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中間選挙も大統領選挙も11月。米国人にとって11月は大事な月
先日(11月8日)、米国の中間選挙が行われましたが、今回はその結果について論じるつもりはありません。中間選挙も、大統領選挙も、どうして11月なのでしょう。しかも投票日は火曜日です。
米国はグローバル社会のリーダーで、もっとも成功している国です。それなのに、なぜ独自の単位を使うのでしょうか。摂氏ではなく華氏、キロメートルではなくマイル、そしてセンチではなくフィートやインチを使います。意外と昔のしきたりを大事にしている国なのでしょうか。
中間選挙も大統領選挙も、11月の第1月曜日の翌日の火曜日と決まっていますが、昔の投票所は遠くの大きな街にしかなかったので、日曜は地元の教会で祈り、月曜は馬車で移動し、その翌日に投票となったので、火曜日が投票日のようです。
では、なぜ11月なのかというと、農産物の収穫が10月、11月に終わるから、というのがもっとも有力な理由のようです。収穫を終えて、ゆっくりと自分たちの代表を決めるということです。そして収穫というと、11月の第4木曜日に感謝祭があります。七面鳥を食べる日です。
米国人にとって11月は大事な月。中間選挙も大統領選挙も11月に実施される。11月には感謝祭(サンクスギビングデー)もある。写真は2020年の米大統領選挙で討論するバイデン大統領とトランプ前大統領(C)Bloomberg/Getty Images
米ドル/円が大きく崩れた理由はいろいろあるが、ヘッジファンドなどの「収穫」が本当のところでは?
このように、米国人にとって11月は大事な月です。1年の締めです。私が以前勤務した、米系の証券会社、そして米系ヘッジファンドも11月が締めの月でした。
米ドル/円は高値151.95円から大きく崩れています。理由はいろいろあると思います。
米金利の終着点(ターミナルレート)が見えてきたとか、見えないとか言っています。しかし、実は理由はもっと単純で、11月になり、多くの金融機関のトレーダーやヘッジファンドが収穫(手仕舞い)を始めたというのが本当のところではないでしょうか。
(出所:TradingView)
米金利の終着点に関しては、いろいろな意見があります。米大手証券モルガン・スタンレーは「ドルはピークに達し、2023年はインフレ緩和期待で米国債利回り低下とともに下落する」と題したレポートを出しているそうです。
ドルは今四半期がピーク、現金保有やめよ-モルガン・スタンレー
出所:Bloomberg
彼らの主張するポイントは、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが今後鈍化し、来年(2023年)最初(2月)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でFF金利(※)を0.25%引き上げて、それで利上げ局面は終わりと見ているようです(ターミナルレートは4.50%か)。米ドル/円はこの第4四半期がピークで、年末140円予想です。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
その一方、同じく米大手証券ゴールドマン・サックスはドル円相場の予想を上方修正してきました。
ゴールドマン、米利上げでさらなる円安・ドル高進行の可能性
出所:Bloomberg
彼らは米金利のターミナルレートが市場の予想よりももっと上昇すると見ています。おそらく、5.50%ぐらいまでターミナルレートが上昇するので、そうなると米10年債利回りは4.50%となり、米ドル/円は155円ぐらいまで上昇するだろうという意見です。
どちらも正しそうに見えます。実際に米金利がどうなるのかは、その時になってみないとわからないのではないでしょうか。
将来の米ドル/円レートがどうなるかはともかくとして、今は年末を迎え、利食いに走る中、「コツン」と底を叩くまで、米ドルは下がっていくのかなと思います。
(出所:TradingView)
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ひろゆき氏の「お小遣いチャンス!」など、米ドル/円上昇の最終局面は「大衆相場」になっていた
蛇足ではありますが、今回、米ドル/円の天井が近いと印象づけたのは、インフルエンサーひろゆき氏のツイートでした。
そんなわけで、
— ひろゆき (@hirox246) October 21, 2022
1ドル=152円まで円安になったところで、また為替介入がありました。
よほどのことが無い限りは、元の値に戻るということで前回お小遣いを稼いだ方は、またお小遣いチャンスです。
小心者の人は150円ぐらいで利益確定させたほうがいいかもしれません。。 https://t.co/JkSOGzMs0k pic.twitter.com/75KTDEkqvq
普段マーケットを見ていない人たちも、お小遣い稼ぎのチャンスとばかりに、米ドル/円マーケットに入ってきた可能性があります。
ひろゆきさんのコメントが結果的に正しい、正しくないはともかく、今回の米ドル/円上昇も最後のところはかなりの「大衆相場」になっていたということなのでしょう。
(出所:TradingView)
2017年12月のビットコイン相場と似たものを感じた瞬間でした。そうであるなら、目先のマーケットは落ちて行くしかなかったのかもしれません。
調整相場なので、だんだん理屈通りに動かなくなると思います。難しくなります。
これまで米金利との連動が強かった米ドル/円ですが、それもそのうち変わってくるかもしれません。
つまり、米金利が上昇しているのに米ドルが下落したり、反対に米金利が低下しているのに、米ドルが上昇したりする相場が近いうちあるかもしれません。
(出所:TradingView)
米ドル/円はいずれ上昇トレンドに戻るが、目先は137.50円、次は130円が注目ポイントになる
さて、この米ドル/円相場がどこまで落ちるかですが、先日(11月15日)の米PPIの結果を受けて瞬間的に一目均衡表の雲を下抜けましたが、すぐに戻されました。
(出所:TradingView)
個人的には、どんなに傷んだ瞬間があっても、米ドル/円はいずれ上昇トレンドに戻ると思います。しかし、あまり予断を持たず対処すべきでしょう。
米ドル/円の注意すべきポイントは137.50円だと思います。そこを割るともっと下がるでしょう。次は、130円、そして2015年の高値125.86円です。そこまで行くことはないと思っていますが、そこが強いサポートになると考えています。
(出所:TradingView)
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