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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

米ドル/円は植田総裁になって初の日銀会合絡みで大きめの
アップダウンがあると想定。総合的にみると、ユーロ/円の
買いも良い選択肢になるか

2023年04月20日(木)18:23公開 (2023年04月20日(木)18:23更新)
志摩力男

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週刊!志摩力男


植田日銀総裁の初会合に注目。アンケートでは「YCC修正せず9割」との報道も

 4月の終わりから5月初めにかけて、主要な中央銀行の金融政策決定会合が集中します。

4月28日(金)正午頃 日銀
5月3日(水)27時(日本時間4日午前3時) FOMC
5月4日(木)21時15分 ECB理事会

 4月28日(金)の日銀金融政策決定会合は、植田日銀総裁になって初の会合ということで注目されます。政策変更は予想されていません。

 5月3日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.25%の利上げが予想されています。 5月4日(木)のECB理事会では 0.50%の政策金利引き上げが予想されています。

 日銀に関して言えば、日経新聞が「YCC修正せず9割」と、22人の「日銀ウォッチャー」へのアンケート結果を公表していました。これは、参考になると思います。

植田日銀総裁の初会合「YCC修正せず」9割 専門家調査

(出所:日経新聞

 とはいえ、22人中8人が「フォワードガイダンスの修正」を予想しています。そして、2023年度内に6割の人がYCC(イールドカーブ・コントロール)撤廃を予想しています。

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一部海外勢は、日銀の政策変更は近いと予想。米ドル/円は大きめのアップダウンを想定した方がよさそう

 この記事には書いてはいませんが、6月に開催される日銀金融政策決定会合で何らかのYCC変更があると考えているエコノミストもかなりいます(約5割程度か?)。撤廃ではないですが、金利誘導目標を現行の10年から5年へのシフトが有力です。

 しかしながら植田日銀総裁の就任会見は、このような政策変更が近くあるとは到底思えない内容でした。これは、YCC変更を事前に織り込ませるということは、JGB(日本国債)への売り投機を加速させるため事実上困難であることを考えると、政策変更は想定されないが、警戒を解くわけにもいかないというところでしょうか。

一部の海外勢は、日銀の政策変更は近いと考えています。

 そのため、このところの円安傾向には「痛い」思いをしていますが、それでも 4月28日(金)の日銀金融政策決定会合の結果発表前にはある程度の円買い投機も入ってくるでしょう。

 それが米ドル/円を50銭~1円程度押し下げるかもしれません。そして、もし政策変更がなかったら、米ドル/円は大きく買い戻されるのでしょう。大き目のアップダウンを想定しています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:TradingView

5月FOMC0.25%利上げは8割程度織り込み済み。利上げ終了でも米ドル売りと考えない方が良い理由

 FOMCでは0.25%の利上げがあるでしょう。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchでは、現時点で8割程度の確率で織り込まれています。

 FRB(米連邦準備制度理事会)のウォーラー理事も「3月の会合で0.25%利上げして正解だった」と発言しています。米銀2行が破綻し、クレディ・スイスが救済合併されるという混乱の中での利上げは大変だったと思いますが、それだけ、インフレの問題は重要ということでしょう。

 このところ米国における日用品の価格は低下傾向にあります。エネルギー価格も下がり、ガソリン等はかなり低下しました。モノのインフレに関して言えば、ほぼ収束が見えてきた感じです。しかし、サービス価格のインフレには根強いものがあります。

 マーケットはこの利上げでFRBによる一連の利上げ局面は終了すると見ています。よって、「ここが金利のピークだから米ドル売りだ!」と考える人もいるでしょう。

 しかし、米ドル/円に関して言うならば、広い金利差はずっと続きます。バイデン政権の財政が拡張気味ということもあり(景気刺激的、インフレ抑制には悪材料)、市場が考えるより、米国の高金利は続くものと想定しています。

 たとえ長期的に見て米金利が天井圏にあるとしても、金利差を取りに行くキャリートレードが円高を抑制するのではないかという思いはぬぐえません。

【※関連記事はこちら!】
日本から円高材料がでなければ、米ドル/円はもみ合い、もしくはジリジリ上昇する展開か。「ザ・セイホ」が、為替市場を久しぶりに賑わしている理由とは?(2023年4月13日、志摩力男)

ECBは0.50%織り込み済み。総合的に考えるとユーロ/円ロングが良い選択肢になるか

 ECB(欧州中央銀行)に関しては、0.50%の利上げが織り込まれています。最近、欧州では賃上げを求めるデモやストライキが頻発しているほか、フランスでは年金改革をめぐって大混乱となっています。

 これらの根っこになっているのは、物価高騰に対する不満でしょうから、ECBはインフレに対して甘い顔は絶対にできないでしょう。

 総合的に考えると、なかなか上昇しない日本の金利、米国以上にこれから金利が上昇する欧州を考えると、ユーロ/円のロングというのも良い選択肢に見えます。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足

(出所:TradingView

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日本のインフレにも火が付きそうな予感。海外投資家の日本への関心は非常に大きい

 最近、日本でもインフレを実感することが多くなりました。不動産価格も上昇しています。

 日銀はこれからインフレ率が低下していくと想定していますが、生活実感としてのインフレはこれから先もさらに上昇していく感じがしています。

なかなか上昇しなかった日本のインフレにも火が付きそうな予感です。それを感じ取っているのか、海外投資家の日本に対する関心は非常に大きいものがあります。

 日本の資産価格は海外と比較してあまりにも安い。それが円高で調整されるようには見えないので、ついに価格上昇が迫ってきているのではないでしょうか。


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