米金利の反発とともに米ドル/円は134円台ミドルまで反発
みなさん、こんにちは。
先週のコラムで「米金利の反発に呼応し米ドル/円は135円へ」とご紹介させていただいたのですが、米ドル/円は一時134.36円まで上昇しました。
(出所:TradingView)
結果だけ見れば、先週のコラムから米ドル/円は順調に値を上げてきたように思えますが、先週金曜日の米ドル/円は瞬間129.81円まで急落するステージがあり、一時マーケットに緊張が走りました。
その混乱の要因は日銀人事。
大方の予想を覆し、岸田文雄首相は日本銀行の黒田東彦総裁の後任に、元審議委員で経済学者の植田和男氏を指名しました。
この報道で米ドル/円は急速に円高に。
海外勢は植田和男氏についての可能性を考慮していなかったため、米ドル/円のロング(買い)を投げたこと、加えて今年に入り、国内と思われる短期筋が「日銀人事」に関するアルゴリズムを組んでいたという噂もあり、急激に円高に進んだものと想定されます。
米ドル/円は、このまま135円を超えて上昇するのか?
ただ、植田和男氏はタカ派ではありません。
結果、瞬間150pips程度急落した米ドル/円は、3時間ほどで131円台を回復。
その週のNY市場は131.36円レベルで終えており、「日銀人事報道」は単なるフェイクで終了しました。
(出所:TradingView)
しかし、マーケットでは短期筋の米ドル/円のロングが一掃され、マーケットは随分軽くなっており、そのため、今週の米ドル/円は一転して順調に値を上げ、15日のNY 市場では一時134.36円まで反発しました。
金曜日の安値が129.81円ですので、数日で5円弱急騰したことになります。
日銀人事というヘッドラインが消えましたが、このまま米ドル/円は135円を超えて上がるのでしょうか?
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米ドル/円の続伸には米2年債利回りのさらなる上昇が必要
今月の米ドル/円を振り返ると2日に128.09円という安値をつけているため、2週間で6円強、急騰したことになります。
その間の米金利と米ドル/円の推移を見てみましょう。
これは、米2年債利回りの日足です。
(出所:TradingView)
2月2日に米2年債利回りが4.0321%まで急落しています(米ドル/円は128.09円まで急落しました)。
この急落はFOMC(米連邦公開市場委員会)後に金利先物市場が早期の利下げを急激に織り込んだためなのですが、ターミナルレート(利上げの最終地点)が5.00%前後と言われている時にこのレートはさすがに下げすぎです。
その後、米雇用統計の強い数字をきっかけに米2年債利回りは一転して値を上げ、一時4.6968%まで急騰しています(米ドル/円の高値は134.36円)。
つまり、米ドル/円が続伸するには、米2年債利回りの続伸が必要となります。
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米ドル/円は高値を追わず押し目待ち
FF金利先物市場の動向を見ると、本稿執筆時点でターミナルレートは5.25%程度まで織り込んでいます。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことでFFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
先物市場では年末に利下げを織り込んでいるため、その織り込みは消えるかもしれません。
ただ、先週のコラムでご紹介させていただいたような「目指すは米政策金利6%」というほどの金利急騰の材料は現時点では見当たりません。
結果、本稿執筆時点では、米2年債利回りの続伸はあまり期待できず、米ドル/円も高値追いはせず、押し目待ちに徹するという展開でしょうか?
今月(2月)2日に128.09円の安値に到達した後の米ドル/円は、2週間で6.27円も急騰。
米金利の反発もありますが、128円から短期間でよくここまで値を戻してきたといえます。
今週も米2年債利回りと米ドル/円の動向に注目です。
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