと思います。そうなると、高いインフレの分だけ、その国の通貨は売られることになります。
個人的には、再度1985年の安値1.0530ドル辺りを抜けて下がったら、また下げが加速すると考えています。
(出所:TradingView)
依然パリティ(1.00ドル)割れが目標ですが、一部のトレーダーは0.90ドルというすごいところまで狙っているようです。仮に米ドル/円が150円だとしても、英ポンド/米ドルが0.90ドルまで下がるとなれば、英ポンド/円は135円(米ドル/円150円×英ポンド米ドル0.90ドル=135円)です。
トラス首相には、妥協せず、今のままの政策を貫いて欲しいなと思います。その時、英国で何が起こるかを見ると、今後、財政積極派が日本の首相になったときにどうなるのか、よくわかると思います。
この、ある種の社会実験、注意して見ていきたいですね。
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