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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

日本国債の暴落と円安が同時に走る最悪のシナリオは、
大いにありえる! 物価が日銀のインフレ目標を優に
超えるのに、0.25%の国債を買いたい人などいない!

2022年10月20日(木)10:49公開 (2022年10月20日(木)10:49更新)
志摩力男

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週刊!志摩力男

英トラス政権は減税案をほぼすべて撤回という驚きの展開。英国は正しい方向に進んだか

 英トラス政権は減税案のほぼすべてを撤回するという驚くべき展開を見せ、暴落していた英国債(ギルト債)は回復し、売り込まれた英ポンド/米ドルも戻しました。

英ポンド/米ドル 日足
英ポンド/米ドル 日足

(出所:TradingView

 クワーティング財務相は解任され、新財務相としてジェレミー・ハント氏が指名されました。

 筆者としては、英ポンド売りで儲けたいと思っていたのでがっかりではありますが、英国は正しい方向に進んだのだと思います。

 インフレ対応している時に、政府債務を増やして景気を刺激する。BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])と政府の向かう方向が真逆というのは、どう見ても間違っています。

 ただ、時宜を得てはいませんでしたが、トラス首相がやりたかった方向性には理解できるものがあります。

 金融こそ英国最大の産業です。シティ(英国の首都ロンドンの中心部の一画で金融街としても知られている)を活性化し、高額所得者を英国に呼び、それをテコに経済成長を実現するという絵は描けます。他にも、経済成長を実現させたい政策が多く呈示されていました。

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日本は日銀のYCC政策により検温装置が故障している。円債マーケットはほぼ死んでいる状態にも見える

 翻って、我が日本ですが、「英国は経常赤字国だから、国債暴落につながったのだ」という意見が多く見られます。しかし、英国債が暴落したから、政策の誤りに気付いたわけです。日本では10年の国債金利はいつも上限0.25%です。政策の体温計である長期金利が常に固定化されているので、体調が良いのか悪いのかわかりません。

 コロナが落ち着いてきたとはいえ、日本では今でも建物等に入場する際は検温しています。その検温装置が故障していて、いつも36.5度だったら、マズイわけです。

 ところが、YCC(イールド・カーブコントロール)という政策は、長期国債が取引できる範囲を0プラスマイナス0.25%で決めているので、国債の金利が本来あるべき水準というものがわかりません。実はもうすでに、英国同様の高い金利でなければ取引されないものになっているのかもしれません。

 そして最近驚くことに、指標となっている10年の新発国債が市場でほとんど取引されなくなっています。JGB(日本国債)のイールドカーブを見ると異様なことになっているのです。

日本国債のイールドカーブ
日本国債のイールドカーブ

(※筆者提供)

 このように、10年は0.25%の枠内におさまっています。しかし、10年以下の年限(7年~9年)では、日銀の意向を完全に無視して高い金利で取引されています。すでに、円債のマーケットはほぼ死んでいるともいえます。

YCC終了時の最悪のシナリオは日本国債暴落と円売りの同時進行。その可能性は大いにあり得る

 英国では、トラス政権と英中銀が真逆の政策を取ったことが市場の混乱を招きましたが、日本では、岸田政権はあれもこれもとインフレ対策を進め、その一方で、日銀の黒田総裁は「来年以降は、インフレ率は2%を割り込む」といって、積極的に金融緩和を進めています。

 日本のCPI(消費者物価指数)はそのうち3%を超えてくるでしょう。2%のインフレ目標を優に超えます。そうした中で、0.25%の国債を買いたい人などいるのでしょうか?

 英国債の下落もなかなかのものでしたが、日本がYCCをやめる時、本当に軟着陸できるかどうか、そこが問題です。とにかく、日本国債のマーケットは巨大です。一部邦銀は、YCC終了に向けて準備を進めているでしょう。

 そして、その時、米ドル/円はどうなるのか。

 JGBの暴落と、円売りが同時に走る、それが最悪のシナリオですが、そうなる危険性は大いにあると思います。

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米ドル/円はあっさりと150円近辺まで上昇。黒田総裁の任期満了まであと半年、米国のファンド勢はゆっくり策を練っているはず

 先日行った、政府・日銀の為替介入で米ドル/円の上昇は抑えられるという見方もありましたが、あっさりと150円近くまできています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

 中央銀行と政府が逆方向の政策を取っている日本は、格好の材料です。トラス首相と違い、日銀の黒田総裁が政策を変更することは、ほぼないでしょう。

 黒田総裁の任期が満了となる来年(2023年)4月まで、あと半年、米国のファンド勢は、ゆっくりと策を練っているはずです。

 黒田総裁の任期は来年4月まで。米国のファンド勢はゆっくりと策を練っているはず (C)Bloomberg/Getty Images

黒田総裁の任期は来年(2023年)4月まで。米国のファンド勢はゆっくりと策を練っているはず (C)Bloomberg/Getty Images


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