円安トレンドをリードしているのは、米ドルではなくユーロ!
日経平均とユーロ/円の動きをみると、株高・円安の「セット」がしっかり確認されている。
(出所:TradingView)
米ドル/円ではなく、ユーロ/円を強調するわけは、ユーロ/円が円安トレンドをリードしているからだ。言ってみれば、米ドルの視点のみではく、ユーロサイドの視点を持つフォローも大事、ということである。
まずユーロ/米ドルだが、高値更新してから高値圏にて保ち合い、モメンタムの低下が見られているものの、強気変動を維持している。
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当然のように、ユーロ/円はもっとも強く、いったん148円の節目直前を打診、目先146円台後半まで反落してきたものの、スピード調整として、むしろ限定的だとみる。
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円売りトレンドの主役としてユーロ/円を挙げるのはほかならぬ、構造上ユーロ/円の上値余地が一番大きいからだ。
ユーロ/円が上値余地を拡大すると考える根拠は?
いったん148円の節目直前まで上昇したユーロ/円が、これから2014年高値149.76円をトライ、またブレイクしていくのも時間の問題と思われる。そこからさらに上値余地を拡大するだろう。
なにしろ、2008年高値や2012年安値から形成されてきた「シンメトリカル・トライアングル」は、非常に長いスパンをもって完成され、また2021年5月から上放れを果たしたと見なされる。
さらに、その後、2022年3月の波乱に検証され、強気構造が証明されてきたからこそ、足元の高値トライにつながり、またこれから上値トライの可能性が高いと思われるわけだ。
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プライスアクションの視点で検証すればわかるように、2022年3月の大陽線がもっとも重要であった。
同月安値は124.38円まで突っ込んでいたものの、大引けは134.65円、高値は137.55円まで上昇していたので、月足では典型的な強気サイン(スパイクロー、強気リバーサル&アウトサイド、またはフォールス・ブレイクアウト)を点灯。前述の大型トライアングルの上放れが本物であることを示したうえで、足元まで続くブル(上昇)トレンドの基調を固めたわけだ。
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ブルトレンドの途中という視点なら、先月(3月)いわゆる「金融不安」がもたらした一時の反落も絶好の押し目の好機だったことがわかる。
先月(3月)の足型(上のチャートの矢印)は、典型的な「スパイクハイ」の「星線」なので、上昇途中のスピード調整として、むしろ今月以降の上昇波をより健全化する役割を果たしたから、昨年(2022年)高値148.43円がブレイクされるまで大した調整はないだろうとも思う。
こういった視点をまとめると、ユーロ/円の上昇余地はこれから大幅に拡大する公算が高く、中期スパンにおいてしばらく上値追いの展開になってもおかしくない。
ユーロの強さは米ドルや円に対してのみならず、
そのほかの主要外貨に対してもしっかり確認されている
円売りのリード役としてユーロを強調するわけは、ほかならぬ、ユーロが足元、強気基調にあるからだ。
ユーロの強さは、基軸通貨である米ドルや一番弱い円に対してのみではなく、そのほかの主要外貨に対してもしっかり確認されている。
まず、ユーロ/英ポンド。保ち合いの市況を維持しながら、メインレジスタンスラインを突破していく可能性を暗示しているように読み取れる。
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続いて、ユーロ/豪ドル。こちらはしっかりしたブルトレンドの継続が示唆され、高値圏での保ちあいを経て再度の高値更新、また、さらなる上値余地の拡大が示唆されているとみる。
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ユーロ/カナダドルも、ブルトレンドの途中にあるだろう。テクニカル上のサインが揃って強気変動の継続を示し、安易な頭打ちを想定できないのが現状である。
(出所:TradingView)
ユーロ/ニュージーランドドルも然り。強気トレンドが加速している間、安易な頭打ちを主張できないことが、一目瞭然である。
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「モテ期」にあるユーロ。
円安傾向が続くうちは、高値を追うなら断然ユーロ/円
まとめてみると、現在、ユーロは「モテ期」にあると思われる。ユーロの視点をもって外貨同士の強弱を測れば、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)におけるユーロ/円のリード役には納得するだろう。
円安トレンド自体の終焉があれば話は別だが、言ってみれば円安傾向が続くうちは、しばらくはユーロ/円の優位性が保たれ、高値を追うなら断然ユーロ/円が選好されやすいと思う。
一部の市場参加者は「出遅れ」を好むようだ。たとえば、ユーロ/円に比べ、豪ドル/円の切り返しが出遅れているから、豪ドル/円の押し目を拾うといった発想だ。
総論として、このような考え方は合理性に欠ける。要するに、ユーロの優位性が続くなら、「出遅れ」自体が騙しである。ゆえに、足元の判断として、豪ドル/円の押し目を拾うより、断然ユーロ/円の押し目を拾ったほうが合理的で、より大きなリターンを得やすいと思う。
しばらくユーロ/円の動向から目が離せないこと、また、想定より早期に150円の大台の打診があり得ることを記しておく。
市況はいかに。
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