「日米の政策転換」のシナリオは崩れた!?
みなさん、こんにちは。
先週のコラムで懸念した通り、米ドル/円は先週でいったんボトムアウトしたようです。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は、来週あたりにいったん反発か? パウエルFRB議長は今後、さらに複数回の利上げが適切になるとの認識を示唆、年末の利下げを織り込むのは時期尚早!(2023年2月2日)
先週金曜日(2月3日)の米雇用統計が、サプライズな、いい数字で発表されたことに加え、「日本銀行の黒田東彦総裁の後任人事について、政府は雨宮正佳副総裁に就任を打診した」との日本経済新聞の電子版の報道がきっかけとなり、米ドル/円は先週金曜日から急騰しました。
一時132.90円まで値を伸ばしています。
つまり、米ドル/円は、2日程度で5円弱という暴騰を演じたことになります。
(出所:TradingView)
数年前の米ドル/円は年間で10円程度しか動かない相場が続いていましたが、去年からの米ドル/円のボラティリティ(振れ幅)は高いまま。
ただ過去のコラムでもお伝えした通り、今年の米ドル/円は2~3円の値幅を伴って激しく乱高下するものの、レンジを抜けきれないのが悩ましいところです。
米ドル/円にトレンドが出る可能性が出てきた!
今年の米ドル/円のオープニングは131.01円。
本稿執筆時点の米ドル/円は131.40円ですので、乱高下するものの、年初からあまり動いていないことになります。
(出所:TradingView)
ただ、米ドル/円に少しトレンドがでる可能性がでてきました。
現在、米ドル/円を動かしているのが、既報のように「FRBのピボット(米連邦準備制度理事会の政策転換)」と「BOJのピボット(日本銀行の政策転換)」ですが、その「FRBのピボット」期待が後退しています。
つまり、米金利が想定どおり下がらず、反発する可能性が高まっているのです。
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目指すは米政策金利6%?
2月9日の東京市場では下記のブルームバーグの記事が注目を集めています。
米政策金利に対するセンチメントの変化が、金利オプションの取引で表面化しつつある。今週に入り複数の大口ポジションがFF金利の6%到達に賭けており、現在の市場コンセンサスより1ポイント近い高い水準を予想していることがうかがわれる。1月の雇用統計を発端とする潮目の変化を米金融当局者発言がさらに後押しした格好だ。利上げはあと1回、もしくは2回実施した後は打ち止めになるというシナリオは、もはや確実性の薄いものとなった。
出所:Bloomberg
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
しかし米金利先物市場では、今後の2回の利上げと年末の利下げを織り込んだまま。
(※筆者提供のデータを元にザイFX!編集部が作成)
大口ポジションがFF金利の6%到達に賭け始めたことは、マーケットのセンチメント(市場心理)が変わってきたことを意味します。
米国の中古車価格もここにきて反転へ。
米国の中古車価格が1月に前月比2.5%上昇した。CPI(消費者物価指数)に算出される中古車価格は昨年、下落傾向が続いて当局のインフレとの闘いを支援してきた。しかし、ここにきての価格上昇は流れが反転することを意味する。レンタカー大手ハーツのスティーブン・シェールCEOは、中古車はオークションと店頭販売の両方で過去5週間に価格が急上昇したと話している。
出所:Bloomberg
パウエルFRB議長のコメントも「ディスインフレが始まったが、その道のりは長く、さらなる利上げが必要である」としています。
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金利動向通り米ドル/円は先週でボトムアウト
先週のマーケットはパウエルFRB議長の「ディスインフレ」というワードに敏感に反応し、米ドル/円を128.09円まで売り込んでいますが、パウエルFRB議長は年内利下げをコメントしたわけではありません。
それにも関わらず、本稿執筆時点でのFF金利先物も、今後の2回の利上げを予想しているものの、年内から来年初頭にかけて2回の利下げを織り込んだまま。
一方、先週の米雇用統計や、前述の米国の中古車価格が示しているように、マーケットの思惑とは裏腹にインフレが沈静化せず、年末の利下げ予想が後退する可能性が高まっています。
結果、「FRBのピボット」トレードは解消せざるを得なくなり、ドル金利が反発、米ドル/円も再び135円に向けて反発するのではないでしょうか?
(出所:TradingView)
米金利の動向と米ドル/円に注目です。
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