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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

FX取引の収益源!? FRBの意図を代弁する、WSJの記者
ニック・ティミラオスとは? FOMC前のブラックアウト
期間に発せられるメッセージは、必ずフォローしたい

2022年12月08日(木)11:58公開 (2022年12月08日(木)11:58更新)
志摩力男

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週刊!志摩力男


「一介の記者が、そんな馬鹿な…」FRBの意図を代弁する、WSJ記者・ニック・ティミラオス氏

 FOMC(米連邦公開市場委員会)関係者は、FOMCが開催される11日前から、メディアでは一切発言できない決まりになっています。これをブラックアウト期間と言います。

 しかしながら、市場がパウエル議長やFRB(米連邦準備制度理事会)の意図を誤解しているとき、想定外の決定がFOMCにおいて下された場合、市場変動が大きくなりすぎる可能性があります。そういうとき、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙の記者であるニック・ティミラオス氏を通じて、パウエル議長及びFRBは市場にメッセージを送ることになっています。

 「一介の記者が、そんな馬鹿な…」と考えるのは、もっともなことです。しかし、事実上そうなっています。

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ニック氏の記事がFRBからのメッセージだと市場が気付いたのは6月のFOMC前だった

そのことに、市場が初めて気付いたのは、6月のFOMC前でした。3月に0.25%利上げし、5月に0.50%利上げしましたが、6月も0.50%だろうと多くの市場関係者は予想していました。ところが、6月13日(火)、ニック・ティミラオス氏は突然「FRBは今週、0.75%の利上げを検討する可能性が高い」と報じました。

Fed Likely to Consider 0.75-Percentage-Point Rate Rise This Week 

(出所:WSJ

 これには多くの人が驚かされました。というのは、その前日の6月12日(日)に、ニック・ティミラオス氏は「0.75%利上げは、おそらくないだろう」という記事を書いていたからです。

Sizzling Prices Complicate Fed’s Inflation-Fighting Strategy

(出所:WSJ

 まったく矛盾する内容のものを翌日に書いたりはしないでしょう。この時に多くの人は、「ははぁ~ん」となりました。パウエル議長なのか、FRB内の誰かはわからないが、ニック・ティミラオス氏にメッセージを送ったのだろうと…。

 市場が0.50%利上げを想定している時に、いきなり0.75%の利上げを行った場合、市場に激震が起こったでしょう。しかし、ニック氏の記事のおかげで、激震は避けられました。

極めつけは、10月21日のFRBの明確な方針転換を示した記事だった

 その後も、何かあるたびに、ニック氏を通じてメッセージが発信されましたが、極めつけは10月21日(金)に出されたこの記事でしょう。

Fed Set to Raise Rates by 0.75 Point and Debate Size of Future Hikes

(出所:WSJ

  この記事の冒頭、ニック・ティミラオス氏は以下のように書いています。

Federal Reserve officials are barreling toward another interest-rate rise of 0.75 percentage point at their meeting Nov. 1-2 and are likely to debate then whether and how to signal plans to approve a smaller increase in December.

「米連邦準備制度理事会(FRB)は11月1-2日の会合で0.75ポイントの追加利上げに向けて猛進していますが、12月にもっと低い金利での利上げを承認するプランをどの様に示すかを議論するだろう」

 いつまでも、割高な0.75%の利上げを続けるわけにはいかない、よってもっと小さい利上げ幅にするが、どのようにそれをマーケットに対し提示するのか考えなければならない、ということです。

しかし、利上げ幅を縮小するということですから、政策の変更とまではいかないですが、明確な方針転換とは言えます。

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米ドル/円ドテンショートで約4円抜き!ニック氏をフォローするのは効果的

 手前味噌ですが、それまで米ドル/円をロングにしていましたが、この発言を見て、既存のロングポジションを手仕舞い、反対にドテンショートにしました。直後に、政府・日銀による介入が入ったので大きく下げ、またたく間に4円近く利益を上げることができました。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:IG証券

政府・日銀の為替介入が入ったのも、神田財務官が、このニュースの後であれば介入は効果的だと判断されたからではないでしょうか。

 その意味においても、ニック・ティミラオス氏をフォローするというのは効果的です。収益チャンスを得る機会になりやすいといえます。

 最近では、ニック・ティミラオス氏は、ターミナルレートは5%以上という記事を出しています。少し前のマーケットの織り込みでは、4.75%というレベルもOKだったので、米ドルは反発しています。 

Fed Set to Raise Rates by 0.75 Point and Debate Size of Future Hikes

(出所:WSJ

 これから先も、ニック・ティミラオス氏の記事やSNSでの投稿はトレードにおける大切な情報源であり収益源になりそうです。


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