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12月FOMCで発表されたドット・チャートはややタカ派的に変化した
12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、ドット・チャート(ドット・プロット)がどのように変化するかがポイントでしたが、市場予想をやや上回る(ややタカ派的な)ドット・チャートの変化だったと思います。
(出所:FRB)
このドット・チャートやパウエル議長の会見冒頭の挨拶までは、かなりタカ派的に見えました。最後のところでは、お決まりの言葉もしっかり言っていました。
“The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy. We will stay the course, until the job is done.”
「過去の記録は、時期尚早に政策を緩和することに強い警告を発しています。仕事が完了するまで(インフレを退治するまで)引き締め政策を維持しなければなりません」
しかしながら、質疑応答が始まると、「タカ」だったはずのパウエル議長にやや揺らぎが見えてきます。
最初にCNBCのベテランキャスター、スティーブ・リースマン氏の質問、
「前回のFOMCと比べて、株価等が上昇しFCI(フィナンシャル・コンディション・インデックス=事実上どの程度金融引き締め的な状況なのかということ)が緩和しているが、どうお考えでしょうか?」と鋭く迫りましたが、パウエル議長は直接的な回答を控え、長期的には目標達成に向け十分にFCIは引き締め的でなければならないが、短期的な動きには重きは置いてないと回答しました。
これが、「逃げている」印象を与えたのでしょう。ここから金利低下が始まりました。本来であれば、FOMCは引き締め的ということで、その方向に動くはずですが、前日(12月13日)のCPIが急速に低下したこともあり、マーケットはインフレ終了、引き締め終了、株価上昇の方向に自信を持ってしまったようです。
最近、リーク的な記事を次々と発表することで名前が売れているWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙記者のニック・ティミラオス氏も質問し、来年(2023年)2月FOMCの利上げ幅は0.25%で行くのか?的な質問を投げましたが、利上げはこれまでより、よりスローなペースで行うとの発言を引き出していました。来年(2023年)2月が0.50%の利上げなのか、それとも0.25%なのかが、大きな焦点のひとつでしたが、0.25%でほぼ決定的となった模様です。
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パウエル議長の会見は緩和派という印象を与えたか。米ドル/円は「いって来い」に
パウエル議長は8月末のジャクソンホールでの講演では、「俺はボルカーになる」と発表したようなものでした。その後、11月FOMC後の会見は良かったのですが、11月30日(水)の講演では、従来の超ハト派的パウエル議長が全面的に出てしまい、今回の会見も、やはり緩和派という印象を与えたかもしれません。
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この結果、米ドル/円はパウエル会見冒頭の急騰で136円近辺まで上昇しましたが、会見終了時には134円台後半へと、まさに「いって来い」の展開となってしまいました。
(出所:TradingView)
すでに述べたとおり、マーケットは、「インフレ終了⇒金利上昇終了⇒株価上昇」という流れに自信を持ちはじめているようです。11月の米CPI(消費者物価指数)の構成要素を見ると、住宅関連の数字がまだ強く、それがCPIをある程度押し上げていますが、それ以外は落ち着いています。
とはいえ、FRB(米連邦準備制度理事会)がタカ派姿勢でいるのも事実です。「マーケット VS FRB」この構図がどの様に今後変化していくのでしょうか、注目したいところです。
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米ドル/円は、いずれ上昇相場がやってくる
個人的には、いずれ米国もリセッション(景気後退)入りするのかもしれませんが、より深いリセッションが目前に迫っている欧州、そして防衛費拡大を最終的に国家債務増額で対処しようとしている日本と比べると、ファンダメンタルズ的に米国の優位性は変わらないのではないかと考えてしまいます。
米ドル/円はいずれまた上昇相場がやってくるのではないでしょうか。
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(出所:TradingView)
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