イスタンブールの物価は27年ぶりの高水準。高インフレ、低金利でかつてないほど米ドル化が進んでいる
イスタンブール商工会議所は10月の物価指数を発表しました。卸売物価の上昇率は前年同月比で104.21%、給与所得者の生活物価指数は108.8%の上昇となりました。
イスタンブールの物価は27年ぶりの高水準ですが、これらの数字から11月3日(木)にTUIK(トルコ統計局)が発表する10月のCPI(消費者物価指数)もなんとなく予想できます。イスタンブールはトルコ最大の都市でイスタンブールの物価は全国に影響を与えるからです
27年前といえば1995年のことで私は高校2年生でした。イスタンブールの旧市街にある高校に通っていましたが、この地域はエルドアン大統領が育った地域でもあります。
当時インフレは高かったのですが、預金金利も高く、親戚一同銀行に預金していたことを覚えています。今はインフレ率が高いのに金利が低いことから手持ちのトルコリラを一刻も早く米ドルに換える必要があり、米ドル化がかつてないほど進んでいます。
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トルコ経済における直近もっともポジティブな動きは、10月の経済信頼感指数が前月(9月)の94.3から97.1に3%上昇したことです。これは、10月の消費者信頼感指数が前月比で5.3%上昇し、76.2になったことが最大の要因です。上昇は嬉しいものの、経済信頼感指数はまだ100を割っていてトルコ経済に対するネガティブな見方が多いことを示しています。
9月貿易収支は96億ドルの赤字に。エネルギー価格の高騰は国家予算にも暗い影を落とす
今週(10月31日~)のトルコリラは対米ドルでは大きく動かず、18.60リラ前後で推移していますが、対円では7.90円まで下がってから8.00円付近まで反発しました。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
トルコの9月の貿易収支は96億ドルの赤字になりました。昨年(2021年)9月の貿易赤字は26億ドルでしたので、前年同月比で268%の上昇となります。
エネルギー価格の高騰が貿易収支が大幅に悪化した最大の要因ですが、これは国家予算にも暗い影を落としています。
9月の中央政府の財政状況は786億リラの赤字となっています。9月に政府予算からBOTAS(国営石油パイプライン会社)に180億リラが送金されています。その理由はエネルギー輸入コストが増えたからです。
OPECプラスの減産発表で下落傾向にあった原油価格が持ち直しました。ロシアとウクライナの戦争も近いうちに終戦しそうに見えないので、原油価格が高止まりする可能性が高いと考えています。
(出所:TradingView)
トルコリラの売り圧力が大きくなることもなければ、買われる理由も現時点で少ないです。
エミン・ユルマズ
<内容紹介>
今後の世界経済はどのように展開していくのか?すべてがバブルと思われるほど価格が上昇したいま(2022年春)、リーマンショック以上の世界経済の崩壊(!)が近づいていることを、著者は深く懸念している。さらにサイバーセキュリティへの懸念や暗号通貨の広がりなど、グローバル化、デジタル化した世界経済ならではの、新しい問題についても警鐘を鳴らしている。
著者は、こんなときだからこそ、日本に世界の資金が集まるチャンスとも言う。投資をする人も、そうでない人も、世界経済の大転換期に入った今、是非読んでおきたい一冊である。
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