米ドルはすでにトレンド転換し、売られやすい展開に!?
FRB(米連邦準備制度理事会)は米金利ピークアウトへの期待を押し返しているが、目先、大した効果はないようだ。肝心の米長期金利はあまり戻ってないから、米ドル全体は、なお弱含みの展開が続いている。
米10年物国債利回りで見る限り、日足では「三尊天井」が形成された可能性があり、ここから強気変動に復帰していくのは、ハードルが高いと言わざるを得ない。
(出所:TradingView)
先週(11月7日~)。一時7.08%へ急上昇していた米30年住宅ローンの平均金利も6.61%へ急落、1週間の下落幅として1981年以来、最大となった模様だ。
そうなると、短期スパンにおいて米ドル全体の「売られすぎ」があっても大した修正はされず、逆にさらなる反落が続く、といった可能性を無視できなくなってきた。
言ってみれば、トレンドがすでに転換され、これからからは米ドル全体が売られやすい展開になってもおかしくなかろう。
ユーロ/米ドルは短期間で上昇トレンドへ向けて「華麗なる転身」
ユーロ/米ドルにおけるボリンジャーバンドを観察すればわかるように、週足で20年ぶりの安値を更新した後、9月末の週足が陽線で大引けした上、-2σのラインの上に戻った。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
そして、先週(11月7日~)の逆CPIショックの大幅続伸もあって、目先、いったん+2σのラインをトライしており、比較的、短期間において「華麗なる転身」を果たした。
週足における+2σラインのタッチは、実は2021年1月以来、すなわち大型ベア(下落)トレンドが始まって以来の出来事なので、これからユーロ高・米ドル安のトレンドへシフトしていく兆しとして受け止める。
米ドル/円の日足では、すでにトレンド転換した印も
米ドル/円の場合は、まず日足を見てみよう。メインサポートラインを下回ったわけで、-2σラインのいったん割り込みは当然の成り行きだが、ここからが正念場となる。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
上のチャートの1や2の番号が指しているところは5月や8月における値動きで、いったん-2σラインを割りこんでから切り返しを果たした。しかし、今回は状況が違っているように見える。
現時点におけるボリンジャーバンドの拡散、すなわち両ライン(+σ、-σ)が示すダイバージェンスの傾向は、5月や8月の調整時においては見られなかったことである。それはほかならぬ、トレンドがすでに転換された印でもある。
米ドル/円は週足でもトレンド転換の前提と言えるサインが見られる
週足では、ユーロ/米ドルほどではないが、米ドル/円は10月後半の高値を更新してから一転して20週MAラインを割り込んだこと、また、それ以下に大引けしたことが、1つのサインとして重視される。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
週足におけるボリンジャーバンドの計算は、20週MAラインを基準としているから、同サインの点灯は、やはりトレンド転換の前提としてあり得る。
週足を観察すればわかるように、昨年(2021年)年初の安値を起点とした大型上昇波は、少なくとも昨年(2021年)2月末にはすでに継続的に+2σのラインを打診していた。
途中の調整があっても本格的に20週MAラインを割り込むことはなく、今年(2022年)8月の調整は途中の調整として最大だったにもかかわらず、20週MAラインがしっかりとサポートゾーンとして役割を果たした。
10月末には高値更新し、+2σのラインをいったん大きくはみ出したにもかかわらず、同週にて反転して陰線引け、足元までの反落をもたらしたから、やはりこれからブル(上昇)基調への復帰は容易ではない。
ハードルの高さから考えて、再度、高値更新するシナリオの実現は、現実的に考えて可能性が低いと言わざるを得ない。
円が弱く主要外貨が強いとみられ、クロス円の上昇が見込める
ユーロ/米ドルと米ドル/円の両方を見たので、大きなヒントを得られたのではないだろうか。
それはほかならぬ、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の代表格として存在するユーロ/円である。結論から申し上げると、やはり強気構造を維持、また高値更新をめざしているのではないかと思う。
なにしろ、ユーロ/米ドルの大転換は、20年ぶりの安値から一転して週足の+2σのラインをトライしたが、米ドル/円は32年ぶりの高値から大きく反落してきたにもかかわらず、週足の20週MAラインを割り込んだばかりで、まだまだ-2σのラインに程遠い。
(出所:ゴールデンウェイ・ジャパン)
言ってみれば、主要外貨において、円の最弱の通貨としての位置はまだまだ健在なので、これからは、やはりクロス円の一段上昇が見込める。
英ポンド/円も豪ドル/円も然り、米ドル高時代でも米ドル安時代(仮にそうなっても)でも、円の上昇余地は限られ、主要クロス円の上昇余地は、むしろこれからだと思う。
本日はシンプルにテクニカルのみの話だったが、シンプル・イズ・ザ・ベストなら、将来の見通しに役立つかもしれない。
検証やフォローはまた次回、市況はいかに。
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