西原宏一さんのメルマガ「トレード戦略指令!」の有料会員向けに配信している動画コンテンツ「今月のFX・投資作戦会議」の中で、西原さんが為替相場で特に注目しているテーマを解説する「にっしートピック!」を無料公開しています。当コラム「FX&コモディティ今週の作戦会議」の内容とも連動しているので、ぜひ、ご視聴ください。
早朝から要人発言とニック砲
先週(11月7日~)の米CPI(消費者物価指数)発表は、予想8.0%(前年比)に対して7.7%のサプライズ。
米インフレは、ピークアウトの傾向がはっきりしてきましたね。
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米CPIを受けて、米ドル/円は138円台まで急落し、米国株は急騰。
金利先物市場で見たターミナルレート(利上げの最終地点)は、米CPI発表前の5%台から4.75%程度まで低下しました。
ハト派的な見通しが高まっていますが、今朝(11月14日朝)になってウォラーFRB(米連邦準備制度理事会)理事は、先日の米CPIについて「ひとつのデータポイントに過ぎない」「こうした動きが持続してインフレ率が緩やかに低下するのを確認する必要がある」として市場を牽制しています。
(出所:TradingView)
フェド・ウォッチャーのニック・ティミラオス記者も、追い打ちをかけるかのようにツイートしていました。
楽観を冷やす要人発言に要注意!
このところのFRBは、市場が楽観的すぎると冷やすし、悲観的すぎれば温める。
ニック砲もうまく使って、巧みにコントロールしていますね。
このままインフレが収束し、米国株が上昇して、来年(2023年)の景気後退がひどいものにならなければ、うまくソフトランディングでき、パウエルFRB議長としては万々歳です。
中国のゼロコロナ見直しや不動産市場への広範囲な救済策を打ち出したとの報道も、米国株の上昇に影響しているようです。
今週(11月14日~)の予定を見ると、FRB要人の発言が多いですね。
これだけ米金利が低下していますから、タカ派的な発言が多くなるでしょう。
いずれにせよ、米ドル/円は151.95円で天井をつけた可能性が高い。
2011年安値75.35円の2倍=150.70円、あるいは1982年高値から引いたフィボナッチ・リトレースメントの38.2%=152.63円が目安としてありましたし、僕の周りの超長期プレイヤーも150円近辺では手仕舞いました。
150円より上はオーバーシュートだったようです。
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(出所:TradingView)
米ドル/円の下値メドは、今年の上昇の半値戻しの133円
為替市場はボラティリティが高まっていますね。今朝も1円ほど上窓が開いて始まりました。
最近の東京市場は、米金利に関係なく、米ドル円を買ってくる傾向があります。
逆に言えば、東京も売ってくるようになれば、下落も一服するのかもしれません。
ただ、今年(2022年)の米金利の影響で、もっとも上がったのは米ドル/円。
米金利がピボット(方向転換)して下落に向かうなら、米ドル/円も下がるのでしょう。
下値メドはどのくらいですか?
133円あたりでしょうか。
今年の上昇の半値戻しですね。
130円台は7月から8月にかけてもレンジを形成しました。当面は133円から140円程度のレンジとなるのかもしれませんね。
(出所:TradingView)
来年はゴールドの上昇が本格化?
米ドル安とともに上がってきたのがゴールドです。
ゴールドが先物市場でネットショート(売り越し)になるのは、過去20年で3回ほどしかなかったのですが、今回もネットショートとなっていました。
米金利が上昇していたため、ゴールドが売られていた、ということですね。
ところが、米CPIで米金利が急低下したため、ショートポジションが踏み上げられ、急騰したようです。
(出所:TradingView)
今年は為替の年でしたが、来年はコモディティの年になる予感もあります。ゴールドは来年、強いかもしれませんね。
本格的に上がるとしたら、FRBの利下げが具体化したときでしょうね。
インフレがこのまま落ち着いてくるようだと、年末くらいには利下げの話が出てくるかもしれません。
米ドル/円の戻り売りを継続。ボラティリティが大きく、安易に下値を売らないよう気をつけたい
週末の話題は、世界2位の仮想通貨(暗号資産)取引所だったFTXの破産申請ですね。
ビットコインなど仮想通貨が総じて急落しましたから、ファンドなどからは損失を埋めるために、株などの資産を売る動きが出てくるかもしれませんね。
明日(11月15日)には、米PPI(生産者物価指数)が発表されます。
米CPIに続いて米PPIも下がっているようだと、米ドルは一段安でしょうか。今週の戦略はどう考えますか?
先週に引き続き、米ドル/円の戻り売りでいいでしょう。
とはいえ、すでに高値から13円も下げていますし、ボラティリティも大きい。
安易に下値を売らないよう、エントリーする水準には気をつけたいですね。
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(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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