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西原宏一_メルマガ取材記事
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円はすでに頭打ち、もしくはこれから頭打ちを
果たすとの見方に変更ないが、急落もなさそう。結果、
ユーロ/円や英ポンド/円の堅調な推移が続くとみる!

2023年08月18日(金)18:19公開 (2023年08月18日(金)18:19更新)
陳満咲杜

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米ドル全体の切り返しは続いている!カギを握るのは米長期金利

米ドル全体の切り返しは、続いている。想定より強かったのは言うまでもないが、米長期金利の高騰が大きな背景となり、また中国経済破綻の懸念が広がるなか、いわゆる「質への逃避」がみられた側面も大きかったと思う。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 もっとも、中国景気の後退自体はサプライズではないから、「質への逃避」云々も単に取引の材料にされた可能性がある。特に米ドル/円に関しては、人民元安があれば、連動というか、連想されて円売りが観察されてきたから、今回も然りだ。

 しかし、基本的な要素として、やはりカギを握るのは米長期金利となり、ここからさらなる上値トライがあれば、米ドル全体の一段高もありえる。

 米長期金利の動向に関する予想は、マーケット参加者にとって一番の関心事に違いがないが、投資の神様ことバフェット氏がかねてより「長期金利の動向を正確に予測できる者はいない」、といった趣旨の発言をされてきたように、このたぐいの予想をあまり真剣に扱わなくてもよい。

肝心なのは、相場動向との比較であろう。昨日(8月17日)米10年国債利回りは4.328%まで高騰し、昨年(2022年)10月21日(金)以来の高値を記録した。昨年10月21日(金)の高値は4.338%だったから、ほぼ同じ水準であるが、実は2008年以来の高い水準でもある。

米長期金利(米10年物国債利回り)日足
米長期金利(米10年物国債利回り) 日足チャート

(出所:TradingView

 当然のように、米株は現在調整中で、昨晩(8月17日)も大きく反落してきた。代表的な指数であるS&P500は、4370で大引けした。

S&P500 日足
S&P500 日足チャート

(出所:TradingView

 しかし、昨年10月21日(金)の終値は3752だったことに照らして考えると、ここから米長期金利のさらなる急騰を想定するよりも、再度、頭打ちになる可能性のほうが大きいだろう。

 何しろ、S&P500を始め、米三大株価指標はそろってブル(上昇)基調へ転換しており、また強気変動の構造を一段と固めてきた。昨晩(8月17日)までの反落自体も、途中の速度調整として、むしろ歓迎されるべきで、これからの上昇波をより健全化させる側面が大きいとみる。

 市場はすべての思惑や見通しを折り込んできたわけなので、米株はこれからの長期金利の急騰を予想せずに、強気変動構造を形成してきたわけもない。だから米長期金利は、そろそろ頭打ちになりやすいタイミングに差し掛かるかと思う。

米ドル全体の切り返しが、そろそろ終焉するのではないか?

 同じロジックで為替市場を検証すると、やはり米ドル全体(ドルインデックス)の切り返しが、そろそろ終焉するのではないかと思う。

 昨日(8月17日)のドルインデックスの高値は、3月高値から5月高値を連結したメインレジスタンスラインをトライしただけに、ここからが正念場だと思う。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 さらに、昨年(2022年)10月21日(金)のドルインデックスの終値は111.98だった(下のチャートの矢印)。昨日(8月17日)ドルインデックスはめいっぱい切り返してきたが、大引けは103.47までしか届かなかった。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足チャート

(出所:TradingView

 米長期金利の上昇自体が最近の米ドル全体の反発をもたらした、というロジック自体に問題はないが、これをもって米ドル全体がさらに買われると想定するのは無理がある。

 むしろ、その逆であろう。米利上げが継続しても、昨年(2022年)11月から、米ドル全体の値動きにあまり影響を与えなくなった。7月安値からの切り返しだけを切り取って相関性を話しても、やはり整合性を持たない、と言わざるを得ない。

 ここから米ドルがさらに買われる場合、米長期金利がかなり急騰しなければならないから、その現実性は低いとみる。

円安トレンドは、まだ終わっていない! ただし、米ドル/円は除く

 だからこそ、ここからは米ドル全体の頭打ち、また反落を想定しておきたい。もちろん中国の要素もあって、「最弱通貨」の円がリード役を発揮する形で買われることは想定しにくいから、主要外貨のユーロや英ポンドが買われやすいだろう。豪ドルも中国の要素に左右されやすいから、ユーロや英ポンドなどの外貨に比べ、引き続き出遅れとなるだろう。

 米ドル/円に関しては、たしかに2023年年初来高値の更新で切り返しの延長と大型化につながったが、昨年(2022年)高値から急落してきた値幅に対する調整子波という位置づけは不変だ。ゆえに、すでに頭打ちになったか、これから頭打ちを果たすという見方も維持される。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

 とはいえ、前述のように、米ドルの頭打ちがあれば、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルの反発がみられやすいから、円は二の次だろう。何らかの材料がない限り、米ドル/円がたちまち急落することもなかろう。

 だからこそ、ユーロ/円や英ポンド/円あたりは、引き続き堅調な値動きを保てるだろう。じわじわ高値余地を拡大し、途中の波乱があれば押し目買いの好機とみなされるだろう。

ユーロ/円 日足
ユーロ/円 日足チャート

(出所:TradingView

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足チャート

(出所:TradingView

 この意味において、円安トレンドはまだ終わっていないと思うが、米ドル/円を除く話であることを、再度、強調しておきたい。市況はいかに。

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